31、金魚
パンナタ王国・宰相、エフゲニー・スメルティンは、馬車に乗りヨバタラカ公国の公都・マヨバカに向かっている。
「オスリスのちびは、一回勝ったからと言って、賠償金だ? 多すぎるだろう? それに払えるわけがない! お前もそう思わないか? 」
とエフゲニーは、正面に座っている男、ファブリス・マスグレイヴに愚痴る。
「それは、閣下が負けなさったから」
「オスリスにあんな武器が有るとは思わないだろ」
「まぁ、あんな武器は、見たことがないですな。どうやって作ってるんだろうな? そう思はないですか? 俺はあの武器が作ってみたい! 武器と金を下さい!!!!!! 」
「ファブリス、たぶん無理だ。武器が手に入らん。手に入ったとしたら、オスリスに勝ったときだ。しかし、勝てる気がしない」
「でも、オスリスに勝つためにマヨバカに来たのでわ?」
「しかし、最初に、ヨバタラカ公国と次にバナマス聖国が動かなければ…………」
「大丈夫ですよ。オスリスの土地は金のなる樹です。バナマス聖国、ヨバタラカ公国とも喉から手が出るほど欲している土地ですよ? それと我がパンナタ王国も 」
ファブリスは、ニヤリと笑う。
「そうだな。いける気がしてきた」
「閣下、マヨバカに着いたみたいです」
「そうだな」
外から声がかかる
「閣下、マヨバカにつきました」
「すぐに出る。では行ってくる」
「いってらっしゃいませ」
「あぁ、頑張ってくる」
エフゲニーは戦場に赴く。
ファブリスは、その背中を見て、お辞儀をした。その顔には不敵な笑みがこぼれていた。周りには聞こえぬ声で
「金魚から本部へ、パンナタ王国、宰相エフゲニーは、先ほど、マヨバカに入りました」
「本部から金魚へ、会談内容は後で報告せよ」
「御意」




