朝の静かな挨拶
次の日の朝。
僕は朝練のために早めに家を出たら、香恋に会った。
「おはよう……」
「おはよう……」
僕たちは、お嬢様学校の朝の挨拶並み(勝手な想像)の静かな挨拶を交わした。
そのまま静かに学校へと向かい歩き出した僕と香恋は、後ろからの軽い足音と「おはよ」の声に振り返った。
同時に振り返ったところを見ると息は合っているのかな僕と香恋は。まあそうかもな毎日おんなじ湯船に入ってるし。
香恋と仲良しの、三箇野波実だった。周りの女子にに、みみっちゃんと呼ばれている。
「あれ? 二人、喧嘩した? なんか静かだけど」
「ううん。別にそんなことないよ」
「そうなの? じゃあさては……もしかして……色々関係が進んでしまって昨夜……」
「な、何を考え始めたのみみっちゃん」
「んー」
「意味わかんないよ」
「……まあ、香恋結構純粋だもんね。逆に一緒にお風呂はいろーとか何気なく光に言ってそうで心配だよ」
「……」
香恋が固まった。僕はせめて脳内の香恋だけでも柔らかくしようと思い、おっぱいを思い出す。
そしてそれを振り払い、
「……確かに香恋はそういうこと言うかもしれないというかまあそういう場合もあるかもな〜」
香恋が固まってるのに三箇野が突っ込む前に僕はそう言った。
「かもね〜」
「かもな」
毎日一緒にお風呂に入ってるとは言える状況ではないなこれは。
ていうかいつ何時でも言える状況にはならないな。
いつから一緒にお風呂が日常になってしまったのか。
それからは、三箇野と香恋が楽しそうに会話しているのを僕がリスニング試験のように静かに聞くという状況になった。
香恋は少なくとも三箇野と話しているときは普通っぽくなったので、それは良かった。
じきに僕と香恋も普通に戻るだろう。




