2、忠誠
公務はいたって簡単であった。
執務室で気にくわない宰相が見た上奏や報告書などに玉璽を押すだけであった。
本当に気にくわない。
王様がこんなことしているだけだなんておかしい。なぜか知らないが上奏や報告書の文字が分かる。
(この王様は字が読めなかったらしい。)
読んでみたけれどこの国の情勢が分からない。だから、読めても内容を把握することが出来なかった。
宰相が執務室に、入ってきて
「陛下、公務は進んでいますか?全然進んでないではないですか、早く終わらせろ」
「今日はこの公務が終われば、終わりだ、さっさと終わらせろ」
と言って出ていった。
一時間ぐらいで公務を終わらせる。
上奏や報告書の内容がわかるように情勢を知らなければと思い。
執務室にルリを呼んだ。
ノックをしてルリが入って来る。
「陛下、何かご用でしょうか?」
「ルリは、俺の味方か宰相の味方どっちだ?」
ルリは刹那に答えた。
「私は、国王陛下の御味方です」
「それを証明できるか?」
「はい、できます。陛下は、忠誠を誓っていたり好意のある者とそうでない者がお分かりになります」
「それで忠犬見たいに感じたのか」
「私には、わかりかねますが、そのように思います」
だからあのおっさんからは忠犬って感じがしなかったのか。なるほど!
「じゃ他のメイドたちも僕に忠誠を誓っているんだな」
「私にはわかりません。陛下だけが、感じるのですから」
「じゃ、話は変わるけどこの国の情勢を教えてほしいな」
「なぜか今そのようなことをお聞きになるのでしょうか、あ、やっとザイル公爵を……」
ルリは、一人で納得したようなので、それでもいいか。これでいいのか?まぁいいや。
それにルリはとても嬉しそうだから。
「御意、この国は、陛下のお父様が崩御なされて、ザイル公爵が好き放題している状態です、政は、ザイル公爵の派閥の貴族派がしきっています、派閥の割合は、貴族派が6割、国王派が2割、派閥に属していないのが2割となっております、申し訳ございませんがこれ以上のことは、私は知りまん」
「分かった。あの、おっさ、んん、ザイル公爵に見つからないように、メイドに探らして」
リルが凛とした顔で
「御意」
と言った。なんとも頼もしい!
(ルリは仕事のこと?になると『御意』って言うみたい)