世界を見守る旅人
時の流れに従い、私は闇を祓いながら歩き続ける。この歩みは不変であり永久を刻む。私が歩むと、追従する様に影が通り、遠くから歩む。私は2つであり、同時に一つである。交わる時、私の影が私を食らうだろう。そして、刹那の時にて蘇る。
私の影は気紛れである。隠れたかと思えば満ち足りた姿で現れ、老いて行きながら隠れ、また、若返りながら現れるのだ。他者にとっては、闇夜に導く存在であった。同時に人を狂わす存在とも言われていた。
青年では、花は咲き誇り冬眠から醒める獣をみる。中年では、恵みをもたらす雨が振り続ける。壮年では、緑の海と蝉時雨を聞く。熟年では、紅葉の山を眺め落ち行く葉の雪を楽しむ。初老に差しかかれば、既に一年が経とうとし、老年は冬化粧に彩られた白と灰の景色を遠見に春を待つ。
影は桜を眺め、夜景を肴に花見。怪談をする者を見、怪異を見る。捧げられた白く丸い団子を食べる。また、それらから離れ、眠るのだ。影は、私が知らない全てを見て楽しむ、自由なものだった。
私は今も、この空の下に居る全てを見守ろう。いつかこの星が滅びて、果てなき闇に還るまで。
彼は何者でしょうか?
久々にRuinaをプレイして、空の巨人から、この話しを書こうと思いました。
もしも彼の心を知ることが出来たなら、いったい何を思って在り続けたのだろう。