2 桃色の糸
2 桃色の糸
チャイムが鳴った。授業終了だ。これで午前の授業は終わり、昼休みになる。皆思い思いに昼食を取り始める。スロワもクラスの友人たちと弁当を広げた。転校生の彼も男子生徒たちに誘われていたが、どこからか電話がかかってきて誘いを断っている。
「あの転校生、何君だったっけ?結構珍しい名前だったよね?」
「うん、確かね。私名前覚えるの苦手でさぁ…スロワ、どうしたの?」
「あれ?おかしいなぁ…ウチのイヤホン知らない?」
「えー?知らないよ?どんなの?」
「ホラ、いつもしてるやつ。ピンクの」
「さっきの体育のときじゃない?スロワ急いでたし」
「マジかーショックだわー探しに行かないと」
一方、転校生は教室を足早に出て行き、購買に向かった。その途中、外に向かう道に女子更衣室がある。扉の近くに何かが落ちているのを見つけた。ピンクのイヤホンだ。彼はそれを拾い上げ、購買に走った。
お昼時なだけあって、購買は人でごった返していた。真っ先に向かったのは製菓売り場。迷うことなくプリンを手に取り、素早く会計の列に並ぶ。レジは思いの外スムーズに進んでいき、さほど待つことなく会計を済ませた。後はダッシュである。向かうのはあの小柄な男子生徒のいる別のクラスである。
「くずはさん!お待たせしました!購買やっぱり混んでて」
「遅いですよ。…えーっと、誰でしたっけ。まぁいいです。早くください」
「もちろんです。はいどうぞ」
彼は恭しくプリンとプラスチックのスプーンを渡した。くずはと呼ばれた少年の微笑んだ顔がさらに緩む。プリンを手に取り、口に運ぶ姿は愛らしい。それを満足そうに眺めた。
「たまには購買のプリンも美味しいですね」
「それは何よりです」
「またお願いします」
「はい!」
満面の笑みで彼は自分のクラスに戻ってきた。周りが少し不思議がっている。それはスロワも同じであった。スロワが目に入った彼は、はっと思い出したことがあって、ポケットに手を入れながらスロワに近寄った。
「おい」
「な、何?」
「これ、お前のじゃねぇか?」
「え?」
ポケットから、更衣室の前で拾ったイヤホンを取り出した。
「あー!ホントだ!マジ!?え、どこにあった?」
「更衣室の前に落ちてた」
「そっかー!マジサンキュー!…アンタ、例の転校生だよね?えっと…」
「宮下。宮下灰花」
「そうそう!ありがとう、よろしく宮下!」




