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ささくれ辞典 【笹】  作者: 笹石穂西
りけいーにんげんこう【理系人間考】
4/6

理系人間考(二) ~ダメ理系の私が文字数と初動アクセスの相関関係を解析してみるようです~

 ※今回は新井素子テイストでお送りいたします。




 本題に入る前に、ちょっと前置きです。

 理系人間考と、他の「○○考」の違いを、少しご説明しておこうかな、と思います。

 たぶん、「なんでこの話が理系人間考なの?」と思われることが、けっこう出てきそうなので、先にその辺を明確にしておきますね。




 理系人間考。

 そう言うからには、とにかく理系チックな内容であれば、ここに書いていけばいいのかな、と思っています。

 内容はいろいろあるけど、理系っぽく考えるものは、大体ここだと思ってくれてかまいません。


 だけど、たとえば、前回のショートショートランキング調査。

 これ、どこに入れるべきだと思います?

 やっぱり、ショートショート考かな。うん、まあ、そうなんだろうなあ。

 でも、すみません。そうはなりませんでした。

 なぜなら。私のイメージしている「ショートショート考」ってやつは、ショートショートの分類だとか、お話の作り方だとか、このショートショートがすごかった!とか、そういうものなんです。理系的には、定性的、って言えばいいんだろうか。ちょっと違うような気もするけど、うん、まあ、いいにしておこう。


 対して、この「理系人間考」。

 どんなものを書くかというと、「定性的」ではなくて「定量的」なお話を書くつもりです。




 ちょっと、この二つの言葉について、簡単に説明しておくね。

 いま、あなたの目の前に、二つのボールがあるとしましょう。大きさは何でもいいです。テニスボールくらい。

 で、この二つのボールの色なんですが。

 どっちも青系統の色調をしています。ただし、「濃さ」が違います。片方は薄い青色、もう片方は濃い青色です。

 人によっては「水色」とか「藍色」とか、「濃紺」とか、見え方がいろいろあると思います。

 でも、とにかく「薄い」「濃い」という違いがあるな、というのは、分かると思うんです(視覚的なご病気をお持ちの方はすみません。あくまで説明なので、軽く流してもらえるとありがたいです)。


 では、この二つのボール。

 その「濃さ」は、どれくらい違うんでしょう?

 これ、たぶん、数値化できる。光の吸収率だとか、吸収される光の波長だとか、詳しくは知らないけど、きっとできる。


 このように、数値を扱ってものごとの性質を測ることを「定量的」と言います。

 対して、数値は見ずに性質だけを見ることを「定性的」と言います。「濃い」「薄い」とかね。


 ……この説明でわかるのかな。と言うか、そもそも、この説明で合ってるのかな。

 やや不安ですが、そう大きくは間違っていないとは思うので、そんなふうに理解してください。




 ということで、この「理系人間考」では原則として、そんなふうに数値を扱う、定量的なお話をしていきます。

 他の「○○考」では、原則としては、定性的なお話がメインになると思います。

 ただし、「いくら定量的な話だと言っても、それはさすがにショートショート考に入れたほうがいいでしょう」というようなものは、そっちに入れます。この辺は私の感覚なので、読者とは食い違いがあるかもしれない。

 それと、別に定量的な話じゃなくても、明らかに理系だろう、というものは、理系人間考です。ブラックホールの話とかね。


 ちょっといい加減な気もするけれど、エッセイだし、いいよね。

 と、まあ、そんな感じです。





              ***






 それでは本題です(お待たせしました)。

 今回はそんなに長くなりません(たぶん)。


 私のアクセスデータを、ちょっと解析してみました。

 そんなに難しいことをしたわけではないんですが、少し面白い傾向が見えてきたので、ご紹介しようと思います。


 次の絵を見てください。




挿絵(By みてみん)




 これは、さっきまとめた、四月二十六日十九時時点での、読切形式の投稿の小説情報データです。

 何も手を加えていないので、今後「生データ」と呼ぶことにします。

 ジャンルは、すべて短編です。長編なんて書けませんから。


 いちばん上が最初に投稿したもので、五日前です。下に行くほど新しくなっていって、いちばん下は今日投稿したものですね。

 いちばん左側の列は、タイトルです。英数字は個人的な管理番号なので、気にしないでください。

 その隣の列が文字数。五百字から六千字程度になっていることが分かります。

 それから評価ポイント。これはいいですよね。

 そして、投稿日時。投稿時間も書いてあるけど、何も気づかなかった振りをしてください。

 最後に、PV数。これは、投稿当日を一日目として入力しています。今日のデータはまだ変動するでしょうから入力していなくて、昨日までの分を入力しています。

 UU数は、日別表示ができるかどうか分からないけど、とりあえず今回は何もしてません。




 それでは。

 まず、これに少し手を加えてみましょう。次の表です。




挿絵(By みてみん)




 文字数とPV数のデータを抽出してみました。

 文字数のところには「×100」と書いています。これは、中に入っている数字を100倍したものが本当の文字数だよ、ということです。少し事情があって、百分の一にして書いただけです。

 それからPV数ですが、最初の三日間、つまり初動アクセスだけ書いています。「初日」は初日のみのPV数、「~翌日」は初日と二日目のPV数の合計、「~三日目」は初日から三日目までのPV数の合計です。

 三日を過ぎると、もうたいして増えないようなので、まあ三日間だけ見ればいいかな、と思いました。


 で、これをグラフにしてみました。「視える化」というやつですね。次の図です。




挿絵(By みてみん)




 まず、グラフの見方を説明することにしましょうか。


 横軸は、文字数です。文字数は、さっきの表と同じように、百分の一にして書いています。

 さも深い事情があるように書きましたけど、実はそんなたいした理由はないです。あのままだと、桁が大きくて、横軸に並ぶ数字が多くて見づらいかな、と思ったので、百で割っただけです。


 縦軸はPV数。何も加工していない、生のままのデータです。


 最後に、マーカーの色が三つに分かれています。赤、黄、青。

 赤色は初日のみ、黄色は初日と二日目を合わせたもの、青は初日から三日目までを合計したものです。

 日が経つごとに、暖かそうな色味から寒そうな色味に変わっていく。そういうイメージです。




 さて。

 では、グラフをよく見てみましょう。

 見ましたか。なんだかよく分かりませんね。ごちゃごちゃしています。


 ここから分かることですが。

 まず、赤色の上に黄色、黄色の上に青色のマーカーが来ています。

 まあ、当たり前です。日にちが経つほど、アクセスは伸びるわけですからね。とは言え、その伸び率はやはり急激に落ちていくようですね。


 次に、左の方のマーカー群に注目してください。

 やっぱり短いお話はPV多いですねえ。文字数が増えると、どんどん減っていく。

 ……と、思ったら。あれ? 途中でいきなり増え始めて、四千字あたりでピークになっています。一番短いお話と同じくらいのPVになっています。

 なんでだろう。


 実際のところは分かりませんが、短編を探している方は、とにかく短いのと、四千字くらいの長さのものが好きな人が多くて、読者層が分かれているのかもしれません。

 もしくは、寝る前に見る習慣がある人は短いお話を見て、昼休憩時に見る習慣がある人は長めのお話を見るとか、そういう要素が隠れているかもしれません。


 あるいは、私の四千字くらいのお話が「見たくなる」内容だったのかもしれません。どれだろう……四千字……。ちょっと、二枚目の表を見返してみましょう。

 ありました。『健康な社会』です……って、えっ? 『健康な社会』ですか? 全然わからない。なんで、これなんだろう。曜日かな。その可能性は高そう。休前日だったし、見る人が多かったのかな。


 とりあえず、それは一旦おいておきましょう。曜日の影響はかなりありそうですが、また別途考えます。


 次は、短い側。

 三日目までのPV数がいちばん多いのは、『教育』のようですね。一五七PV。

 そのすぐ下に『会場』があって、一五〇PV。そのあとは一〇〇PVあたりで密集しています。

 うーん、これについては、分かることは特にありませんね。投稿時間やUU数で何らかの気づきは得られるかもしれないけど、このグラフからはよくわかりません。確かにこの二本は面白く作れた方だとは思うけど。


 そうそう。私の二千字~四千字あたりのお話が、見ようという気にならなかったとか、面白くなかったとか、そういう可能性もあるかもしれないぞ。

 えっと、『釣り』『巻き戻る』『息抜きの駄文』『エフ博士の発明』『最後の……』『やまびこ』がそうみたいです。ただし、最後の三つは、まだ三日間のデータが集まってないので正確なデータにはなっていません。

 ……これ全部、私はそこまで嫌いでもないんだよな……。

 どういうことだろう。わからん。


 文字数と初動PV数には相関があるんじゃないかな、と思ったんですが、よく分かりませんね。

 まあ、サンプリング数が少なすぎるというのはあります。三千字前後のがたまたま人気のないやつばかりだったのかもしれない。もしかすると、他の投稿者の方々のデータも合わせれば、文字数が増えるにつれて、PV数はゆるやかに下がっていくのかもしれません。

 このへんのことは、どんどん投稿していって、サンプリング数を増やしていくしか方法はないですね。


 あとは、単にUUが少ない、とか。ユニークユーザーが少ないと、当然再読回数も減るから、PVも減ると。

 要するに、私の知名度が低いってことですよ。このへんは、まあ追い追い考えます。






 さて。


 このまま終わってもあまり面白くないので、ちょっとデータに手を加えてみました。

 次の表をご覧ください。




挿絵(By みてみん)




 さっきの表と、どこが違うか分かるでしょうか。

 実は、PV数を、文字数で割っています。

 つまり、一文字あたりのPV数です。


 では、これをグラフにしてみましょう。




挿絵(By みてみん)




 さっきのグラフの傾向が、より顕著に見えるようになりました。

 これが何を意味しているのかというと、他にも解釈の仕方はあるかもしれませんが、私は「労力対効果」だと解釈しました。

 つまり、あるPV数を稼ぎたいときに、どれくらいの文字数なら効率がいいのか、ということですね。

 非常に俗な考え方のようで、抵抗がある方もいるかもしれません。私もそうです。

 ですが、事実は事実です。受け入れるしかない。


 こすっからい考え方をすれば、「PV数を稼ぎたいなら短いのを書け」「長いのを書いてもいいけど、よっぽど面白くないと効率悪いよ」ということになるんでしょうか。なんか、いやだな。

 すごくプラス思考に考えれば、私が書くお話は、短いものほど面白い、ということかもしれません。


 では、この事実を、私なりに、こすっからくない見方で捉えてみます。


 他の方と比べてどうかはわかりませんが、少なくとも私が書くショートショートの中では、短いものは比較的受け入れられているようです。

 しかし、比較的長めのものを書く場合は、今のままでは力不足。

 より長い時間を使って、より長いお話を書いたのに、それが成果に見合っていない。


 ならば、どうするか。


 きちんと見合うよう、面白いお話を書くしかないでしょう。努力です、努力。


 言われてみれば、確かにそうなんです。長いものを書くのって、大変なんですよね。

 「本当にこの展開や構成で、読み手はすんなり入り込めるのか?」という振り返り確認を、おろそかにしていました。

 薄々感じてはいたことが、ここまで明確に、数字という形で現れてしまいました。

 叩きつけられてしまった、という感じです。


 この気づきを活かさない手はないでしょう。

 次からは、振り返りをしてみればいいんです。

 勢いだけで投稿せず、一歩立ち止まる。何回も何回も確認してから投稿する。


 きっと、データにも変化が現れてくれると思います。

 見てもらうチャンスが増えるように投稿時間を操作するとか、宣伝をするとか、そういうのもするべきなんですけど、少なくとも私の場合はその前に、自分の力を上げないといけないな、と感じました。

 操作とか宣伝とかはその後かな。せっかく見てもらっても面白くないんじゃあ、逆効果ですしね。





              ***






 以上です。

 今回は、アクセス数と文字数の相関を調べてみました。

 いかがだったでしょうか?

 ええ、確かにあんまり、新井素子っぽくはなかったですね。読み直さなきゃ。


 こういうやり方は、マーケティング的な戦略にも使えるでしょうし、自分の強みや欠点などについての気づきを得るためにも有効だと思うので、一度試してみてはいかがでしょうか。

 ショートショート以外のジャンルではまた違う考察や解釈になるんでしょうが、何かしら得られるものはあると思います。




 次回は、投稿からの経過日数とアクセス数の推移を調べてみます。

 ……普通はこっちを先にやるんですけどね。時間の経過に伴う出力の変化を見るというやつです。「経時変化」と言います。

 シンプルな話になると思うので、次回はもっと短いです。






 それではそれでは。


 ここまで、私ごとき者の書いた文章に長々とお付き合いいただき、本当にありがとうございました。


 いつものように、最後は私の好きなこの言葉で、締めくくらせていただきます。私の好きな作家さんが、あとがきで毎回使っているフレーズです。




 もし。


 もし、このお話を、あなたに「役に立った」と、「おもしろかった」と、そう思っていただけたとして。


 もしもご縁がありましたなら、いつの日か、また、お目にかかりましょう―――――。


 




平成二十九年四月二十六日

                                           笹石穂西

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