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第4話 2人目の女奴隷!


「なんだ。俺が一番乗りじゃないのか」



 犬人のテイムに成功して。

 一度、仮拠点となっているキャンプに戻ってくる。

 

 そこにはすでにリーダがいた。

 


「お前……もうテイムしてきたのか?」



 俺とルミア、そして犬人の男を見るなり目を見開く。

 ……驚きすぎじゃない?


 あれか。

 俺を持ち上げることによって、でも一番早かった自分リーダーが実は凄い感を出したいって戦法だろう。 

 堅物に見えてお茶目さんなのね。

   


「まあそっすね……あっ、買取り課の人じゃないっすか」


 

 キャンプにはリーダー以外にも、買取り課の職員さんたちがいた。

【奴隷テイマーギルド】で顔なじみの人もいる。

 応援で派遣されたらしい。



「――査定出ましたよ」



 職員さんがリーダーへと話しかける。



「流石はベテランだけあって、丁寧なテイムだと思います。傷も少ないですし……金貨15枚ですね」



 リーダーが了承して金を受け取り、テイムした奴隷の獣人を引き渡す。

 なるほど。

 狩りは続くから、この場で奴隷を買い取ってくれるのなら後が楽だ。



 俺もリーダーにならって、テイムしたての犬人男を引き渡す。

 すると、また謎のざわつきが起こった。



「えっ、リュートさん、初めての犯罪者狩ハントでしたよね!? なのに無傷でテイムできたんですか!?」


「うわっ、これは凄い……擦り傷一つ見当たらないぞ」

 

「無傷のテイムなんて久しぶりに見た……流石は噂の天才ルーキー」 

 


 犬人の男が前後左右から観察されていた。

 そして待つと、査定が完了する。



「――完璧なテイムです。申し分ない。若い獣人で戦闘力も高かったでしょうに、無傷なんて新人とは思えませんね。金貨20枚で買い取りますよ」



 お~。

 なんか知らんが、高額をつけてもらえた。

 もちろん即決である。

 


「やったな、ルミア。2枚、特別報酬でルミアに進呈しよう」


「えっ!? きっ、金貨2枚も!? そ、そんな大金をいただけるなんて……」

 


 頑張ったご褒美だからと受け取らせた。

 奴隷のモチベーション維持は大事である。


 

「…………」



 そうしてルミアと金貨20枚で盛り上がっていたら、リーダーから凄い目で見られてた。

 ヤバい奴を見るそれである。

 

 ……えっ、何。

 リーダーは俺の奴隷として奮闘してないから、1枚もあげないよ?

 ベテランのくせに、新人からたかろうとするなんて、あんたの方がヤバいって。



「――ガノーです、今帰りました」

    

 

 無言の圧を送ってくるリーダーから、18枚の金貨を死守していた。

 すると、ガノーが戻ってくる。

 残る2人の同僚も一緒だ。


 奴隷テイマー・従者の別なく傷だらけである。

 激しい戦闘があったことを想像させた。



「……すいません、ファルさんがられました。犯罪者えものと相討ちです」



 一瞬、キャンプ内が静まり返る。


 奴隷テイマーが一人、死んだ。

 その事実はやはり。

 俺たちが命懸けの仕事をしているのだということを、嫌でも実感させてくる。

 

 相手の犯罪者だって捕まりたくない、奴隷になりたくないから必死なのだ。

 周囲に広がった沈黙も、仕方ないことと言える。

 

 だがすぐに、リーダーがそれに応えた。



「……そうか、それは残念だ。良い奴だったがな――で一人、犯罪者えものが死んだってことは確かなんだな?」


「あ、ああ。リスト7番、猪人のジジイだ。で、その、後ろについてきてるやつらは、俺たち3人でテイムした4人だ」



 リーダーは表情を変えることなく、奴隷を見ていく。

 対応する犯罪者えもの一覧表リストに×印をつけていった。



「――なるほどな。……ラスト1人、まだテイムできてない犯罪者えものがいる。犯罪者狩ハントはまだ終わりじゃないってことだ」



 リーダーのリストと、情報を共有する。

 一人だけ×がついていない獣人。


 似顔絵の情報はなく、ただ種族や性別などが書かれているだけ。



[犯罪者えもの情報] 


 番号:8

 罪状:獣人税の不納ふのう


 種族:獣人 ※狼人 

 性別:女

 年齢:15歳

 特徴:長い黒髪・尻尾


◇ ◇ ◇ ◇  




 ガノーを含めた3人は継戦できないと判断。

 リーダーと俺だけで残り1人の女獣人を探すことに。

 もちろん競争なので途中で別れた。



『くっそ~! 俺も行きたい! ルミアちゃんみたいな、可愛い女奴隷が欲しいのにっ!!』



 女の、それも若い奴隷候補は貴重なため、ガノーはとても悔しがっていた。


 

「……ルミア。さっきの犬人との戦闘で経験点が貯まったから。【能力解放】しておくか?」



 まだ若干余裕はあったとはいえ。

 獣人と戦って、その純粋なパワーはやはり脅威だと感じた。



「あっ――えっと。はい。そう、ですね。私も、強くなっておきたい、です。……よろしく、お願いします」


 

 ルミアは何かを察したようにかぁっと赤くなる。 

 どこか自分に言い訳でもするように早口になっていた。 

  

 そしてそっと目をつむり、まるでキスでも待つかのように顎をそっと上向ける。


 ……ルミアってやっぱり可愛いし、エロいよなぁ。



[奴隷:ルミア 能力解放 画面]


“スキル 筋力上昇”

 筋力値が上昇します。


●保有経験点

 力:63

 技:62

 魔:42

 調教:60


●必要経験点

 力:50

 技:20

 魔:0

 調教:15


― ― ― ― ― 



 必要経験点を消費し、ルミアのスキル獲得を確定させる。



「んっ――」



 目をつむるルミアの身体を。

 真っ黒な魔力の鎖が縛り上げていく。

 

 若くみずみずしい柔肌が、容赦なくガチガチに拘束された。



「んぁっ」


 

 ルミアは甘い声を上げる。


 鎖は、胸の谷間にも関係なく走っていた。

 まるで挟みこまれたみたいになって胸元を強調している。


 そしてまた新たな枷を解き放つように。

 鍵と鍵穴が出現すると、全身を縛る鎖は弾け飛ぶようにして消滅したのだった。



[ステータス]

●基礎情報


 名前:ルミア

 種族:人族

 性別:女

 年齢:16歳

  

●スキル

【剣術Lv.1】

【筋力上昇Lv.1】New!!


― ― ― ― ―



「ご主人様。ありがとう、ございました」



 成長を実感してか。

 ルミアは若干息を乱し、顔を火照らせながらも感謝してくれた。


 そこに建前的な感情はなく。

 本音で喜んでいることが窺えた。 

   

 

「……ちょっと休んでてくれ。何かあったら来てくれればいいから」


「は、はい……わかりました」



 ルミアをその場に待機させ。

 足音を忍ばせながら、ゆっくりと歩き始めた。

 

 移動を続けるごとに、さっきから聞こえていたかすかな声が、どんどん大きくなる。

 

 

 女の乱れたような息遣い。

 何かに夢中になっている。

 それを必死に押し殺そうとしているが、それでも声は漏れ出てしまっていた。



「――はぁっ、はぁっ、はぁっ……んんっ!」


 

 茂みと茂みの隙間。

 人一人が隠れられるような、そんな場所で。

 


 ――美しい黒髪の獣人が、興奮したように自分の身体へ手を当てている。


 

 長い黒髪は墨を溶かし込んだようでつやがある。

 幼さの残る顔立ちながらも、将来必ず美人になるだろうと確信できる美しさがあった。


 ……もっとも。

 その狼人の美少女は今、発情したように真っ赤な顔をしている。

 そうして近づいてきた俺にも気づかないくらい、一心不乱になっていた。



 ――飛び切りの美少女が、一人でお楽しみ中みたいですね。 



 ……やはり、ルミアの【能力解放】を近くから盗み見ていたらしい。

 同性から見ても、あの様子は相当に刺激的だったようだ。

 

 頭にあるリストの情報からして、この子が間違いなく最後の一人だろう。




「――【テイムチェーン】!!」



 その隙をついて、ありがたくテイムさせてもらう。



「っ!?」



 狼人の美少女に、容赦なく魔力の鎖が絡みついた。

 四肢を瞬く間に拘束してしまう。



「奴隷テイマーっ!? こんなっ、鎖っ!!――」



 少女は一瞬我に返ったというように理性を取り戻す。

 そして自らを縛り上げる鎖を、強引に引きちぎろうとした。



「やめといた方がいいんじゃない? さっき、君のお仲間の獣人も――」


「――やぁっ!!」

   


 気合いのこもった声とともに。

【テイム鎖】は容易く破壊されてしまった。


 ……うそ~。



◇ ◇ ◇ ◇



「ご主人様っ、ご無事ですか!?」



 指示通り、ルミアが駆けつけてくれた。

 獣人の少女を見て、すぐに状況を察する。



「あっ――っ!!」



 そして少女も。

 ついさっき盗み見ていた当の相手、ルミアであるとすぐに気が付く。

 


「ルミアっ、弱らせないとテイムできそうにない!」


「はい、わかりました!」



 短い言葉だけでも、ルミアはこの後のことを察してくれた。



「――【テイム補助サポート】!!」 



 自分とルミアに【奴隷魔法】の一つを発動する。

 主人と従者が加える攻撃のダメージが、すべて精神・疲労ダメージへと変換される能力だ。


 これで対象を傷つけることなく、相手を弱らせることができるようになる。

 テイムには絶好のスキルだ。


 

 これも講習会では説明が無かった。

 だが普通に使えるようになったので説明するまでもない、奴隷テイマーなら必須の簡単な技能なのだろう。



「――やぁっ!!」



【テイム補助サポート】を受け、ルミアが駆けだす。

 獣人の少女が構えた上から切りつける。



「ふんっ!」



 籠手こてに当たり、キンッという甲高い音を立てて弾かれた。

 だがルミアは構わず攻撃を続ける。


 少女は力で押し返そうとするが、ルミアは上手くそれをいなす。

 また力比べになるような場面になっても、ルミアの筋力値が完全に劣ることはなかった。


【筋力上昇】のスキルが効いているのだ。 



「そこっ!!」


 

 ――そして、ルミアへと意識が割かれている隙を突き、俺も攻撃に加わった。



「なっ!?」



 奴隷テイマーが参戦することは完全に予想外だったらしい。

 獣人の少女の右腕に、綺麗な突きが入った。


 だが衣服が破れることもなければ、血が出ることもない。



「……えっ? くっ――」



 にもかかわらず、少女は切られた箇所を庇うように左手を当てる。

【テイム補助サポート】で、ちゃんと精神・疲労ダメージだけが入っているのだ。



「せぁっ!!」



 さらに広がった隙を、ルミアは見逃さなかった。

 右腕を使えなくなった少女を攻め立て、時に防御の空いた脚を細かく切っていく。


 血が出ずケガもさせないという【テイム補助サポート】の効果が、ルミアの意識へ上手く作用していた。

 これなら対人戦の経験が浅くても、躊躇ちゅうちょすることなく攻撃できる。



「うっ、うぅぅ……」



 そうしてルミアと2対1の状況を保ちながら、止まらず攻撃を続けた。

 少女は何度も切られ、満身創痍となっている。

 

 まるで腕や脚に重り付きの枷でもはめられたように、その動きはとてもにぶそうだった。

 もう、逃げようと思っても逃げられまい。



「――【テイムチェーン】!!」   



 改めてテイムを試みる。

 鎖は再び狼人少女の全身を縛り上げた。

 

  

「うぅっ、こ、こんな、もの……!」



 少女は気丈に振る舞って、もう一度鎖を破壊しようと試みる。

 だがさっきとは違って、鎖はビクともしない。

 奴隷化を拒むだけの体力が、【テイム補助サポート】を施した俺とルミアによって削り取られてしまったのだ。



「んっ、んんぁっ!?」 

         


 鎖が一体化しようとして、柔肌に食い込むように収縮する度に。

 少女の色っぽい声が漏れる。


 とても美しい狼人の少女が。

 必死に抵抗していたにもかかわらず、全身を鎖によって無抵抗な姿に変えられてしまう。



「うぅっ、あっ、うぅぅ……」

       


 ――そして鎖は、少女の中に溶け沈みこんでいく。


 

 その細く綺麗な手首には。 

 奴隷となった証である奴隷紋が浮かび上がっていたのだった。



 

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