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第九話 過去への挑戦、です!!



 道具や回復薬(ポーション)買えるだけ買い、カランカランというお馴染みのドアベルの音を鳴らしながら、僕はギルド会館の中へと入った。


 アクセルにクビを言い渡され、しばらく時間が経ち、今は夕刻だ。

 だからだろうか、今から依頼を受けようという人は見かけず、ほとんどの人達は宴を待つお気楽ムードといった感じだった。


 僕は話に花を咲かせる屈強な冒険者たちの間をすり抜け、クエストボードの前に立つ。

 そこにたくさん張ってあるクエスト依頼の紙をぐるりと見まわす。


「あったあった」


 ニヤリと笑いながら、お目当てのモノを引きちぎると、

 僕は、いつも勇者パーティを担当してくれていた受付嬢の窓口前に立った。


「あ、エルさん。こんにちは。あの、依頼受けたいんですけど、今、大丈夫ですか?」


「はい、新迷宮の探索依頼ですね。……って、カルマさん!? ソロで!? こんな時間からですか!? というかクビになった話聞いたんですけど、あれマジなんですか!?」


「相変わらずの質問攻めですね、エルさん。そしてストレートに僕の心を折っていくね、エルさん」


「失礼しましたー、すみませんでしたー」


「うん、まったく反省してないですよね」


 彼女は心が籠ってもいないような声を上げながらも、

 深々と頭を下げるのだからタチが悪い。


 彼女の名前はエル・ラファルさん。

 僕達のパーティの専属アドバイザー的な存在であり、その容姿の淡麗さから、冒険者だけにとどまらず、街中の男連中からも人気が高い、ギルド名物の受付嬢である。


 適格な指示やプランを立ててくれるから優秀っちゃ優秀な人なんだけど、割とその他のことがずさんってところが、玉にキズだ。


 まぁ、そんな少し抜けたところも人気の要因かな、なんてことを思いながら「頭を上げていいですよー」と言うと、彼女はニコッと笑って顔を上げた。


「私が失敗してもすぐにクレームに走らない、そんな紳士なところが好きですよ、カルマさん」


「冗談は良いですから手続きを早く済ませてください」


「ホントのことなんですけどねー、ま、いっか」


 こんなことを言いながら、彼女は僕のことをからかうのだ。

 まったく、僕はユウキ一筋なんだからな。それが例え誘惑だとしても負けないぞ。

 確固たる意志を固めながら待っていると、彼女はスラスラと何かを紙に書いて、手続きを済ませてくれる。


「はい、受注完了です。行って良いですよ」


 言われ、「ありがとうございました」と一応礼を告げてから踵を返したが、


「あ、ちょっと待ってください」


「な、何ですか?」


 呼び止められ、彼女にマジマジと目を見つめられた。

 ぐぬぬぬぬぬっ、みたいな顔をしている。


「……やっぱり、なんか良いことでもありましたか?」


「え?」


「いやー、なんか顔つきが変わった気がして。なんか憑き物が落ちたみたいな顔してて」


「わ、分かりますか?」


「分かりますよ、そりゃ。冒険者さん達の顔は、逐一確認してますからね。ほら、冒険者さんって職業柄、いつ問題起こしてもおかしくないですからねー」


「で、どうしたんですかどうしたんですかー?」と彼女は問い詰めてくる。


 ふむ。

 さすが、人気No.1の受付嬢。その目はプロのものってわけか。


 別に宝具のこととか言っても良かったけれど、

 いつもからかってくる彼女をからかいたい気分になった僕は、


「まぁ、「良いこと」は今から手に入れるつもりなんですけどね」


 と、決意と共に宣言した。


 それを見て彼女は優艶に笑い、


「へぇ……。じゃあ、楽しみにしておきますから、命にはくれぐれも気をつけてくださいね」


 なんて僕を試すような視線で言った。


「わ、分かりました」


 ちょっとエロくて可愛いな、なんて感情を押し殺し返答し、

 今度こそ僕はギルド会館を出る。


 受注したクエストは、新しい迷宮の探索依頼。

 依頼内容に書かれていた迷宮の構造からして、僕が狙うものと合致するはずだ。


「よし、やるぞ!!」


 僕が最初に挑むのは、僕が死んだ新迷宮。

 ゴブリンたちの迷宮だ。


ゴブリンか?→ゴブリンです。

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