とあるキャプテンの苦悩「inカニャルワールドカップ」
本編にはあまり絡まないので特に読まなくても大丈夫な閑話です。タイトルが長くなりすぎて閑話が入ってないだけです。
とあるキャプテンの苦悩「inカニャルワールドカップ」
――カニャルワールドカップ、予選第一試合開始前ルチルゼチームのロッカールーム内にて。
大事な初戦を勝利せんと意気込む選手たちは円陣を組み気合いを入れ。その中の一人お調子者のマルセンが叫んだ。
「うちのキャプテンはなんと……海外のあの超有名なハルバルト大学を卒業している!」
「「うおー!」」
「しかもピアノも弾けて高校教諭免許も持ってる!アメリ語も堪能なバイリンガルだッ」
「「うおーッ!!」」
「高学歴と高学歴が産んだ天才サラブレッドだぞ?!単なるサッカー馬鹿な相手選手全員学歴と血筋でビビらせてけ!!」
「「うおお゛ーッッ!!!」」
「……。」
雄叫びを上げた選手たちは一致団結し肩を組み合い、足を一歩円の中へと踏み込んだ。
そんな白熱した円陣の外にいる男が一人。
ルチルゼ代表背番号10番を背負い、曲がるボールが得意で遠くからシュートを決めることもありキーパーを撹乱させる両足使いのシューターキャプテン。
周りにいじられ過ぎて赤くなった顔を両手で隠すキャプテンは未だ輪には混ざれずにいた。
そう。彼の名前はキャプテン。あだ名ではなく本名が、である。幼い頃から名前でいじられ過ぎた結果、なら名前と同じ地位になってやると宣言し中学からサッカーを始めて実際になった脅威の努力家でもある。
「やめてテレビカメラの前で……恥ずかしいから……」
「えーなんで?」
「キャプテンも早くこっちに混ざろうぜ」
ケラケラと笑う選手たちの顔は決してイジワルそうではなく純粋に彼のことを慕い、円陣の言葉にあれを選んでいるのが伝わってくる。
実はこのキャプテン。ルチルゼのサッカー選手からの人気が非常に高いのである。その人気はなんと、バチバチに敵対する因縁持ち同士のクラブチームの垣根も越えるほどだ。
まず賢い。高校生までいる幅広い年齢の選手の子供に宿題の内容を聞かれても殆ど答えられるくらいに。
次に優しい。誰とでも仲良くなれるタイプで、他人と馴れ合わないタイプの人間には無理に距離を詰めずにただ近くにいてくれる柔軟さも持ち合わせている。
最後に女にモテない。適度な可哀想要素は男同士の友情には必須である。ちなみにモテない理由は新しいサッカー練習のアイディアを思いつくと即実践タイプのためデートをドタキャンするし、金勘定に真面目過ぎて細かい会計が全部割り勘だからだ。
「早く!もう一回円陣組もうぜ」
「はいはい……」
「次はキャプテンが真ん中で言ってくれよ。何かいい感じのヤツ!」
渋々歩み寄り仕方がないなと円陣に混ざるキャプテン。ルチルゼ代表は再び集まり肩を組む。
そして、確かな闘志を胸に牙を剥いた漢キャプテンはひときわ大きく声を張り上げ叫んだ。
「お前たち行くぞ!母国ルチルゼにメダルを届けるぞ!」
「「おー!」」
※3位でした。
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キャプテンは今まで国内外問わず色んなクラブチームに在籍してきましたが名前のせいで毎回背番号10番にさせられています。(背番号10番は基本的にチーム内で一番サッカーが上手い人が背負う人気の数字です)




