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18. 道路のお化け
鉄の箱が、目を光らせて、物凄い速さで通り抜けていく。次から次に。右に左に。我が物顔で走るものだから、一向に道路を渡れやしない。
けれどそのお化けは、道路の真ん中に立っていた。鉄の箱がそのからだをすり抜けていっても、気にしていない。
「危ないよね」
道路の端のアリソンたちに、道路のお化けは近寄った。その間も、鉄の箱がお化けのからだを通り抜けていく。
「あんな重いものを、あんなに飛ばして。ぶつかったらどうなるか知らないのかな?」
どうだろうとアリソンは首を傾げた。果たして人間は思慮というものを持っているのだろうか
「僕みたいに、死ぬ人も出るんだけどな」
どうやら持っていないらしい。それとも自分勝手なだけなのか。