82、帝都へ
「半日もせずに、着いてしまった」
呆然と目の前にあるブリュッセル宮殿に似たバタク宮殿を見つめてとある男が呟いた。それに連なるように放心状態の男達、もとい、ラフルド・ハイラム・フラウロスの護衛達はバタク宮殿を見入る。
それとは反対に、自国の宰相を見つけたバタク宮殿の守衛は、上に報告するためにバタク宮殿へ走り去った。
とある団体の先頭を歩く子供が嬉しそうに誰かに同意を求めるように呟いく。
「新幹線だとはやいな~。3時間程で着いちゃったよ。普通の使ってたら12時間位かかっちゃうのにね~」
子供、ベリアル・オリアス・セアル・オスリスが連れて来たもの達も唖然とバタク宮殿を眺めている。ベリアルは、ラフルドを急かすように言葉を続ける。
「ラド小父さん、早く皇帝陛下に逢わせてよ」
「あぁ、そうですね。早く参りましょうかね。」
仕事を思い出したラフルドは門前に立って声をあげた。
「開門せよ。ラフルド・ハイラム・フラウロス公爵である。皇帝陛下の御客人である、オスリス王国国王べリアル・オリアス・セアル・オスリス国王陛下をお連れした」
「開門。開門」
ほとんど防御力のないであろう縦縞の観音開き門がゆっくりと開いていく。完全に開ききると、ラフルドを先頭にバタク宮殿へ歩みをすすめる。
宮殿の入り口にあと少しのところで、入り口が開き、少し息が上がった老人が姿を表した。
ラフルドは、姿を表した老人を見て、少し呆気にとられたがすぐに半下座をして、帰還の挨拶をする。
「陛下、ラフルド・ハイラム・フラウロス。ただいま戻りました。」
「うむ。予想よりも二週間も早い帰還じゃ。今頃、オスリス王国オバリにおるとおもうておったのじゃが…………。して、そちの隣にいらっしゃるのがオスリス王国国王べリアル・オリアス・セアル・オスリスか」
ベリアルはラフルドを手で制して自ら名乗りをあげる。
「お初に御目にかかります。オスリス王国国王べリアル・オリアス・セアル・オスリスです。よろしくお願いします。貴方が、サタル帝国皇帝バラン・チャールズ・マルシュナー・アレクシス・サタル様であってますか? 」
「そうじゃ。サタル帝国皇帝バラン・チャールズ・マルシュナー・アレクシス・サタルじゃ。よしなにな。ここではなんだから応接間にでも行こうか」
「そうですね」
バランは、一団の先頭に立ってベリアル達を案内する。
一連の流れをバタク宮殿から凝視する人物が居た。その事に、ベリアル達は気付いていなかった。この人物によって嵐が吹き起こる。
誤字脱字がございましたらご報告宜しくお願い致します。




