80、気弱で心優しくて小さくて人形のように可愛い子はどこへ・・・ 參
更新が遅くなって申し訳ありません。しかし、誰も私に誕生日プレゼントを送ってくれなかったからですからね。なので拗ねました。
私の愚痴はこれくらいで、本編をどうぞ
私を昨日商業区画に置いてけぼりにした張本人が対面に居座っている。昨日会った護衛たちは顔を青くしながらラフルドの後ろに立っている。今オスリス王国の王城の応接室は、和気藹藹とした会談の場では決してない。しかし、ナヴァワジルとラフルドは莞爾として笑っている。
「フラウロス宰相閣下、なぜあなたが我が国にいらしたのですか? 」
「オスリス国王陛下にご挨拶申し上げるためにやってきたのですよ」
「ただそれだけですか? ほかに何かあるでしょう? 大事なことが」
「ありますが、それは国王陛下に直接申し上げます。ですので、国王陛下に合わせていただきたい」
「その内容がどのようなものかお聞かせいただけないのなら、国王陛下に合わせるわけにはいきません」
「仕方ありませんね。少しだけお話いたします。貴国にも我が帝国にも利のあるお話ですよ。これ以上は言えません。確実にオスリス王国に利があります」
「それだけの情報で国王陛下に合わせるわけにはいきません。もう少し情報がほしいのですが? 」
「ナヴァワジル外務大臣、今日、私が持ってきた御話は、私の後ろに控えて居る者たちでさえ知らない帝国の最も重要な国家機密なのですよ。貴方にたやすく教えられるものではありません」
「ならば、我が国で上層部でも一部しか知らない陛下に纏わる最も重要な国家機密を教えましょう。この機密を知らなければ、フラウロス宰相閣下が絶望なさるかもしれないですから。取引といきましょう」
ラフルドの顔が真っ赤になり怒りで顔を歪めて机を勢いよく叩く。
「レザン、貴様ぁ、陛下を出しにするとわ!! 根が腐っているのではないか!! 」
ナヴァワジルは、さっきの言葉でラフルドがここまで激高することは予想できていた。何故ならラフルドは陛下を我が子のように可愛がっていた。ラフルドは陛下の全て知っていると自負している。
そのためにラフルドはサタル帝国に居るときでも陛下の全てを知るために王城に密偵まで放っている。
余談であるが、一応ラフルドはサタル帝国の宰相でオスリス王国の外務省情報局の密偵である。オスリス王国の密偵が王城に密偵を放っていることになる。オスリス王国の王城に密偵を放つことが出来ている国はサタル帝国だけである。密偵は陛下の行動を記録するだけ他のことは一切しない。オスリス王国がどの様に動くのか何処に軍を配置するのか一切調べない。そのためナヴァワジルは放置している。何故ならラフルドからの抗議が面倒だから。
「落ち着けフラウロス」
「落ち着いていられるか!! レザン早く教えろ!! 」
「いいですよ。そちらも我が国にいらした御用件をお聞かせください」
「わかった。皇帝陛下がベリアル国王陛下にお会いしたいそうだ」
「皇帝陛下がオスリス王国にいらっしゃるのか? それとも陛下にサタル帝国へ赴けと? 」
「まだ、決まっていませんよ。で、そちらの話も」
「それだけの話で話すのはためらうが、陛下は記憶喪失なのかもしれない。だからラフルドのことを忘れていらっしゃるかもしれん」
「どういうことだ!! 」
「我々にも分からん。だから、今は陛下に会わせることはできん」
「なぜだ!! 私と陛下の再開を邪魔するのか!! 」
「ラフルド、少し落ち着け」
「貴様ぁ、ちゃちな嘘で我を騙す気か? 」
ナヴァワジルは、苦虫を口にしたかのような顔になる。しかし、ナヴァワジルも容易くラフルドを陛下に合わせるわけにはいかない。しかし、記憶喪失のことは本当だ。どうするべきか考え始めると相手方も黙り、応接室に静寂が訪れた。
『バン』
静けさを破るように大きな音を出して応接室の扉が勢いよく開く。応接室に居た皆が闖入者を睨みつけた。最初に行動したのがラフルドであった。その行動とは、背の低い闖入者に膝を床に付き抱きつくことだった。一番驚いたのは抱き着かれた闖入者、次がラフルドの護衛達。そして、ナヴァワジルは頭を抱えた。
「陛下、お会いしとうございました」
闖入者は、いや、ベリアルは、目を白黒させながら状況の把握に努めた。抱き着いてきた男はどこか懐かしい感じがする。しかし、すぐに思い出せない。だって、抱き着いてきた男の顔をよく見てないし、今見えているのは頭部だけ。これで、思い出せと言われても無理な相談だ。
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