表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/59

閑話「ルル的に保育所とジムは同じ施設なため」


閑話「ルル的に保育所とジムは同じ施設なため」


フィットネス競技に関するコンテストの企画や運営、競技選手のサポート等を行う国内最大規模のアマチュアフィットネス団体FWLが主催するボディビル大会マッスルレジェンドクラシック。これはルチルゼ中のボデイビルダーが集う全国大会で、それぞれのクラスで優勝した4人で行う決勝で総合優勝すればプロカードを獲得することができる上に国際ボディビルダーズ連盟が主催する世界大会への出場などボディビルダーとしてより高みを目指せるようになる。

そのため他の大会では入賞でもいいと考えるような賞金稼ぎタイプのボディビルダーでも本気で優勝を狙いに来るような大会だった。


身長別のクラス分けがかなり細かく設定されており他の大会では弾かれてしまう背が低い人でも部門によっては出れるため間口が広く参加者も多い。そんなテレビでも生放送されるほど有名な大会が来週に控えているのもあって、普段より高い熱気に包まれているホットシルバージム1号店はどこもかしこもゴリゴリのマッチョだらけ。

普段であればダイエット目的の中年女性やクラブ活動終わりに軽くトレーニングを追加しに来る学生など一般人も大勢いるがカジュアル勢の彼らには少々精神的にも物理的な意味でも最近のジム内は筋肉の圧が強いらしく数えるほどしか見当たらない。


己自身の過去でもある細身の人や太った人がこの期間来ないことで筋トレに飽きてしまわないか不安に感じながらも一週間後を万全の肉体で迎えるための汗を流すガチ勢たち。

彼らは少しでも非マッチョへのプレッシャーを減らすために自主的にジム上階にあるフリーウェイトトレーニング中心のエリア周辺に固まりつつ、ダンベルで左右の筋肉のバランスの微調整を繰り返しながら理想の筋肉や筋トレ論について周りと熱く語り合っていた。


「そろそろカーボアップに向けてあのクソめんどいグリコーゲンと水との体重計算やら食品成分表示の確認やら始めないとだよな。具体的になに食うかうちのトレーナーとも相談しないと……ほんと何食うのが正解なんだかみんな違うし迷っちまう」

「おー真面目だなぁオレ食事は全部妻に任せちゃってるわ。カーボアップもさーいつも通りの全粒粉のパンとかバナナでいいかなって聞かれたからうん、で終わり」


重さ別のダンベルと座って鍛えられるベンチが並んで置かれているだけの簡素な空間では現在、大会2~3日前から始めるカーボアップについて盛り上がっている。

カーボアップとは効果的な食事を摂ることで栄養を溜め込み筋肉のハリを良くする、大会直前に行う仕上げのようなもので。そんな最後の大事な部分をこだわらず妻任せにする男の話を横で聞いていた大会経験豊富なマッチョはついつい口を挟みたくなり会話に割り込んだ。


「お前パン派か~?米派の俺としてはパンでカーボアップはどうなんだと思うがな。食品表示見忘れると脂質が多いパンを食べてしまう危険もあるし第一腹持ち悪いだろ」

「は?何言ってんだよ大会の過去の上位入賞者へのアンケートの統計からみてもパン食べてるやつのが多いし実績がある食べ物が一番いいに決まってるだろ」

「いやそれ単純に、ルチルゼでお米買うとなると高いからじゃないの?ボディビルダーには筋トレ優先してあまり働かない金欠勢結構いるんだから統計なんて当てにならないわよ」

「パスタ派のオレが言わせてもらうとパンも米もコスパが悪すぎると思いまーすっ!」

「なんだとぉ……!?」

「むむむ…パンだって、パンだって安い店はパスタより安い!」


大会一週間前にもなると筋肉に真剣なボディビルダーたちは周りがどんな筋トレをしていたかではなく食事による膨らみの違いが気になってきて、それも大会直前に何を食べたかは見た目に如実に現れるため各々の思想が真っ向から対立しぶつかり合う。

やれパンがいいだの米がいいだの、中にはイモ派やあんこと呼ばれる海外の菓子がいいという声まで入り混じり現場は混沌を極めていた。


「あははみんなガチだなぁオレは肌の色が物足りないからちょっと向こうで焼いてくるよ」

「おういってらっしゃい」

「待て俺も行く」


マッスルレジェンドクラシックに参加しない代わりにその日撮影が行われる人間の力だけで遊園地のアトラクションを全て動かしてみたというテレビ番組に出演予定の一部のマッチョは大会前の異質な空気に耐えかねてトレーニングルームを逃げ出す。二人はタオルで入念に全身の汗を拭きとりながらエレベーターに乗り込んだ。


「で、お前は今回どれくらい焼くんだ?」

「そりゃマッチョの肌は黒ければ黒いほど見栄えがいいに決まってるさ最大ワットで40分いくぜ」

「やり過ぎて赤く腫れないように気を付けろよ。ここの無人サロンは店に通うよりお手軽だがその分危険だ」

「分かってるって。オレ元々肌黒だからあんま赤くならなくてさその分日焼けもしにくいの」

「ほんとかよー最大ワットにするならせめて30分くらいにしとけ」


元々色黒の男性と地肌が白い男性は肌が腫れる腫れないで焼き時間の意見が合わずすれ違った末に自分たちの肌が黒くなる過程に大きな違いがあることを知ると、じゃあ結局どれぐらいが良いのかと悩んで話し合い。お互いの肌を見比べて己の考察を披露しながら日焼けサロンに向かう。

そうやってうまく体の作りの差に折り合いをつけつつ仲良く談笑する穏やかなマッチョたちの頭上1m。――エレベーターの天井の角に巣を作るクモの横で、同じように手足を突っ張らせて壁にへばり付いた幼女が一人隠れていた。


天から純白な髪の毛を垂れ下げている少女はその常時逆さまの体勢のせいで目がだいぶ充血しており、生まれつき赤い右目は白目の部分との境が分からなくなっている。防犯カメラに映る姿はさながらホラー映画で個室に逃げ込んだ登場人物が襲われる寸前のワンシーンのようだ。

そんな恐ろしい見た目になっているルルだが四度目にもなる保育所からの脱走を犯したわけにも関わらず本人に悪事をやらかした自覚は低そうで。建物を出ていないのに何故か怒られるという理由で身を潜め、ただひたすらに面白い何かを求めてジム内を彷徨った末にこの一般会員が利用するエレベーターまでたどり着いたのだった。


「おいかけたら…おいかけたらふしぎの国、かなー!」


偶然見かけた野生のマッチョを不思議の国のアリスの白ウサギに見立てて空想を膨らませたルルは、3階で降りてどこかに移動する彼らのあとをコソコソと追いかけるうちにジム内に併設されている無人の日焼けサロンに迷い込んだ。

男子更衣室に入った男たちは手早く服を脱ぐと備品のタンニングオイルを全身にくまなく塗り始めた。自力では届かない背中を互いに塗り合うという少しだけ少女の両親のイチャイチャにも似た光景をドキドキしながらドアの隙間から静かに覗く。


「よっこいせっと。お先ー」

「はいよ」

「光るキノコの森…!人間を食べてる……!」


先に塗り終わり自販機に金を入れた黒髪の男性が寝転んだのは内側だけが青く光る不思議な装置。まるでSFに出てくるコールドスリープベッドのようにゆっくりと扉が閉じる姿はとても幻想的に感じられて、映画好きのルルはオッドアイをキラキラ輝かせる。

そしてそれがアルビノである自分にとって有害なものだと知らない子供は新しい遊び場を発見したぞと大喜びで駆け寄ると、もう一人が日焼けカプセルに入る僅かなタイミングを狙って真横まで近付いてしまったのだった。


「痛いっ!」


ズキンッ――

その瞬間無防備なルルの瞳に飛び込んできたのは淡い青い光なんかではなく何も見えなくなるほどの痛みだけ。

普段身につけているサングラスは保育所に置きっぱなしだったため、紫外線を撒き散らす毒キノコに近付いて中を覗いた少女はダイレクトにそれを浴びた。

その後、弱点である日の光に刺されずくずくと痛む赤い眼からは涙が勝手に流れてきて視界は一瞬で真っ白に変わりまぶたを閉じても裏までこびり付いた白色が取れず、周りが見えなくなった彼女はどの方向に歩けば危険な光から遠ざかれるのか分からなくなりその場にしゃがむことしかできなかった。


「なにごとぉ?!」


その一方で、肌を焼いてる間に一眠りでもしようと目を閉じた途端悲痛な子供の叫び声を聞いたマッチョは飛び起きる。

閉まりかけのフタを手探りで持ち上げた彼はベッドのへりに座ってしきりに辺りを見渡したがいくら探しても悲鳴の主は見当たらない。


ぷにっ。

誰かのイタズラかと思いイライラしながら足を揺らすと何か柔らかいものがつま先に触れた。

その感触が先ほど脱ぎ捨てた自分の靴とは違うような気がして気になった男性が足元を見下ろしてみると、そこには髪が真っ白な幼女が両目を手で覆い背中を丸めて地面に伏せていた。


「ルルちゃんどうしてこんなところに?!」

「いたいぅ…うぅ」

「ハッ光か……!ダメダメすぐに離れなさいっ」


本来いるはずのない子供と遭遇した男性は驚愕の表情のまま立ち上がり、床で丸まっているアルビノの子に今すぐこの機械から離れるように指示を出す。

しかしこちらがいくら話しかけても返事はなく痛い痛いと呟くばかりで歩こうともしてくれないので意識混濁でも起こしているのかと思った彼はおっかなびっくりに少女を持ち上げ光の届かないサロンの入り口まで運んだ。


だがそれでもルルは目立った反応を見せない。

原因の日焼けカプセルが閉じても場所を変えてもいつまで経っても少女が目から両手を離さず動かなくて、流石に心配になってきたマッチョは一緒に泣きそうになった。どうすればいいのか救急車を呼ぶべきなのか困り果てた男はお前も出てきて助けてくれと叫びながら相方の入った日焼けカプセルをバシバシ叩く。

するとそれまで石になっていたルルが殴る音に反射的にびくりとみじろぎをしたため男性は慌てて走り寄り、無事かどうかを再度確認した。


「大丈夫?!目は見える?」

「うぁシバシバする…世界が白いわわわ」


頭痛を伴う強烈な痛みにどうにか打ち勝ちようやく顔を上げた少女の世界はあまりに全てが眩しくてとてもじゃないがまぶたを完全には開けない。

今自分がどこにいるかが相変わらず把握できていないルルは糸のように目を細めて恐る恐る周囲の様子を窺った。そしてそんな彼女が真っ先に視界に入れたのは遠くに微かに見えた憎き敵青光りする毒キノコだった。


「ゆるさぬ…お前のそんざいをゆるさぬ…お前はこの世にいてはならない」


ただの日焼けカプセルに向かって映画のセリフのようでもある一風変わった恨み言をぶつぶつと零すルル。その様子を見た男性は少し気が抜けたのか、毛を逆立てて怒っている幼女の白い髪をサラサラと撫でながら口角を上げる。


「ピャッ…?!」


すると突然奥にあるカプセルの一つがブゥーンと音を鳴らした。

そちらの方角を威嚇していた少女はあの物体から反撃の光が出るかもしれないとビビって飛び上がると、丸い頭を男性の手のひらにぶつけたのちガッシリとした大人の足に縋り付く。

中の人が装置を中断しただけなのに必死に目を守っているルルがぷるぷると震えているのが抱きついている左足から伝わってきて、男は笑いを堪え切れず噴き出した。


「あっはは!ルルちゃんビビりすぎー」

「…むむ」


対するルルは余裕そうな大人に笑われてしまい頬を膨らませる。彼女目線では現在世界の全てに分厚く白いモヤがかかっており、ぼんやりとしか周りが見えていない時に動物の唸り声のようにも聞こえる謎の音がして本当に怖かったのだ。

側から見ると怖くないらしい何かに向かって自分だけ警戒して怯えているのが恥ずかしくて、ぺちぺちと効果のない攻撃を男性の腹筋に加えているとふと少女は自分の手に違和感を感じて引っ込める。しかしその後も無意識のうちに服の袖で違和感の下を擦っていた。


「もーっどうしたんだよジョニー…あれアルビノの子じゃん」

「ああそうだ念のため医務室に行こう。んで先生に目を診てもらおう、な?」

「うん…あとねーかゆい」

「っ!?」

「うわあ゛?!ジョニーなんっ、なん?!」


せっかく焼け始めたところだったのにと呟きながら怠そうにカプセルから出てきた片割れマッチョの目に真っ先に入ったのは、グロテスクなやけどの水ぶくれがたくさんできた幼女の手の甲だった。真っ赤でぐじゅぐじゅとした患部を見た二人はギョッとしてたじろぐ。


なまじ設定ワットを強くしていたため自然界ではありえない紫外線照射が、子ども用の優しい日焼け止めクリームの効力を超えてアルビノを襲いその肌にダメージを与えてしまったようだ。

ジョニーと呼ばれた男が震える手で少女の小さな手を掴んで見てみるとまず熱くて。患部のやけどが熱も持っていることからも、自分が過去焼きすぎた経験もあってこりゃすぐ冷やさないとダメだとすぐ分かった彼はルルを抱き上げた――



「医務室医務室!」「急げっ急げッ!」

「どうしたどうした」


ジムの一室にドカドカドカと足音と振動が響く。その慌ただしい音はどんどんトレーニングルームに近付いてきて。

医務室のある上の階まで階段で駆け上がり廊下の代わりにあるフリーウェイトトレーニングエリアの真ん中を最短距離で突っ切る男たちに、なんだなんだと周りでダンベルに勤しんでいたマッチョたちが次々に顔を上げる。


「日焼けサロンにアルビノの子が!やけどした!」

「大変だ大変だ」

「痛いのかい」

「かゆい」

「うわあ酷いな……」

「こんなことになるのか…まるでアトピーだな」

「マジか。ネットのウソじゃなくてマジでこんななのか」


訪れた緊急事態により未だに続いていたカーボアップのパン派とご飯派のピリついた空気は散り、気ぶるボディビルダーたちが一斉に立ち上がって集まったその振動は下の階にも届くほどだった。

サロンにあった保冷剤で患部を冷やされながらもまだ痒いと言うルルが見せた水ぶくれまみれの手の甲を見ておっさんたちは自分まで痛そうに顔を歪める。

一部の若者たちは興味津々な様子で携帯で写真を撮ろうとして他マッチョに締め上げられ、グロが無理な一人は恐る恐る見て結局悲鳴を上げて逃げ出してしまいだからヒョロヒョロなんだぞと他の連中に揶揄われていた。

そうしてアルビノに関する質問を投げ続ける大量の野次馬を連れたまま医務室につき少女を医者に診せると、まず何故ここにいるのか聞かれたのち診察を受けることとなり……


「取り敢えず社長を呼びましょう。普段塗っている薬を知らないと、常用の皮膚薬が強かった場合勝手に他の薬を塗るのは副作用が怖いので」

「副作用!」

「高学歴の言葉だ」

「難しい言葉だ」

「ルルちゃん。少しここで待っていてね。掻いちゃダメだよ?」

「うん。あとがのこるからだよね」

「そうだよいい子だね」


自分の主治医とは違って可愛らしい金髪美女のお医者さんに頭をぽんぽんされてニコニコと満面の笑顔を浮かべるルル。母から受け継いだ面食いを発動しながら、そうだよわたしいい子!と元気に返事をしてそれは違うと周りから総ツッコミを受ける。

とりあえず医者が社長に社内電話をしている間、逃げ出さないようにマッチョたちに遊んでもらうことになった彼女は色んな筋肉に囲まれていた。


「ルルちゃーんほぉらベロベロばー!」

「ルルもう赤ちゃんじゃないよ……」


もうそんな歳ではないのにいないいないばーをされて笑わずため息をついて椅子を回しそっぽを向くルル。振られた女性は入れ墨の入った肩をガックリと落とした。


「アハハバッドそれじゃダメだ。子供は抱っこが好きなんだよ!」

「なんか…っなんかダディのより固いぃびみょう」


サッカーの試合中幾度となく相手選手のタックルに耐える父親の筋肉は力んでいない時それなりに弾力があるのだが、実用性を考慮した父のものと比べてボディビルダーたちの鍛え上げられた観賞用の筋肉には無駄な脂肪が一切なくつまりクッション性が皆無だった。ゴリゴリと頬に当たる胸板の感触は肉というよりもはや骨だ。


「ギャハハお前の筋肉だって不評じゃん!」

「筋肉は褒められてるから!しかも比較対象あのダンパーロだぜっボディビルダーとしては正しい!」


彼らの会話中マッチョの腕の中でゴリゴリと鋼鉄の筋肉を顔面に当てられ続けるルル。

こちらが嫌だと言っても離してくれない男性のもと、少女が露骨に嫌そうなしかめっ面で筋肉の板を押し付けられていると気を遣ってくれた別のマッチョに回収され抱きしめられた。が、結局また硬すぎて真顔になるルルである。

謎に肌感触にこだわるソムリエな彼女が他の人の筋肉も試そうと隣の人に抱っこしてと頼み腕を伸ばしていくうちに、マッチョたちの間ではルルちゃんの抱っこ受け渡し祭りが開催されていた。


【わんわんう~♪わんわんお~♪わんわんえ、い、あ、お、う~♪】

「おおオレが子供の頃もあったぞその歌」

「3チャンのやつか」

【カアカアか~♪カアカアく~♪カアカアけ、き、か、こ、く~♪】


爆弾ゲームの時限爆弾のようにマッチョたちの間を抱っこで移動していくルルは多種多様な男女からモテモテになってそれはもうご機嫌でハイテンション。

腕の痒みも忘れて元気に歌っているし腕をふりふり上下に振って踊りながら身振り手振りで歌詞通りの動物をモノマネして更に踊り、歌う。周りから可愛いと言われるたびに空中に浮いた両足をばたつかせては喜んでいた。


「ルル……?なんだか楽しそうね。お母さん、心配し過ぎちゃったかしら」


ルルちゃんが納得する筋肉はどれかという突発開催オーディションが異常な盛り上がりを見せるなか最終的に選ばれたのはカチカチのボディビルダーではなく偶然その集団に混じっていた一人のプロレスラーで、少女からは枕みたいに寝れるあったか筋肉という栄えある称号を手に入れていた。

しかし、そんなお気に入りの男性に優しく抱っこされてウキウキで歌うルルのその後ろでは怒りで震える女性の声が漏れる。


「っ!」

「あっ…ど、どうもお母様…」

「ッスー…お母様これは違うんすよ…遊んであげてただけでぇ……ねー」



気配を消していつの間にか娘の背後に立っていたホットシルバージム社長ルーニャから憤怒の波動を感じ取ったマッチョたちは腰を低くして挨拶した。

その後ルルは鬼の形相で迎えに来た母親に周りの目も気にせずそれはもう可哀想なほど叱られて。やだやだまだ抱っこぉー!とごねて叫んでお気に入りのプロレスラーに手を伸ばしながら彼女は無情にも保育所に再収容されていったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ