シャワーが壊れた
僕は、長宮光という名前の、自分から見ても他人から見ても下から見ても横から見ても平凡な生活を送る高校生だ。
近くの渚ヶ丘学園というところに通っていて、そこのテニス部の準レギュラーポジション。団体戦とかではたまにしか試合の出番はないが、そこそこ楽しい部活生活を送っている。
しかし、今日、テニス部から帰ったら災難が待っていた。
「シャワーがでねえええええ!」
おい、僕は汗を流して、ついでに今日レギュラー一番手の先輩に一ゲームも取れずに負けたことも流して忘れたかったのに。
くそ。修理を頼むか。すぐやってくれるところってあるのか?
僕は服を着なおして、スマホで調べようと、スマホが置いてあるリビングに行った。
「またいつの間にかいるな。香恋は」
金原香恋は僕の幼馴染だ。眼鏡をかけていて、賢そうだけど可愛い。しかも本人は恥ずかしいらしいがスタイルも良い。
あとちょっと変わっている。というか僕はそこを尊敬しているのだが。
例えば、パソコンやその他色々を分解しまくってなんか改造している。
物の構造や仕組みに興味があるらしく、科学部でとても頼りにされているみたいだ。
熱心で好奇心があるところ、僕はそこを尊敬している。
で、リビングに話を戻そう。
「おーい」
「あ、部活お疲れ、光……あれ? すぐお風呂入るっていう習慣は今日はどこかに行っちゃった?」
香恋は、パソコンから顔を上げ、そう言った。ちょっと眼鏡がずれてても可愛い。見慣れていても可愛い。その眼鏡を見ながら僕は言った。
「いや、それがさ、シャワーが壊れちゃって。今から業者さんに電話しようかなって思ってさ」
「そんなことしなくても私直せるかも」
「え? まじで?」
「うん。あ、でも、もしかしたらだめかも」
「いやいや、直せるかもってだけで超助かる」
「じゃあ、私、家から道具とってくる」
香恋はなぜか鼻歌を歌いながら、楽しそうに出て行った。