表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

『七行詩集』

『七行詩』 871.~880.

作者: s.h.n


『七行詩』



871.


明日の休日が晴れだったなら


小さな薔薇園を訪ねましょう


照らされ佇む教会は


差し込む光に パイプオルガン


お互いが 別の誰かと 来るはずだった場所


けれど今 二人が辿り着けたことに


握る手や 目蓋が熱くなる



872.


優しさを持つ 貴方の強さは


雪国で 春を待つ野花のよう


迎えた試練が どんなに長くても


信じることを 止めないで 生きていてほしい


生きることを 止めないでほしい


人はいつか出会うのだから


その時 貴方だからこそ 渡せるものがあるでしょう



873.


いつか貴方に渡したくて 広い集めた花束を


出会った人に 一輪ずつ差し上げてみたら


いつの間にか 大きな輪の中に自分が居て


奏でられる音楽は絶えない


それは春の訪れのように 色鮮やかなひとときです


これから重ねる 時を思えば


私達はまだ 始まったばかり



874.


限られた 明日を数えるのではなく


貴方が笑って過ごせた日々を


日記につけて 数えてください


私にはできないかもしれない


誰より怖いはずなのに


同じ仲間を 励ましながら


気丈に振る舞い 人を笑わせもするのだから



875.


別れを恐れ 出会いをやめてしまったら


その日が 別れになるでしょう


駅ですれ違う誰かと


いつか再び すれ違っても


それに気づくことはもうない


けれどもし 呼び止めることができたなら


“さよなら”は 再会の約束になるでしょう



876.


柔らかな声や 表情の裏に


貴方が隠す 不安や恐れを


私は想像してみるけれど


貴方は扉を開けて 自ら助けを呼ぶことができる


その強さに 私は驚いたのです


だから私は 気づくことができた


こんな私に 何かできることはありますか



877.


空へ近づくために 丘を越えようとしたあの日


「私はここで降りたい」と言った


「私を背負ったままでは


 この坂を上りきれないでしょう」


いいえ、貴方が足を怪我しても


最初から 私を歩かせるのは 貴方だから


一緒に越えようと 決めたのではありませんか



878.


貴方が描く物語は


貴方が見せる 世界そのものであるように


人は優しく 誰にも孤独を与えない


私の耳が聞こえなくなったら


その筆で 私に伝えてください


少年が 手にすることができたものを


少女を取り巻く 一期一会の仲間達を



879.


私には 貴方の欲する言葉が分かる


今すぐに駆け寄りたいと思う


けれど貴方は どこにいるのかも分からず


白い手を さらにやつれさせている


細い肩を さらに震わせている


今は言葉だけを寄せて


貴方を暖める 蝋燭の火が ぶれぬように



880.


空の下に さらなる厄災が訪れても


貴方の無事を祈りながら


私が此処にいることを


伝え続けなくてはなりません


どうか 私たちをお守りください


ようやく見つけた 一房の灯りが


最後の夢とならぬように






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ