87、国家の未来像
帝都バタクから王都オバリへの新幹線内で、今後について議論していた。
「ナヴァワジルは今後のサタル帝国をどう思う?? 」
「バラン皇帝陛下の治政は素晴らしいでしょう。しかし、カールハインツ皇太子殿下の治政になれば、戦火は絶えないでしょうね」
「最初に狙われるのは、オスリスか」
「そう、なるでしょうね」
「それか、帝国内での内乱かだな………」
「内乱ですか………」
ナヴァワジルは、俯き加減で口元に右手を当てて考え込んでしまった。
いろいろと状況を整理して外交上の最適解を導くことだろう。軍を動かさなければならないなら動かそう。デリックとアグランの意見も聞かないといけないけど。
「ルリはどう思う」
「血祭りにあげましょう」
妖艶な笑顔で、強烈なパワーワードのジャブを放ってきた。応接室での一件を根に持っているようだ。どちとも聞けない。そして、想像に難くないが両方だろう。男の方はどうでもよいが、女性が血祭りは可哀そうでならない。ひょっとすると、老人までもされなくもないが………。考えないでおこう。
ナヴァワジルは俯いた状態で、口元に当てていた手を外し、腹のあたりで腕を組んだ。しばらくして、頭をあげてこちらを向いた。
「サタル帝国を手中に収めましょう」
俺はナヴァワジルの言っていることが理解できなかった。先の戦争で国境線が伸び新たに4つの国と国境を接することになってしまったのにもかかわらず、また、新たな国境線を引こうというのか。国内も安定したか分からないというのに………。
少し低値の声でナヴァワジルに尋ねる。
「ナヴァワジル、サタル帝国に侵攻しろと??」
「いいえ。帝国軍とは戦火を交えず、謀反人カールハインツを捕らえるのに協力し、サタル帝国という国家を存続させたまま、我が帝国に組み込むのです」
「何が違う………の………。国家の集まりを創ろうというのか‼‼ 」
「陛下。理解が速くて助かります。しかし、ルリ殿は……… 」
俺、初めて見るよ。頭から湯気出してる人。
ルリは、頭が悪いわけではない。むしろ、頭がいいほうであるが、この件に関しては無理だったようだ………。
ここでの会話が『連邦帝国』構想議論の発端であった。
侃々諤々の議論の末、『連邦帝国』が成立したかは、後の未来に分かることであろう。それまでは、神もベリアルも分からぬことだ。
最近、話のテンポが遅い気がするの私だけ??
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