43、バナパンヨバ三国同盟戦争 其の参
遅くなってしまって申し訳ないです。
評価ありがとうございます。
北部司令部は、張り詰めた空気が漂っていた。その時、
「総司令部より入電、『皆の帰還を宴の用意して待っている』」
「総司令部へ、『精一杯頑張ります』と」
「はっ」
へストンは焦っていた。『精一杯頑張ります』と返信したのは、勝てる気がしていなかったからだ。一万対四万。四倍の兵力差。それで勝てと命令する人間は、馬鹿だと思う。しかし、ベリアル陛下は、新兵器として、加農砲を設置し、マシンガンを全兵に装備させている。マシンガンの凄さは、前回、前々回の使用時に確認されている。しかし、加農砲はどれだけ凄いのか分からない。砲撃練習では、土がえぐれ土が舞い上がる程度しか分からなかった。これで本当に勝てるのだろうか?
「へストン将軍閣下、敵軍が第一次警戒線侵入いたしました」
「敵数は?」
「約四万であります」
「総司令部へ、『敵軍、第一次警戒線侵入、敵数約四万』と」
「御意」
「総司令部より入電、『敵軍後部が射程圏内に入り次第攻撃せよ。後は、任せる。逐一報告せよ。』」
「総司令部へ、『御意』と」
ついに来てしまった。私達は、本当に勝てるのだろうか? 勝たねばならない。神よ。オスリスの民に力をお与えください。
「敵軍、加農砲の射程圏内に入りました。一つの箱馬車が射程圏外です。どうされますか? 」
「チカロフ枢機卿が乗っている馬車だろう。回収するように命令が来ている。後で回収する」
「御意」
「馬車から来てくれるそうだが」
「は? ………はっ」
いくか……………。
「加農砲、全門打ち方……………初め」
「パァーパァーパァーパァーパァーパァーパァーパァーパァーパァーパァーパァーパァーパァーパァーパァーパァーパァーパァーパァーパァーパァーパァーパァーパァーパァーパァーパァーパァーパァーン」
「ドードードードードードードードードードードードードードードードードードードードードードードードードードードードードードーン」
北部司令部の窓から敵軍を見下ろすと…………………。敵兵が吹っ飛んでいく。いや、敵兵の一部分が飛んでいっているのも。緑だった土地を真っ赤に染め上げていた。加農砲は、これ程強力な兵器だったとは、今さっきまでの自分がバカらしくなってくる。いや、恥ずかしい。何故、私は陛下を信用してなかったのか。やはり、陛下は偉大である。いや、陛下は神かもしれない。
敵軍に降り注ぐ砲弾は止まない。北部司令部の皆が窓から敵軍を見下ろして、その場景を信じられなかったからだ。
一人の男が
「………将………軍」
「あ。打ち方止め」
やっと砲撃の音が止んだ。そして、砲弾も止んだ。
「無抵抗の者は捕虜に抵抗するものは殺しなさい」
「御意」
「情報局本部より入電、『チカロフの捕縛に成功した。どの門から入ればよいのか』」
「情報局へ『西門へどうぞ』と」
「情報局本部より入電、『分かった』」
「待機中の第二オスリス国軍に通達、井蘭車に乗車せよ」
「御意」
次は、こちらの番だな。しかし、加農砲は………………。




