10、人口
貴族派の者たちの処遇は、当主の死刑、爵位の剥奪、財産の没収、家族の奴隷に降格とした。
奴隷にした者たちの中から強健で端正な顔立ちの男性、淑やかで麗しい女性を数名選んで宮殿の仕事に従事させることにした。
貴族の親族を宮殿で従事させても大丈夫か?ってだって人手が足りないんだもの仕方ない。
ある日の朝、三大臣を呼び出した。
「国の人口、名前、家族構成、農民の畑の大きさ、商人の数を三省協力して調べあげろ」
「陛下、軍事省が陛下をお守りできません。」アグラン
「近衛隊がいる」
「陛下、しかし時間がかかりすぎますし……」ナヴォワジル
「事務次官以下のもの全員にさせればよい」
「陛下、日常業務が……」デリック
「「「……………」」」
「俺はみんなを信じている、頑張ってくれ」
「「「…………御意」」」
そんなに嫌そうに返事をしなくても、それでも仕事はきっちりする君たちを信じている。みんな頑張ってくれることを期待する。
これを日本では《ブラック企業》という。
二週間後
執務室
「宰相のデリック・ベイントン様が参られました」
扉の外からルリの声が聞こえる。
「通せ」
「デリック・ベイントン謁見申し上げます」
執務机の前でデリックは跪いた。
「面を上げよ」
「ハッ」
デリックの上げた顔の目には隈ができていた。
「陛下、この国の調査書です」
「よく頑張ってくれた」
「陛下もったいなきお言葉」
「ありがとう」
「………」
デリックの目には涙がたまっていた。
頑張ってくれたんたな
「陛下、失礼します」
「嗚呼」
デリックは執務室を出ていった。
調査書を要約すると、
国の人口は、72,361人
農民の人口は、36,354人(小作農も含む)
商人の人口は、9,242人(働いている人も含む)
無職の人口は、8,243人?
奴隷の人口は、18,522人
農地は、72,708ヘクタール
国土の110分の1ぐらいが農地。
国の人口聞いてたより4万人も多いのだか。
そうしたら兵士少なくないか。
無職の人を選別して兵士として勤めてもらうか。
選別から外れた人を国営の農園でも造って働いてもらおうか。
そうしよう。
あっちの世界から肥料を購入して実験でもしよう。
でも今からデリックを呼びつけるのは、気が引けるな。
でも、農具をどんなの使っているのかを調べよう。
「ルリいる」
「はい」
ルリは執務室に入って扉の前で跪いた。
「御用でしょうか? 」
「ライムントを呼んできて」
「御意」
ルリは踵を返して執務室を出ていった。
数分後
「陛下、内務省事務次官ライムント・ヴァグナー様が参られました」
「通せ」
ライムントは、執務室に入り絨毯の前で跪いた。
「陛下、ライムント・ヴァグナー参上いたしました」
「面を上げよ」
「ハッ」
「何用でしょうか? 」
「この国の農業で使っている道具はどのような物たのだ?」
「鋤の先に鉄板を付けた物です」
「フム、作物は何を作っているのだ? 」
「一般的に小麦、少数派ですが大麦です」
「フム、王都の近くに国営の農園を造りたいのだができるか?雇うのは無職の者たちだ」
「できると思われます、貴族派の財産等がありますので」
「内務省の方で農園の場所を煮詰めといてくれないか?農具、肥料、何を作るかは俺が決めておく」
「ハッ」
「内務省にこの報告は明日にしてくれ」
「ハッ? 」
ライムントは首をかしげていた。
「用件は以上だ」
「失礼します」
ライムントは執務室を出ていった。
「かぶとクローバー探さないとな、無かったら買えばいっか」
翌日の午後からまた内務省は慌ただしくなった。




