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第15話「父の憂い」


第15話「父の憂い」


世界でも両手で数えられるほどのランクに入る強豪サッカークラブチームバイブスの練習時間は長い上にトレーニング内容自体も大変ハードだと有名だ。今日もコラトバにある練習場ではクラブに所属するトップ選手たちが汗水垂らして個人メニューと集団練習をこなし、その足捌きに磨きをかけていた。


軽いウォーミングアップ後まず20kmのランニングをするために場外を走り、戻ってきた人からすぐフィールドに移動。素早くメンバーが入れ替わるパス練習を行いつつそれと並行して狙う場所を決められたシュート練習もこなしてと実際の試合のように止まることなく動き続ける選手たち。だが疲れて蹴れなくなる者は一人も出ない。どれだけ高度な内容だろうと彼らはサッカー選手としてのプライドを持ってやり切るのみ。

そんな地獄の特訓の途中、一度足を止めて筋肉を休めるようコーチから指示されたトップたちがぞろぞろとベンチに移動し、入れ替わりで次の試合で急遽ベンチ予定になった新人が芝の上に立つ。彼らのまだ初々しい練習を見守りながら、三時間ぶっ通しだった練習を終えたメンバーがストレッチや水分補給をして休憩していたときのことだ。


スポーツタオルの上で開脚しながら携帯画面に視線を落としていたダンパーロがぽつりと呟いた……


「なあお前ら……娘の髪の毛が10000ギルでオークションにかけられているんだが」


昨晩からずっとオークションサイトに張り付いてアルビノの髪の毛の出品の取り消し要求とユーザーの通報を繰り返していた男は絶賛寝不足気味だった。平常時の二割増しで目つきが悪いその緑色の瞳には娘を売り物扱いする連中への確かな怒りが籠っており、微かだが殺気すらも感じられる。

彼が言った値段に対してぼったくりじゃんと誰かがツッコミを入れたところ10000ギルはむしろ安いだろと言い返しブチ切れるダンパーロ。今練習してるやつの気が散るから静かに休めというコーチからの注意で声量だけは落ちたがそれでも通報する手は止めず。

ぶつぶつとオークションのユーザー名を囁きながらスマホ画面をタップし続ける同僚の姿を見て、哀れに思った他の選手がフォローに回った。


「まーまーあまり気にしすぎるなって、大体あんなの全部偽物だろう。ヤワオクだけでも何本の髪の毛が出品されてると思ってるんだよ」

「だがっ…、その中の一件は間違いなく無理やりあの日あの場所で引き抜かれたものだ。許さん…許さんぞ全部通報して本物偽物全て消し去ってやる……」


自分の携帯を開き、軽く検索しただけで100件以上あるアルビノ関連商品の表示を見せて落ち着かせようとした背番号10番キャプテン。ヤワオク内は誰がどう見てもルルが髪の毛を抜かれたというニュースを知ってからそれっぽい白い糸や自分の白髪をネタで出品している人ばかりだったのだが、ダンパーロはそれでも納得がいかない様子で歯ぎしりしている。

そんな、目標が全件削除という消したら増えるインターネットへの対処としてはあまりにも頭の悪いやり方にキャプテンは苦笑しつつ他の案を出した。


「そうだ!警察ならそういう悪意ある出品への対応もしてくれるんじゃないか。SNSの誹謗中傷とかにも最近は手を貸してくれるらしいしさ」

「警察なんて信用ならん。自分でやる」

「どうしたんだそんなツンツンして。もしかしてルルちゃんを引っ張った犯人を捕まえた警官から何か言われたのか?」

「さっきようやく連絡がきたんだ。きたが…っ奴らめ髪の毛一本で何かしらの犯罪として立件し逮捕するのは難しいというのが我々の最終解答となります、だそうだクソッ」


ダン!――

寝不足でイライラしている父親は我が子が警察に見捨てられた悔しさを拳に込めてベンチを殴った。そこに座っていた選手までスクイズボトルを口に咥えたまま揺れたものの、日頃から子供のことになると沸点が下がる男の奇行に慣れているせいか反応すらしない。

ノーリアクションの彼らとは反対に、試合中の立ち位置を新人に指導していたコーチは勢いよく振り向いて。いい加減静かにするようにと怒鳴った彼だったが迷惑そうな顔で睨まれ返され怯む。オーナーが直接選んだ監督とは違い大した権力を持たない派遣労働者は権力者の子供とも言えるトップ選手の冷めた目を見て肝を冷やしたのか静かになった。


そしてトップ選手たちは再びルルちゃん会議に戻るのだった。


「厳重注意ならまだしも立件となるとまあそうなるよなぁ」

「なんだそのしょうがないかーみたいな顔は!おかしいだろうちの娘は知らないおっさんから髪の毛を抜かれて痛かったし怖かったんだぞっ」

「そりゃ確かに怖いが、その程度でいちいち犯罪者にしてたらルチルゼ国民なんて殆どが刑務所に引っ越さなきゃなんねぇぞ」

「試合で熱くなるとファンが暴れるなんてことしょっちゅうだしなー」

「治安のいい外国とかならともかくうちの国で、車燃やしてない窓も割ってない電柱にさえ登ってない一般人を逮捕なんかできるわけないじゃん。ロリコンでもなかったんしょ。じゃー無理じゃん」

「うぐぐぐぐ」


自国が国際的な大会に出場する度に勝っても負けても暴動を起こすことで有名なルチルゼの民度を例えにあげてくる奴や、他の犯罪と比較しても髪の毛一本抜かれましたはどうしても逮捕までのハードルを越えられないだろうと冷静に話すマネージャー。そんな、犯人逮捕の話題になった途端口々に語り始めた薄情者の彼らをダンパーロは睨みつける。怒涛の正論をぶつけられても被害者の父ははいそうですねと引き下がれるわけもなく。男は背番号11番をたなびかせながら立ち上がり、近くに転がっていたボールを片手に掴むと怒りに任せて蹴る。

新人選手がキーパー練習をしているゴールに向けて放たれたそれは防がれることなく右角に吸い込まれ、憤怒のダンパーロはベンチからの超ロングシュートを決めたのだった。


「すげー!」「ナイシュー」「あー動画撮っとけば良かったのにもったいない」

「こらーッ流石に今のは良くないだろうダンパーロ!今は休憩中だぞ!」

「…すー、すみません……」


流石に叱るべき場面だったため先程の気まずさも振り切り駆け寄ってきたコーチは、その手に持っているクリアファイルで子供みたいに暴れた成人男性の頭をはたいた。

本物のスーパーゴールを生で見たチームメイトたちは呑気にはしゃいで拍手したがコーチに睨まれると素知らぬ顔でストレッチに戻り、そんな生意気な選手とコーチが静かに火花を散らす下では大好きなシュートを決めたはずなのに胸のもやが消えずむしろ叱られて増えてしまったダンパーロが頭を抱えてうずくまっていた。


「ああもう娘を外に出したくないそうすれば嫌な目に遭わずに済むし…なのにルルはルルで勝手に家から逃げちゃうしっ本当は妻の会社の保育所にすら連れて行きたくないのにぃ……」

「親バカ」

「過保護。自宅に軟禁される身にもなれバカ」

「いやでもなお前ら聞いてくれ。保育所にいるクソガキに白髪のことをあれこれ言われるってこの前も愚痴ってたんだよ。だからまず親としてこの心配は普通だろ?あと普通に保育所からも脱走するから心配なんだ」


保育所から…?どこへ…?選手たちは腕を組み首を傾げている。それが一体どんな脱走なのか想像がつかないようだ。もう少し具体的に園の入り口を開けて廊下を走りジムにいるトレーナーや客に迷惑をかけたことがあるとだけを伝えると、室内から通路は脱走のうちに入らないと誰かが言い出しそれに周りが賛同したため結局ダンパーロは少数派になってしまった。

実は彼らに話していないこととして、ルルの脱走癖が本人の意思に関係なく脳の方が関わっているかもしれないとアルビノの健康診断のデータを毎月送っている医学大学の教授から話を聞いてもいて不安なのもあったのだが。これはあくまで教授の考察の一つで確定していないし噂の段階で広まっても困るので情報を明かさなかった。


「屋内脱走はともかく今の時期その程度の子供と子供の喧嘩は仕方ないだろ、アルビノなんて一度も見ずに死んでく人のが多いくらい珍しいんだからさーガキも気になってちょっかいかけたくなるって。なまじルルちゃんって可愛いしなぁぽよぽよしててほっぺとかつつきたくなるよな!」

若干少女好きのけを感じるディフェンダーが笑いながら零す。


「なんで白いのか不思議で口に出しちゃう気持ちは俺たちだって分かるっしょ。それにこれから先もむすめっこを学校に通わせないと行けないワケだからさーそこは親が折れないとじゃん」

スポーツドリンクをコンクリートに垂らして遊んでいるキーパーのマルセンが現在の行動に似合わない真面目なことを言う。


「しかも娘のルルさんはあと数年もしたら小学生だろう。学校に入ったらもっと抜かれたり揶揄われる機会は増えると思うぞ。子供は純粋無垢がゆえに時に残酷だからな」

自分の子供も似たような被害に遭ったことがあるミッドフィルダーが真剣な面持ちで口を開いた。


「下手するといじめられたりとか「許せーんッ!」

言い切る前にヘッドロックをかけられたマネージャー。


生物学の知識が薄くて内心では自分もアルビノが何故生まれるのか不思議に思っている文系組からの、アルビノと対峙する側の気持ちを語る言葉の数々にみるみる顔色が変わっていくダンパーロ。驚怒哀狂の百面相をしたのちまたルルを家だけで過ごさせそうな勢いで地団駄を踏み暴れている。

新人が練習メニューをこなすのを陰で見守るコーチはもうこの親バカを黙らせることを諦めたようで、トップ選手たちの会話に耳を傾けながらベンチに腰掛けお茶を飲んでいた。足元ではうがあとうめく猛獣を羽交締めにして抑えるキャプテンがバタついているが我関せずだった。


「どーどーどー落ち着くんだ怪獣に変身でもする気かダンパーロ!!お前たちも不安を煽るようなことを言うんじゃないっ」

「だってさあキャプテン。ダンパーロっちのむすめっこはアルビノでしかもオッドアイだよ?すっごく綺麗だし他の子が大体茶髪や青目の環境で浮くのは間違いないよー」

「だからといって絶対に虐められると決まったわけじゃないだろう。むしろ可愛くて綺麗なんだからみんなから好かれるお姫様になれるかもしれないぞ」

「いやぁ」

「子供はなー…」

「もしも俺がルルちゃんと同い年だったらいじめてた気もするな」

「こらっなんてこと言うんだライン超えだぞそれは!」


アルビノのルルが校内でチヤホヤされるルートに突入する可能性には賛同せず渋い表情で首をひねる選手たち。チームのキャプテンはその中でも自分もいじめてたかもと発言をした一人を叱り追いかけ回す。将来起こり得る娘のいじめ問題を今から心配し過ぎて真っ白に燃え尽きたダンパーロは、ベンチの端にもたれかかりどんよりと背中を丸めて項垂れた。


「娘が心配だ…娘が……」

「息子たちはいいのかよー女の子ばっか可愛がってさー」

「ディアロとポアロは普通のサッカー少年って感じにスクスク元気に育ってくれているからいいんだ。パパとサッカーやろうって庭に誘えばそれはもうキラキラの笑顔で走って来てくれるし幼稚園の友達もたくさんいるから心配してないよ」

「はー、サッカーの相手さえしてれば父親の役目済むの羨ましー」


「ん…、そういえばお前、いつも男三人でサッカーしただとかと話しているが娘さんはどうした。日差しの問題で入場時のエスコートキッズをやれないのは仕方ないにしても家でサッカーくらいしないのか?お前の口から一度も聞いたことがないんだが」

「さっ…ささ、っかー…?」


まるで男子中学生で時が止まったかのような選手たちの日常会話をながら聴きしていたコーチがふと気になって口を開くと露骨にダンパーロの目が泳ぎ口数を減らした。どもり気味にサッカーという単語だけを反復する彼を見てこれは何かありそうだと踏んだ男たちがにじり寄る。


「そういやぁ全然ルルちゃんとサッカーで遊んだって自慢話聞かねぇなー。あの子逃げ足は相当速そうだけどどうなん?」

「あー…その。うちの娘はシュートを勢いよく空振って頭を打ってから家族サッカーは傍観一択で、だな…俺と一対一だとまあ、まあやらない事もない…けどあんまない、てかやりたがる俺に付き合ってボールを蹴ってくれてるだけと言いますか」

「歯切れ悪すぎんだろ」

「ありゃ。もしかしてあんまりサッカー上手くない感じ?こんなにボールがデカいサッカーで空振りとか逆にどうやったらできるの」

「まさか運動全然ダメとか……なわけないかハハッ」


ビクンッ――

軽口を叩いたつもりのディフェンダーの言葉に男の体が大きく跳ねる。答えはイエス。

サッカー選手の娘ながらルルはサッカーのセンスが絶望的に無かった。しかもゴルフやバスケ等の他のスポーツまで含めた総合的な運動オンチだとは言えず目が更に早く泳ぐダンパーロ。あまりにも分かりやすい挙動不審を目の前で目撃した一部の選手とコーチは気付き、マジか…と呟く。


「むすめっこ木はバリバリ登れるしその辺の棒でも棒高跳びできるもんなー」

「それだよ!」

「うお近っ?!」


初動を見逃してルルの真実に気付かなかった一人がそう言って呑気に笑うと父親のダンパーロは瞬間移動が如く速さで顔を寄せ、急に視界いっぱいにおっさんの顔が広がり動揺した同僚はのけ反った。


「娘はサッカーはてんでダメなのに家から脱出するためならそれはそれはもーー楽々と木も登るし飛ぶし走るんだ一体どうなっているんだうちの子の体は……!」

「いや知らんし。てかサッカーできないんかい」

「ルルさんのあれ結構危なかったよな。この前も何処かでベランダから落ちた2歳児が死んだ事故のニュースとかあったしこの時期の子供は何でもやりたがるのが普通なんだから、とにかく大人が目を光らせるしかないんじゃないか」

「っ!!」


――突然の転落死亡事故という巨大な爆弾での追撃。

『サッカー選手ダンパーロの娘ルル、自ら車道に飛び出して轢かれ死亡』という架空のニュースが頭の中で流れ始めて顔面蒼白になり地面に膝をつく。彼は必死に片膝をつき拳を上下に振りながら太陽にある都に暮らすといわれているルチルゼの神に我が子の無病息災と長寿を祈っている。


「うわあぁあぁ娘が心配だっ…おお光の神よおお偉大なる大地の祖よルルにどうか御加護を」

「あー結局そこに戻る感じなのね」

「てか太陽の光に当たれないアルビノのことまで天に祈るのかよ」

「???。逆に他に誰に祈るというんだ神は一人しかいないのに」

「……。」


実家が教会をやっておりチームで一番信仰深いミッドフィルダーが純粋な疑問を発したことで、多神教と一神教という互いに相入れない宗教を信仰する者たちの間に一瞬微妙な空気が流れて気まずくなった。宗教にこだわりがない外国籍のコーチが多神教サイドの肩を叩き深く口を挟まないように忠告する。


「あ、そうだ」


いきなりパチンと指を鳴らして何かを思い出したダンパーロは急に普段の様子に戻りスクッと立ち上がった。チーム内での宗教戦争を回避するため全員そちらを向くと、彼はスマホ画面を再び弄り始める。


「娘が楽譜を欲しがっていたから帰りに買わなくてはいけないんだった。危ない危ない携帯のスケジュールとアラームに書いておかなくては」

「楽譜?」

「あー、あのギターの」

「ダンパーロんちって音楽やる身内いたっけ?ルルちゃんの音楽好きって遺伝とか「いない。俺を含め一律で全員馬鹿だから有り得ない」


食い気味にきっぱりと断言したダンパーロに苦笑する周囲。

国内に数え切れないほどあるタバコ農家の中でも特に古臭い全く機械に頼らないやり方をしている彼の両親は孫の代とはいえ未だに児童労働をさせていることで有名で、たまに新聞にも批判記事が載るため選手たちもどういう人物か知っていた。一言で言うならば金を欲しがり行動するが初期投資ができない生涯貧乏、である。

子供が仕送りしても何にも使わず修繕もされていないボロボロの家に住み続けそのうちタンス貯金を強盗被害で失い、金のためなら出産したばかりで疲れている息子の嫁の情報を週刊誌に売る連中だ。そのくせ己の子供に対する愛情は本物で余計にタチが悪く五男のダンパーロは今はもう食べ物の仕送りすらしていない。


「にしてもなんでギターなんだろうな」「不思議だよなぁロックだよなぁ」「ルルちゃんはピアノの方が似合いそうなのになードレスとかさ」

苦虫を噛み潰したような顔で両親の愚かな行いの数々を思い出しているダンパーロの前でチームメンバーが話していると、ひとしきり選手を叱ってきたキャプテンが練習場の陰から走って戻ってきた。途中から会話の内容が耳に入っていたようでするりと会話に混ざってきて、


そして彼はダンパーロに流石チームのキャプテンとも言える助言を授けた。


「おいダンパーロ。子供にいきなり楽譜だけ買い与えても意味がないぞ。音楽をちゃんと学ばせてあげたいならまず最初に楽譜の読み方を教えないといけないんじゃないか」


その言葉におーと皆が沸く。


「なるほどっそういえばルルはまだ読み方知らないか。でも俺も知らないんだよな……キャプテンはピアノが弾けるし楽譜も読めるよな。今度の休日辺りにうちの娘に教えてやってはもらえないだろうか」

「あのなダンパーロ。確かに俺はピアノを弾けるしイソスタに動画を上げる程度にはそこそこ上手い自負もある。だがそんな俺でもギターは教えられないんだ。弾き方に関する知識は薄いしなんならギターの譜はコード譜と楽譜の二種類あるしで余計に分からない」


どうして…ピアノが弾けるのに…?!と他のチームメンバーが素で驚いている様子を見て苦笑いで頭を掻くキャプテン。お前たちはどれだけピアノという楽器が万能だと思ってるんだよと内心呆れながらベンチ下に置かれたバッグからスマホを取り出した。


「隠居して今レッスン教室やってる母さんに聞いてみるよ。うちにギターが弾ける良さげな家庭教師がいたらルルちゃんに紹介してやるからさ。やっぱりまずは楽譜を読んでその通りに音が出せるようにならないとな」

「おーっ助かる!」

「流石はバイブス一の高学歴!」

「大卒!」

「その程度で褒められても困る…大学に入れるかどうかは家によりけりだろ。お前たちの中にも家さえ違えば通えたやついっぱいいるんだから」

「その実家が金持ち!」

「国籍ミックス!」

「何人かよく分からない血筋!」

「なぁそれ褒めてるかほんとに?!」


他の選手から見てからかい甲斐のあるキャプテンは、自分に一言ずつ耳打ちしては散っていく馬鹿な子供たち(成人済)を走って追いかけ始める。それでも、休憩時間終わりだぞーとコーチが声を上げると全員ピタッと足を止めてサッカーコートに真剣な表情で集まるのだった――


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