17、パンナタ王国からの使者
16、井闌車2を少し最後の方を変えましたので、読んでから読んでいただいた方がよいと思います。
最初の砦(城塞都市)を落として一週間経った。パンナタ王国の5分の3ほどを征服していた。
最初の砦を落として、すぐに度肝を抜かれたことがあった。アグランのことだ。アグランは、最初の砦を落として高揚したのか、それとも、あまり功績をあげられなかったのか、井闌車に兵士を乗せたまま、次の砦を落としに行ってしまった。俺たちは、数分間その場にたちつくした。追いかけようにもアグランの乗った井闌車は見えなくなっていて、皆動揺した。がアグランは、あれでも軍事省大臣なのだから…………。軍事省大臣が、軍規を破るとは前代未聞である。しかし、大臣そのものが軍規とするならば正しいことなのだか………。あいつ大臣の任を解こうかな? などと、考えていたらすぐに帰ってくると思っていたが、一向に帰ってこないので、皆慌て始めた。その時(アグランが行ってしまってから4時間後)、アグランは、意気揚々と帰ってきた。ので俺とルリとカタナスで説教を小一時間(二時間)した。説教後に戦果を聞いてみると、5つの城塞都市を落としてきていた。
最初の砦を落として2日が経った日に、城塞都市に攻めいったら(ちゃんと降伏勧告はします)、都市に兵士が居なかったり、降伏してくるものが多かった。ので楽に侵略することができた。抵抗してきた敵兵は、痛い目にあってもらった(三途の川を渡ったのがほとんど)。
やっと今日、パンナタ王国から使者が来た。
今、俺がいるところは先日占拠した、商業城塞都市・ナリン、読んで字のごとく商業が活発な城塞都市である。今まで攻めていた城塞都市よりも大きい。大通り、小路には、商店や屋台などが立ち並び、活気がある。占拠したときは、住人などが逃げ出すとおっていたが商店や屋台などしている商人は、領主の館(?)にやって来て取り入ろうとしている。今日も朝から物が送られてきていた。お金、高級家具、高級なお酒、容姿端麗な娘、美人や美少女の奴隷、など色々なものが送られてきている。本当に貰っていいのだろうか?一番悩むのが、娘や奴隷なのだか………。などと考えていた午後の事、やっとパンナタ王国から使者が来た。
俺は、この領主の館で最もきれいだと思う部屋(応接室?)の前までやって来た。呼吸を整えて、応接室に入る。そこには伊達男が椅子に座っていた。その伊達男は、俺が入って来たので立ちあがって、あさめのお辞儀をする。俺を下に見ているのだろうか?それとも演技か?はたまたただの馬鹿か?どれかだろう。俺についてきている皆(アグラン、カタナス、ルリ)が少し怒っているようである。俺は伊達男の正面にある長椅子に座る。
「使者殿、お座りください。それとお名前をうかがっても?」
「人に名前を聞くのであれば、オスリス王国の司令官坊っちゃんからしてはどうか?」
アグランが手を出そうとしたので手で制する。
「それもそうですね。私の名は、べリアル・オリアス・セアル・オスリスです。オスリス王国の国王です。」
使者は、一瞬にして石化する。そうだろう、ほぼ最前線に国王がいるのだから。それにアグランたちが誇ったような顔をしている。やめてほしい。今すぐやめろ!
使者は、頭を振ってから
「失礼なことをした。私の名はエフゲニー・スメルティン、パンナタ王国の宰相の職にいる者です。」
相手は、宰相だとは、それにここに護衛もつけずいいるとは(護衛は違う部屋で待機している)、何を考えているのだろう?
「宰相殿とは、何用でしょうか? こちらも忙しいのですが?」
「貴方がたが侵攻してきた件ですが。なぜここまで侵攻してきたのか?」
「その問いに関しては簡単なことです。攻められたから攻め返しただけですが? 」
「攻め返すにもほどがあるでしょう!」
「しかしですね。攻められ続けられるのはちょっと……。」
「侵攻するにも程がある!5分の3は広すぎだ。」
「 それに休戦のための使者が来なかったからですが?最初の進行から一週間も建ってるですよ。それに使者が来なければパンナタ王国は滅んでいたでしょうね。」
「何! お前頭おかしいのではないか?」
「あなたの方が頭おかしいのでは?」
「何だと!」
「オスリス王国の塩を密輸していた貴方に言われるのはしゃくにさわりますね」
「な、その様なことを私がすると、馬鹿馬鹿しい!」
「ルリ、あれ持ってる?」
「これでしょうか?」
「それそれ、ありがとう」
俺は、ルリから渡してもらった紙をエフゲニーの前におく。
「これがあるのに、そんなことが言えるのか?」
「これは、なぜお前が持っている!」
「塩の密輸認めたね、それと貴方は何をしにここに? それに我々は忙しいので、用がないのならば帰っていただけると」
「……………」
「お客様のお帰りだ」
アグランとカタナスが動いてエフゲニーの腕を掴む。
「休戦交渉をしよう」
とっさにルリが
「属国にしてくださいの間違いでは?」
吹きそうになってしまった。危ない危ない。
「それでは、休戦交渉をしましょうか? 高くつきますが。」
「お、お、おね、お願いします」
アグランとカタナスがエフゲニーの腕を掴んでいたのをはなす。とエフゲニーは膝から崩れ落ちた。




