1、転生
昨日の夜まで、しがない日本の学生でした。
今は……………
なぜこのようになったのか皆目見当がつかない。
学生であったときの最後の記憶は知らない人間に刺されていた…………。
目を覚ますと天井付きベットで横になっていた。
そこは、いつも寝ている自分のベッドでもなく、実家の部屋のベッドでもない。
全くもって知らない豪華でふかふかなベッドで寝ていた。
「おはようございます、陛下」
「?」
声のする方向を見ると、メイド服を着た人がいる。
ロングスカートのメイド服を着た自分好みの女性が………
なぜか、忠犬のような感じの女性だ。人懐っこいよ様な、甘えてもいい様な、護ってくれそうな雰囲気を纏った女性であった。
そのメイドは深々と頭を下げて言う。
「おはようございます、陛下」
「おはよう?……貴方は誰ですか?……ここはどこですか?」
「陛下は、また、寝ぼけられて……?」
「陛下ってそもそも誰のこと?」
メイドは、とてもキョトンとした顔をしていた。
「陛下は、あなた様のことです……」
「またまた、そんな嘘通じるわけ無いじゃん!」
「陛下、本当にどうされたのですか?本当に私の名前も分からないのですか?」
「分からない、メイドさんは何て名前なの?」
メイドは、とても不安げな顔をしている。
「私は、ルリと申します」
「メイドさんはルリって名前なんだ。自分の名前は侑都、賀藤侑都って言います」
体を疑うような目でじろじろと見てくる。
「侑都様ですか、お体は、陛下ですのに………… あ! こんな馬鹿なことをしている時間は、ありません。陛下、私で遊ぶのもやめてください」
今、メイドに馬鹿と言われたし全部流された気がする。
「公務が嫌だからといって、そんなことでは騙されませんから」
ちょっとほっぺたを膨らませながら怒ってきた。
これはこれで可愛い。
ん?今思ったが、俺は公務をしなければならないのか?
全くもって公務の仕方を知らない。どうしよう。
「陛下、早く御召し物をお着替えにならないといけませんね」
と言って訳もわからすパジャマから豪華でありながら品のある。例えるならば、王様が着るような服に着替えさせられた…………
あれ? 地面が近い、足が短い、手が短い…………
「失礼致します」
と言って、ルリは部屋から出ていった。
どうなっているのか分からない。とても混乱してきた。どうしたらいいのだ?全くもって分からない。
気を落ち着かせようとに窓の外を見た……………
ここは異世界だ! と直感でわかった……………。
外を見るとそこは、そこは………そこは…………そ、こ、は、観たことの無い風景が広がっていた、多分西の空?に月が二つある。
多分東の空には太陽は一つある。が太陽の色が何か違う。気がする。
落ち着こう!
辺りを見渡していたら鏡があった
鏡を見ると…………俺が小3ぐらいの時と瓜二つ。何で?
絶句する。
って言うと小3ぐらいの餓鬼が公務するのかよ。
そもそも陛下って呼ばれてるけど、どっかの王様なのか?
状況を確認しなくてはと思い部屋のそとに出た。
そこに、ルリを筆頭に、とてもきれいな(可愛い)メイドが5人並んでいた。みんな、リルと同じように忠犬って感じがする。一人一人雰囲気は少し違うようだがみんな俺を護ってくれそう。
「「「「「陛下、おはようございます」」」」」
「お、おはよう」
とてもビックリした。
ルリが前に出てから
「陛下、食堂の方にに朝食の準備がととのっています」
「あ、分かった」
食堂と言われてもどっちが食堂の方なのか分からない。
一か八か、左へ歩いた。
「陛下、そちら食堂ではありませんよ」
外れてしまったようだ。ドウシタモノカ。
「ちょっと疲れているので食堂まで案内してくれ」
口調はこれでよかったのか?
ルリは、何か考えてるようだ。
「陛下、ではこちらへ」
案内してくれるようだ。
よかったのか?
俺の前をルリが歩き、俺の後ろにはメイド達が続く。
そして扉の前に着いた。
「陛下、食堂でございます」
扉を開けて中に入っていった。
そこには、豪華な朝食が並んでいた。
俺は席に案内されて一番奥に座った。
他に誰もいない。
いつも一人でご飯を食べてはいるが何か寂しい。
でも、なにもすることが出来ない。
テーブルに並んでいるものを見ると、並んでいるものはみな美味しそうだけど、見たことある料理が少ない。食べ馴染みのあるパンは有るようだ。ほっとした。
しばらく、朝食を食べていると、食堂に丸々と太った気にくわない50代ぐらいのおっさんが入ってきた。
一瞬でピリピリとする空気になった。
「陛下、おはようございます。今日もちゃんと公務をしていただきます。まぁ、私が見た見たものに玉璽を押すだけですが」
とおっさんが言ってきた。
後ろに侍っていたルリに小さな声で聞く。
「あの人誰?」
ルリが目を見開いて小さな声で言う。
「陛下毎日見ているではありませんか。宰相のザイル公爵ですよ、アルイン・ザイルです」
こいつが宰相、やっぱり気にくわない。
何か我が一番偉いって言う風な感じかする。
もしかして俺はこのおっさんの傀儡なのかもしれない。
多分、傀儡なのだ。
「陛下、どうしましたか? 早く朝食を食べて公務をしてください」
「あ、分かった」
「『あ、分かった』じゃない『分かりました』だ」
「分かりました」
「よろしい」
俺がこの国を取り返そう。できるのか、いややらねば。俺の未来のために。
今は小国の王…………らしい。
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