表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/9

5 気付いてほしい

   5 気付いてほしい


 それからというもの、スロワは何かと理由をつけて灰花の元に行き、軽音部へ誘ったり、一緒に音楽を聴いたり、買い物へ行ったりした。その中にはあの楽器屋も含まれており、灰花はベースに興味を示している様子だった。


 「しかし楽器って高いんだなぁ…軽音のやつらすごいんだなって思ったよ。スロワが持ってるって言ってたのも結構高かったし。やっぱバイトとかしてんのかな?」

 「小遣いじゃ買えないのか?」

 「そりゃお前の小遣いなら買えるかもしれねぇけどさ。これだから金持ちのボンボンは」


 多くの者の避難場所、屋上。宮下灰花と西野隆弘は、柵に寄りかかるようにしてそこにいた。今は放課後、外は晴天。日差しが強いが吹き抜ける風のおかげかさほど暑くはない。


 「最近スロワと仲良いんだな」

 「え?」

 「この間まで口開きゃ『くずはさん』『くずはさん』だったのに、最近スロワと一緒にいることが多いみたいだな。いい雰囲気じゃねぇか」

 「そ、そういうつもりじゃ…」

 「ん?今何を考えた?俺は何も言っちゃいねぇぜ?」

 「あっ、てめぇ…!」


 何も隆弘だけがそう思っているわけではない。スロワの友人たちの間でも、灰花と親しげにしている姿が度々目撃されていたため、話題の中心になっていた。もっとも、スロワの方は強く否定していない。ただ、彼女にも彼女なりの思いというものがある。


 「ねぇ、リックスいる?」

 「あら、どうしたのスロワ、珍しいわね」


 リックスの元に隣のクラスのスロワが訪れたのは、灰花と隆弘が屋上で戯れる少し前、ホームルームが終わった直後のことであった。スロワはリックスを廊下に呼び出し、少し人通りの少ない場所まで連れて来た。


 「どうしたの?」

 「折り入って、アンタに頼みがあるの。アンタじゃなきゃ、多分できないんだけどさ」


       *


 屋上にいる灰花の元に、電話がかかってきた。スロワからだ。仲良くなってから、連絡先も交換していたのだ。


 「もしもし?」

 「あ、宮下、今ヒマ?」

 「え、あぁうん」

 「これからさ、CD買いに行かない?ウチいいとこ知ってんだー」

 「マジで!?行く行く!」

 「じゃあウチ校門のとこで待ってるから」

 「オッケー、すぐ行くわ」


 電話を切ると、隆弘が隣でニヤニヤと笑っていた。


 「楽しんでこいよ」

 「…あぁ」


 灰花は屋上を出て、階段を下り、教室に寄って鞄を取ってから、校門へ向かっていった。校門のところに、目立つ紅色が見える。近付く。ピンクのイヤホンが見える。と。


 (あれ…?)


 灰花は何かに気付き、隣まで近付いて、確信に至った。


 「お前、隣のクラスの…ウェグレーだっけ?こんなとこで何やってるんだ?」

 「…え?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ