77、海軍整備開始
早いですね。もう一月が終わってしまいました。皆さんは如何お過ごしですか?
「陛下、もしやアレのことで呼び出したのではないですよね? 」
四人を代表してデリックが質問をしてくる。アイゼンルワールは、なぜ呼ばれたのか、なぜ三人とも嫌な顔をしているのか全く見当がついていない。三人は、いつも通りのアレだと確信しているが、新顔のアイゼンルワールにわかるはずもなかった。
「デリックや、アレとは何の事だか分からんなもっとハッキリと言ってくれぬとわからんぞ? 」
少し耳が遠くなったお爺さんのように質問を質問で返してやった。
「戦が終結するたびにしている国勢調査ですよ! 」
「デリックはしたいみたいだから国勢調査宜しくお願いします」
デリックは、意を決して発言した言葉にこの様な言葉を被せられるとは思っておらず目が点に成っていらっしゃる。
そんなにビックリすることかな? 自分から発言しているんだから予想してそうなものなんだけどな。
「では、本題に入られてもらう。アイゼンルワールには、船大工を出来るだけ、いや、カルバッタ洋に面している他国の船大工も全て集めてほしい」
「なぜ、船大工を沢山かき集めるのですかの? 」
撃沈しているデリックをほっておいて話を再開させる。
「現在の我が国は陸軍国家だ。しかし、港手に入れたのだから活用しない手はない。だが、活用するためには船が沢山いる。そして、海軍の強化も必要だ。もし、しなければ海軍国家に港を奪われてしまう。手は打てるときに打っておかなければな」
「その通りですの。して、それだけではありますまいの。陛下」
「よくわかっておいでだ」
俺は、執務机の引き出しから二枚のとある紙を執務机に広げた。四人はその紙を凝視する。沈没を免れたデリックも食い入るように見ている。最初に言葉を口にしたのはアイゼンルワールだった。
「陛下、これら二つは船の設計図のようですが櫂がありませんの」
「あぁ、そうだ。二つとも櫂はない。帆船だからね」
「帆船だとあまり進まないのではないでしょうか? 」
「デリックそんなことはないよ。塩湖ではほとんど風がないから櫂を使っていたがこれからは海だ。海ではよい風が吹く。それに、今までの船ではうまく風をとらえることができなかったから櫂船が主流だっただけだ。そして、風の強さによって帆の調整が出来る点だな」
「素晴らしいですの。陛下」
「アイゼンルワール、おだててもなにもでんよ」
「しかし、二つもいるのでしょうか? こちはらは小さいようなのですが? 」
「ナヴォワジル、良いところに気が付いたな。大きい方がガレオン船。これは、戦闘に特化した船だ。こっちの小さな船はフリーゲートと言って、主に哨戒・通報や船団護衛・通商破壊と言った裏方の船だ。まぁ、両方とも大砲は付けるが数が異なってくるけどね。大砲の方は俺が用意しておくけど、今使っている加農砲より劣るものになるだろうけど」
「現在使っている加農砲が優れすぎているのです」
「アグラン、そうとも言うな。それと、我が国で新兵器の解体をしたいと言っている者たちを探してくれ」
「「「「御意」」」」
「アイゼンルワール、この二つを製造しながら普通の櫂船も製造してくれないか? 」
「陛下、船大工の集まり次第となりそうですが出来る限りさせていただきますの。しかしどうして、櫂船も製造するのですかの? 」
「櫂船は他国に売り付ける。ただ売り付けるのではないがな」
「何をするおつもりなのですかの? 」
「それは内緒だ。最後にこれを作って欲しいのだが、この二つが充分できてからの製造開始とするので見せるだけだかな」
「「「「これはすごい(の)」」」」
「では各々行動を開始してくださいね。 あ! アグラン、小国郡とマカロン連邦の兵の再編を頼む。以上だ」
「御意」
アグランは、いきなり右ストレートをくらったような顔をして、三人に続いて、トボトボと執務室を出ていった。戦争が終ったのに貴方の仕事がなくなるわけがないじゃないですか。
少し可愛そうなことをしたかなと少しだけ罪悪感にとらわれたが仕事だから仕方ないことにした。
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