ハネてく大家さんと私 〜退去編〜
オラ、アミーゴ!
三屋城です。
前回は、途中で起こったエアコントラブルのお話をしました。
今回は入居した中で最大だった出来事。
退去の時のお話です。
なかなかの魔物が出てくるので、心してくださいね☆
さてはて。
エアコンも真新しいピッカピカくんになった夏の事。
諸事で退去することに相成りました。
退去は一ヶ月前に言わなくてはいけない契約です。
大家さんに事情を話し終わり。
後は粛々と準備をするだけだなぁと、のほほんでいました。
すると突然大家さんの旦那さんからの電話。
「はいもしもし」
「あ、おたく、〇〇さん? あのね、ひと月分お家賃もらってないから」
「きちんとお支払いしましたよ?」
「でもね、ないわけ」
「え、」
「良いから、早く口座にひと月分、入れておいてね」
ガチャ。
冷たく鳴るツーツーツーという音の元。
私は混乱しました。
うっかりして少し遅れることがあったものの、回数はきっちりと、入居当初から通帳経由で入金していたからです。
言われる理由が、わかりませんでした。
慌てて通帳を引っ張り出して、件数を数えました。
ちゃんと、入金回数はあります。
何度も何度も数え。
間違いがないことを確信してから、折り返し電話をします。
今度は大家さんが電話口で対応してくれました。
「もしもし」
「はいはい」
「○○と申します、大家さんですか」
「はいはい」
「あのですね、きちんと回数お支払いしているみたいなんですけど」
「ないものはないのよ。あなたもね、わかるでしょう。お家賃はきちんと払わないといけないの。払わないならブラックリストに載るわけ。載せられたくなかったらわかるわよね。退去までで良いからお願いね」
ガチャ。
ツーツーツー。
どうしたら良いんだろう。
私は悩んで、異性の友人に助力を頼みました。
いきなりの強い物言いに違和感と、女だと思って下に見られている感じも受けたからです。
実は石油ストーブも、返さなくてはいけませんでした。
返すタイミングが大家さんと折り合いが付かず、所持していたままだったのです。
そのことと家賃について相談すると、それはもしかしてひと月分詐欺っているのかもしれない、ということになりました。
俄には信じがたかったので、誤解じゃないか、とも思ったしその可能性を検討しました。
けれど友人は言います。
「そういう手合いは、ストーブにも壊れてたとかケチつけてくるよ。灯油満タンにして点火点検してから行こう」
念には念を入れて、誤解だったら誤解で良かったねで終わります。
準備がなくもしもそう言われたら、必要のない余分なお金を消費します。
私の預貯金的にそれはなかなか厳しいものがありました。
ひと月分ない、とおっしゃる原因にも心当たりがあったので二人で点火などの準備をし、大家さんに予定を教えてもらい。
ドキドキしながらその日に、通帳の該当箇所全コピーとストーブを持って、隣の大家さんちへと向かったのでした。
友人がとっても下手に上手に挨拶をしてくれました。
大家さんの旦那さんが、お相手してくれます。
「壊れていたらいけないので、確認お願いします」
「あ、良いよ良いよ」
旦那さんはストーブを奥へ引っ込めました。
渡した紙の束をチェックしながら、おっしゃいます。
「やっぱりひと月分足りないよ」
「……あの」
私は勇気を振り絞って言いました。
「契約時に、不動産屋さんから『初月のお家賃は預かります』って言われてお支払いしているんです」
「確かめてみてください」
友人がガッツリアシストしてくれました。
「私どもの方から入金しておりますから、確認してみてくださいますか?」
はい。
これ誰でしょうか?
実はこれ不動産屋さんです。
友人に言われ、不動産屋さんが預かって支払い済みであることをきちんと言ってもらおう、ということで友人が召喚してくれていました。
大家さん、罰が悪そうながら確認を約束します。
後日、脅したことなどなかったかのように「預かってもらった分忘れてた」と言われ。
この件は終わりました。
が。
強欲の闇を見たのは、さらにこの後。
退去の後はハウスクリーニングがされます。
ぽよんぽよん不動産屋さんではなくさらに三人目のクマさん(助けていただいた方です)が言うことには、大抵は五万もかからないとのこと。
敷金からお釣りが返ってきます。
そう、敷金はハウスクリーニングのお値段次第で返ってくるのです。
別段プロレスをしたわけでもペットを飼っていたわけでもない私。
いくら返ってくるかなぁと、ぽよよんとしていました。
プルルルルルル、ぴっ。
「はい、もしもし」
「あ、○○さん? クリーニングのことだけど、書類届いた?」
「はい」
大家さんの旦那さんです。
「あのね、敷金から足が出たから。けどえー、鍵? の交換はこっちが持ちますから。大体ね、フローリングも歪んでたから張り替えたし、壁もたわんでた訳だから大変だったの。だから返金はありません。端数もこっちが持ってあげるから。これで終わり。良いね?」
友人から、返ってこないよきっと、と言われていました。
けれどぽよよんの私は、少しショック。
けどしょうがない。
言い分を飲まないと面倒臭そうな相手なのは、
「あー後ね、ストーブ返してもらったけどあれ、壊れてたから。ほんと。だからじゃないけど、これで終わりましょう」
付け足されたこの文言で、のほほんの私にもわかりました。
余計なことすんなよ?! と言外に脅されている私です。
(実際の電話口で言われたあれこれは、ちょっと酷すぎるので割愛です)
「わかりました」
言ってその旦那さんと、大家さんにはサヨナラです。
ちょっと悔しい私。
けれど、関わり合いを持つと、待っているのは多分「地獄に一緒に落ちましょぉぉぉぉお!」かもしれない。
だって相手はなんだかとっても手慣れているのです。
人生、諦めも時に大事。
二度目書きで恐縮ですが、二人で目の前で点検してちゃんと点火したので、ストーブは壊れてません。
家は、隣です。
車などでも搬送などしておらずする訳がなく、だから振動も与えていない与えられない。
壊れる、訳が、ほぼない。
後日入居募集していた私が住んでいたお部屋ですが。
床の張り替え? へ? ってなもので。
入居時に部屋の一部の床に貼ってあったリメイクシート、そのまんま。
私がちょっくらこしらえちゃったキッチンのサビまで、落とさずにいるとかやだなぁ何してるんですか状態。
え、なんでわかるかって?
入居募集のページ、見ました。入居時にあったカーテンがとっても寸足らずだったので、すぐわかります。
あれは私が住んでいた部屋の写真。
そして、キッチンは入居時サビなし、けど見た時にはバッチリ写真に写っている。
さらに。
鍵の交換は契約時に特約などで書いていない限り、家主側の負担なのです。
もちろん借主負担なんてことは、契約書の紙のどこにも書いていない。
なのに値引いたって主張することがどういうことか、お分かりになるかと思います。
もっと言うと。
鍵交換の値引きを計算すると、クリーニング代と敷金がつっぺ! ぴったりです。
故意犯ですねわかります。(顔文字を貼りたい)
そも、退去の立ち合いを拒否された時点で大方諦めてもいました。
「鍵をポストに返せばいい」をのんだとき、何か言われる未来は、確定されていたのです。
まぁ、エアコン新調させたったから痛み分けにしちゃるわ(無頼漢ぶる)
以上が、私が大家さんにピンハネというか、お家賃一ヶ月分カツアゲされかかった話、その顛末です。
不動産屋さんは歴々の目の下の酷いクマさんっぷりを見るに、厄介な家主を一手に引き受けていたのでは……と、勘繰った私。
やがて数年足らずで、その店舗も閉店。
懐かしむものは、あの大家さんの黒いもふもふコート手触りどうだったのかなぁという、思い出の中だけになったのでした。
皆さんには、くれぐれも不動産屋さん及び大家さん選びは慎重にしてもらえたらと思います。