僕の後ろで幼馴染が身体を洗っている
「今すぐお風呂入りたいよね、光」
「まあ入りたいけど……」
「じゃあ、ロック解除しまーす。しばらくしたらまたロックかかるから気をつけてね」
香恋がシャワーのレバーの下を操作する。
「……なあ、いくら香恋がすごくても、こんなのを短時間で作れないよな」
「……どうだろ、なんかたまたまできちゃったってことでだめ?」
「香恋さ、シャワーにこの改造を施すために、わざと前もってシャワー壊したりはして……」
「♪ー」
香恋は鼻歌を歌いながら風呂場を出て行った。
そういや嘘がつけなくて鼻歌でごまかす性格だったな香恋は。
香恋は、もしかしたら僕に好意を持ってくれているのかもしれない、と思う時もあれば、単に自分の改造力でもって幼馴染をからかいたいだけなのではと思う時もある。
どっちにしろ、大胆なことをするやつだな。
僕は一旦風呂場から出て服を脱いで、そしてまた入った。レバーを回すとちゃんと水が出てそしてお湯が出るようになった。
「……」
普通だ。香恋は入ってこない。まあどうせノリで大胆な計画をたてちゃったけど、いざ実行となると恥ずかしくてできないんだろう。
身体を洗い終えた僕は、湯船につかる。
貯めたのが前だから少しぬるい。追いだきしようかな。
と思っていたら、風呂場の扉が開いた。
タオルを巻いた香恋……! はいいよまだ。露出度が水着より低いくらいだし。
僕はどうすんだよ僕は。湯気ないぞ湯気。水は透明度抜群だぞ。塩素入ってなかったら美しい湖並みだぞ。
「タオル……腰に巻いて」
顔をそらしたまま香恋からタオルを渡された。
瞬時に巻く。タオル巻きコンテストとかあったらいつか出ようかな。今ので自信ついた。あるわけないが。
「私身体、洗っていい?」
「……僕壁向いてればいいですか」
「誘惑に負けそうになったら無理しなくていいよ」
「いや絶対負けない」
僕は決意し、湯船の中で身体の向きを変え、壁を向いた。
後ろで香恋がシャワーを流し始めた。
水音一つ一つがきになる。
後ろを見たい。でも見たらずっと残りそうだから抑える。
壁に指を当てる。
「何してんの?」
「……壁の模様で迷路」
「あははっ。小学生みたい」
声だけはいつも通りだ。
しかし、振り向けば、香恋の良いスタイルが完璧にあらわになっている……胸やお尻も……想像するだけでやばい……。
僕は無心で壁の模様をなぞった。ゴールはない。
お読みいただきありがとうございます。
こんなよくわからない設定の話を読んでくださって嬉しいです。
ブックマークや評価をしてくださった方、読んでくださった方ありがとううございます。