表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/30

災厄の足音

どうも、どこぞやのチョコレートマカロンです!

お待たせいたしました!

ようやく物語のスタートでございます(笑)

それでは、どうぞ!

海岸沿い

江戸戦闘指定地区―――参〇八砲台

そこから約八町ほど前方。

潮風とその冷気を感じられる程度の高台に一つ、陽光に映し出された影があった。


じじ、、、と通信機(インカム)独特の乱れ(ノイズ)が入り込む中、彼は空間画面ホロウインドウを展開する。

少し待ち、機動音とともに半透明な画面が眼前に浮かび上がる。



通信先――部隊3名

称号名[犬][猿][雉]


通信先を選択し、回線へ繋ぐ。

一時的に乱れ(ノイズ)が途切れ、再び微弱に流れ始める。


{部隊全員へ、桃太郎リーダーより指令。

まず犬へ告ぐ。

そこから約参丁先に5匹確認。

早々に対処を頼む。}


すると、威勢の良い気張った男の声が通信機(インカム)越しに返ってくる。


{了解ィ!

任せとけ!久々に暴れてやるぜぇ!}


返事を返した兵士は目下、ごつごつとした岩の突き出る荒地を疾風と化して駆け抜ける。

そうして敵の眼前まで迫ると、紅い刀身が閃くのが遠目から分かった。

彼は淡々と続ける。


{雉、前方十壱時の方向にて、敵の応援部隊が迫っている。

よって、[空鳴]の機動および狙撃を許可。


――――奴ら(人形ども)を吹き飛ばせ}


{了解!

どーんっと重いの叩きこんであげますとも!

桃太郎リーダー!}


{猿、お前は雉の[空鳴]の護衛と射程範囲外にいる鬼の始末を頼む。

――指令は以上}


{了解}


この戦場を楽しむかのような元気の良い返答と、冷静さの中に甘美な魅力を秘める声音を聞いた。

桃太郎(リーダー)と呼ばれた彼は、作戦の記された空間画面(ホロウィンドウ)を開き、指令漏れがないことを確認する。

と、付け足すような[猿]の通信が入り、彼はあわてて回線を繋いだ。


{――どうした? 何か問題でもあったか?}


{―――いや、違う。あなたはどう動くのか、聞いておきたい}


そういわれて、あぁ。と返事をした。

彼は前方へと視線を移す。

先ほどと変わらず、冷気を伴った潮風は荒涼とした戦場を流れている。

状況の違いといえば、先刻より[災厄の足音]と異形な隊を組む鬼が目視できるようになったことだろうか?

そんなことを考えつつ、彼は硬化刀を鞘から抜きさる。

世ではすでに「時代遅れ」などと言われる、強化金属製の刀身を持つ刀。

鋼は、静寂に包まれた夜の闇を閉じ込めたような漆黒。

どのような光も全て呑んでしまいそうな深い暗闇だ。

しかし、暗闇を照らす月光のように、刀身は下界の光を乱反射させている。


{―――俺は前方の七匹……だな}


すると、遠方で紅い刀身をきらめかせていた[犬]が割り込むように通信を入れてくる。


{――お! 大きく出たなぁ、桃太郎(リーダー)! ――っと!}


ジリンッという剣戟音が聞こえてくる中で暢気に、はやし立てるように[犬]は言う。

すると、不機嫌そうに[猿]は[犬]を刺す。


{うるさい、目障り。[(だけん)]は黙ってて} 


チッと舌打ちでも噛ましそうな罵倒は、完全な啖呵となった。


{あぁ? 手前こそ梨乃の支援(サポート)だけやってろよ}


{突っ込むことしか能のない[犬]は黙ってなさい}


{男なら突っ込んでなんぼだろうがっ!}


{男? オスの間違いでしょ?}


{なんだとっ!}


{―――ち、ちょっと二人ともやめましょうよ、こんなときに!

それと[犬]さん!任務中に名前は禁句ですっ!}


{……す、すまねぇ……}


{……[雉]が言うなら仕方ない……}


[雉]は一生懸命と言ったように、二人の間に入り込む。

彼女はどちらとも仲がいいために、割り込まれるとしぶしぶ喧嘩をやめざるえない。


{[雉]の言うとおりだ……任務中の私語は慎め!

総員、目の前の任務に集中せよ。 以上}


{{{了解}}}


返事だけは上等だと思いながら、彼は通信をきる。

通信機インカム本体に内蔵された、音声再生機プレイヤーを機動。


不明番号 参 =====


一定の音調を繰り替えす旋律が、彼の聴覚を支配しはじめる。

そして彼もまた、戦場へと駆け出した。

音とともに戦い、舞うように刀を振るう。


――――()()()()()のその腕で。






江戸城 将軍御前


「―――――と、以上です」


「そうか。

ご苦労であった。

防衛府への食料、および水の供給。

そのほか、何か必要な物はあるか?」


「はっ。

部隊全員の衣類を一着ずつ。

[猿][犬]の[陽炎][雪氷]の替え刃(カートリッジ)

[雉]の23匁超硬化合金弾丸と[空鳴]の重油の補給。

そして、黒曜の砥石をいただければと」


「分かった。

しかし、よいのか?

そなた達、まったくといっていいほど

娯楽などに手を伸ばさんが?

真面目なのは結構だが、休養も怠るなよ?」


「御心づかい感謝いたします。

ですが、私めらは、既に充分満足のゆく生活を営んでおります。

これ以上、いただくわけには御座いません」


将軍 徳川家綱公

桃太郎はそんな会話を将軍としつつ、ここに来るのは何度目になるかと考えた。

初めこそ緊張した将軍の御前も、今となっては物怖じすることなく対話ができるようになっていた。


今から随分昔。

この江戸という近未来都市が都市として世界に認識され始めた頃。

[災厄]と呼ばれた[鬼]は、江戸への侵略を始めた。

世界では[ghost]や、[monster]とも称され、

正式な名称を[人界殺戮機械人形]という。

圧倒的な力をもって、非道な殺戮を繰り返す存在。

日本の遥か東に位置する[鬼ヶ島]を跋扈していると言われ、

当然、人間では太刀打ち出来ない。


――――そう、人間では。


[対鬼人殲滅機械化兵士]


異常な力を持つ[鬼]を、それを上回る力でねじ伏せる機械化兵士。

[技術結晶(やおよろず)]から複製(コピー)された[機械義手]を用い、人智では測り知れない力を駆使して戦う。

[鬼]の侵略は、段々と過激さを増しており、幕府は対策として、江戸戦闘指定地区と防衛府を設立。

兵士達は、防衛府に派遣され、江戸戦闘指定区画内にて[鬼]の殲滅を主な任務としている。

その機械化兵士内では、4~5人程の部隊編成がなされる。

[桃太郎一団]は、その中でもエリートを集めた精鋭部隊。

よってこのように謁見が許され、最も侵略が激しい[参〇八地区]の防衛を任されている。


「そうか。

まあ、今後もよろしく頼むぞ」


「はい、お任せ下さい。

では、私はこれで」


将軍の言葉に身を引き締め、彼は将軍の間を後にしようとした。


「あ、ちょっと待て」


「はい?

いかがなさいましたか?」


戸に掛けた手を離し、将軍の方へ振り返る。


「今回は、大好物(きびだんご)

いらないのか?」


「……お願いします」


いたずらっ子のような笑みを浮かべる将軍に、桃太郎は赤面を見られまいと、早々に将軍の間を後にしたのだった。





江戸時代の勉強。

しないとなぁ、、、、orz

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ