64、入学試験
神創暦494年佳月15の陽オスリスでは、すべての学校・大学で入学試験が執り行われようとしていた。
ルリが語りかけてくる。
「陛下、今日はすべての学校と大学で入学試験が執り行われる予定です」
「ようやくここまで来たんだね! 長かったな~ 」
「そうですね」
本当にここまで来るのにオスリス王国中を東奔西走した。あるときは、電車に揺られ。またあるときは、『メルセデス・マイバッハSクラス』に乗り書類と格闘をしながら―――――。現場につくと学校設計図とニラメッコをして学校を建てたり、城壁を建てたりした。
王城に帰ると今度は、大臣達や教育局の幹部達、関係幹部との打ち合わせ。どのような方針で授業を展開していくのか? 4年生以上の授業科目をどうするのか? 学年制にするのか、それとも、単位制にするのか? 飛び級は有りなのか無しなのか? 授業時間は何分にするのか? 何歳から入学できるようにするのか? など様々な議題が上がりその都度数日の時間を割いて議論してきた。そして決まってきた内容は、4年生以上は自分の好きな授業をとる方式(地球で言う大学と同じように)とした。その都合で3年生以下は学年制で、4年生以上は単位制とした。授業関しては、大筋は決めたが、他の部分については教師に一任する形となった。授業時間は、3年生以下は45分授業で4年生以上は50分授業となった。10年間は9歳から18歳までが入学が可能で、10年後には、9歳から絶対入学にする計画である。なので、18歳の人は今年絶対に入学しないといけない。他の年齢の国民は入学しないと、国から来年は入学しよう手紙・来年絶対入学しよう手紙のどちらかが届く手筈に成っている。しかし、19歳の以上は、学校には入学できないがテストで一定以上の学力があると大学に入学が出来るように成っている。
今年の入学希望者は、9歳から18歳でどれだけ応募が来るか心配していたが、その斜め上でやって来た。全9歳から18歳の内、五分の四が応募してきたのであった。そして、大学入学希望者も多くとも八百人と当初予定していた数を難なく上回ってきた。その数八千人当初予定していた十倍もの入学希望者がいたのであった。これには、幹部連中も驚いていた。その後の試験準備が大変であったのは言うまでもない。まぁ、試験準備が幹部連中にすべて丸投げであった。そして、大学を建て一ヶ月もせずに増築することに成ったことも言うまでもない。
俺は、学校へ向かっていた。なぜかと言うと、入学試験前に受験生に言葉を贈るためだ。
俺が試験会場に入るとサワザワと五月蝿かった会場内が静かになった。そして、俺は壇上に上がり声を張り上げて言葉を贈る。
「今日は、入学試験のためにわざわざこのオスリス王国立セアル中央学校に来てもらい感謝する。また、今日の試験で、この学校に通えるのか、また、違う学校に通うようになるのかが決まるが、もし、違う学校になってしまっても、凹まず勉学に勤しんでいただきたい。3年生に成ればまた話があるかもしれないが、3年生の後半に4年生に進級したいだけの者の試験がある。高得点をとれば、4年生のときはこの学校で授業を受けれるかもしれない。しかし、この学校で授業を受けているからと慢心しているとこのテストで違う学校に通うようになるかもしれないので、このテストを目指して3年間頑張ってもらいたい」
とてつもない拍手を受けてだいぶんビックリした俺ではあったが、平静を装い壇上からおり、城の執務室へ帰っていく。
執務室につくとナヴォワジルとアグランが待っていた。
「そういえば、帝国は静観を決めていたな。一方の騎士国は、攻めてくるのではなかったのか? ナヴォワジル」
「その通りでございます。しかし、ラクバスク騎士国は、ガルメスタ王国との講和が上手くいっていないようです。なので当分の間は攻めてこれないのでしょう」
「それよりも、東の小国群の方を対策を打たねばなりません。奴等は、パンナタ王国が潰れてからじわじわとこちらに進攻しようとしております! 特に、北から『エルニア』『ダナバニア』『モガルニア』の対策をせねばなりません! 」
「我が国が動けば消し飛ぶほどの小国ではないですか」
「ナヴォワジル、我が国も数か月前まで大国が動けば消し飛ぶほどの小国ではなかったか? 」
「申し訳ございません」
「今思ったのだか、ドブマタ連邦はどういう方針なのだ? 」
「諜報員の報告によりますと、ドブマタ連邦は、親オスリス王国派と反オスリス王国派が対立しておりまして、どちらも議会で互角の戦いをしておりまして、暗礁に乗り上げたそうです」
「では、南部はラクバスク騎士国とドブマタ連邦両国の今後の動きにより決定しよう。でも、いつ攻めてくるかわらんから準備は抜かりなくな。しかし、東部は静観するのではなく動かねば、エスカレートするからな。なにか良い案はないものか? 」
「陛下、でしたら、軍事行動に出てみてわ? いつも、受け身では良くないのでわ? 」
「アグラン殿、もう少し穏便にしなくてわなりません! 」
「ナヴォワジル、わか国は、もう侵攻されているのと変わりないのだぞ! 」
「アグラン、落ち着け。ナヴォワジル、諜報員を使って三か国、いや、小国群でわが国を攻めさせるように操ることはできないか? 」
「少し時間がかかるかもしれませんが、やろうと思えば出来なくわないかと思われます」
「しかし陛下! 他国に我らの領土に土足で踏み込ませるのですか! 」
「踏み込ませるわけがなかろ。すべてこちらが指示を出すのだ。敵の内情がすべて分かっているのだから手の打ちようはいくらでもある」
「しかし! 」
「国境はアグランが守っているではいか! 何を心配することがあるのか? それと、新型兵器の使用も許可する」
「・・・新型兵器を使うのですか? 」
「そうだ。軍事演習だと思え」
「陛下、新型兵器とは? 」
「軍事演習まで秘密。早く見たかったら早く小国群をけしかけろ! アグラン、ナヴォワジル、上手くやってのけろ! 」
「「御意! 」」
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