60、ピクニック?
ついさっき造られた駅で竣工式が執り行われることになっているため俺は一人で駅舎に向かって歩いている。
駅舎は何となくインパクトが欲しかったので煉瓦造建築にしてみた。一応は日本の建築基準法をクリアするように作っている。オバリのほとんどの建築物は石造建築であるために、駅舎は目立っていた。それに、人だかりが出来ていた。そりゃそうだわな。突然、煉瓦造建築物が出来たのだから。
ちなみにこの駅舎は、日本の東京駅北口をモデルとしている。理由は、日本の煉瓦造建築物であり、駅舎であったからと、時計も付いているから時計塔がわりにもなるかなと思った次第です。まぁ、本物見たことないけど。一度は見たかったな~。
そこに、二頭立ての公用馬車が五台到着して、国家公務人が馬車から二十人出てきて、駅舎の中に入っていった。それを見届けた馬車は、城の方へ駆けて行く。
まだ来る奴がいるのか? 今さっき降りた人の中には、重要職の奴等は、居なかったな。
城の近くに、省の建物作った方がいいかな? また後で考えよ。こう言う時ってだいたいやらないと思うな。
やっぱり、いいな。東京駅わ。違う違う。そう言えば駅名決めてなかったな。オバリ駅、違うな。オバリ地下鉄駅、無理や。後で大臣たち呼んで考えよ。
竣工式が終わってから駅名考えるってのもおかしな話だな。駅名は、オバリ駅に成っちゃうのかな? まぁいっか。
オバリ駅(仮)は、駅舎に入って五m辺りに発券所兼改札の窓口ブースが直径一m、奥に二mの長穴の形をしたものが五個あって、長穴の長方形の両側に窓口になっている。窓口は、動物園や宝くじの窓口のような仕様にしてある。因にであるが、高さ一四〇cmのところまで大理石で出来ていて、この上は、天井まで強化ガラスにしている。窓口ブースと窓口ブースの間は一mで真ん中にポールが並んでいて仕切るようにしている。
窓口は、右から壱、弐、参と並んでて、壱から肆までが貴族用窓口、伍と陸が商人用窓口、漆から拾までが誰でも受付可能窓口となっている。
まぁ説明は、此れくらいにして、駅舎に入ろうかな。
今日は、竣工式だから駅舎の入り口で人が立って女性が案内している。今後、窓口で働く女性だろうな。
と思いながら入ろうとしたら止められました。なぜ?
「貴族の子弟様、申し訳ありませんが今日は竣工式でして、限られた人しか入れないのです」
「私は、限られた人人の中にいるのですが? 入れさせてもらえないでしょうか? 」
「今までに入場された方は、皆さん馬車でこられていまして…………。申し訳ございません」
「では、駅長を呼んでください」
「しかし」
「どうしたのかね? 」
駅長らしき人が出てきて、訝しげに俺を見てきた。そして、はっとして首からかけていたロケットペンダントを見た。デジャビュ。
「駅長、この方が無理に入ろうとしているのです」
駅長だったか。その駅長は、目を見開いてワナワナと震えている。
「申し訳ございませんでした。この者の教育が足りず失礼しました。君も頭を下げんかね! 」
「しかし」
「陛下、どうされたのですか? 」
後ろを振り向くとアグランが立っていた。
「アグラン、来たのか? 」
「陛下が御造りに成ったものを見ないでどうします? 」
「そういうものか? 」
「そういうものだと。そして、馬車はどうしたのですか? 」
「いや、歩いてきた。視察次いでだ」
「だから、すぐに入れなかったんですよ」
「そおかな? で、入ってもいいかな? 」
「ど、ど、どうぞ。ベリアル国王陛下、先ほどは申し訳ございませんでした」
「じゃ、アグラン入ろうか」
「はっ!」
後ろから駅長と女性駅員の変な会話がされているのが聞こえた。
「ここ、王都に居ながら貴様は、ベリアス教徒ではないのか! 」
「ち、違います」
「今すぐに入信してこい! 」
「はっい! 行ってきます! 」
女性駅員は、走っていった。
もしや、違うよな。違うといってくれ! 神よ!
『神が神頼みしてどうすんのよ! 』
女神様! お久しぶりの登場ですね!
『登場って言い方するな! それに私を信仰する者と同等数が貴方を信仰してるんですよ! 』
女神様の宗教とは? もしや、バナマス教じゃありませんよね?
『そのもしやですが? 何か! 』
俺、人間宣言します!
『無理でしょ』
神は死んだ!
『貴方がいます。それに私は死んでないので』
不安げな顔をしたアグランが口を開いた。
「陛下、どうされましたか? 」
「考え事を」
「何か危惧されることでもありましたか? 」
「私用の事だ。気にするな」
「はぁ」
「アグラン、貴族専用のホームはこっちだぞ」
「は!」
俺が考えていた駅の構造としては、貴族と国民が一緒のホームを使うように考えていたのに、貴族たちに却下された形になった。まぁ、利用頻度により改築していくつもりだ。
竣工式は、恙無く終えたあとに行き先は告げずに、出席者全員で快速電車に乗り込み、出発する。出席者全員がもろ手をあげて喜んでいた。が、三十分した辺りで、確認することがなんなったのか落ち着いて座席に座っている。「個室がほしい」等ど言う文句がポツンと出たが、皆がソイツを睨んで黙らせていた。数人は、座席をしきりに触っていた。座席を気に入って頂けたようだ。隣近所で話し合っている会話が「この電車のなかは涼しいな」と当たり前だ。エアコンがついているんだから。
そうしている内にたどり着いた。皆が電車から降りて、地上へと出ていく。
皆一様に驚いていた「此処は何処だ! 」と、アグランだけが嘘だろ、といった顔をしている。
「陛下、此処はドーマで間違いないですよね? 」
ざわざわしだす。ここがドーマなのか。信じられん。などいろいろなことを言い出した。
「正真正銘、ここが旧バナマス聖国第三都市にしてオスリス王国現北・最大都市ドーマである」
「半刻、一時間程で着いたように思うのですが…………」
「一時間でついたな。国内を行き来し放題だな! 」
「じ、時短でありますね」
アグラン顔が引きっているぞ!
「一時間自由時間だ! 時間に遅れたら置いていくからな! 遅れたら自費で戻ってこいな! 以上解散! 」
皆が思い思いのところへ駆けていった。
俺は何をしようかな? と思いながら、ブラブラしていると、なぜか囲まれ拝まれています。救援を要請する! 至急、救援を要請する! 誰でもいいから助けて~ 脱け出せたのが三十五分後の事であった。くたくたになって、集合場所に到着する。集合時間まで待って王都への帰路に着いた。集合時間に遅れる奴がいなくて残念だったとだけ記しておく。一人だけでも遅れてこいや! 面白くないやろ!
王都への帰宅中に思ったのが、マシンガン一々買うのめんどくさいなと。生産でも出来たらいいのにと。頭のなかで検索してみるとありました。次はこれを地下に秘密裏に造ろうと決心したのであった。
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