44) 誓いの重みと新たな道
静寂が、重く響く。
ランデルの演説の余韻が、空気そのものを震わせていた。
誰もが息を呑み、時間が止まったかのようだった。
だが、永遠とも思える沈黙を破ったのは、タイヴィンだった。
彼は一歩踏み出す。
老いた体に宿る威厳は、まるで戦場を統べる将軍のよう。
背筋は鋼のように真っ直ぐだった。
その瞳には、かつてない感情が揺らめいていた。
「守護者よ。」
タイヴィンの声は、低く、深く、大地を揺らすような響きだった。
(この男、いつもこんな威圧感バリバリだったっけ?)
タイヴィンは頭を下げる。
普段ならありえない、深い敬意の仕草だった。
「我が子の言葉は、ただの感謝ではない。」
一語一語に、魂が込められている。
「あれは誓いだ。アイヘンヴァルドの家は、今この瞬間から、貴女に永遠の借りを作った。」
彼の目が、僅かに潤んだ。
(え、ちょっと待って! この鉄の男が泣きそう!? マジで!?)
「貴女は我が後継者を救っただけではない。私の息子を、取り戻してくれた。」
タイヴィンは拳を握りしめる。
「我々の敵は狡猾で、強大だ。だが、貴女がこの屋敷にいる限り――」
彼の声が、力強く響いた。
「アイヘンヴァルドの全ての財、力、誇り――それらは貴女のものだ。貴女は我が家の最上賓。そして、我々の盾だ。」
場が、静まり返る。
誰もが彼の言葉に圧倒されていた。
(うわっ、めっちゃカッコいいこと言ってる! これ、絶対アニメ化したら名シーンじゃん!)
そして、エレオノラが動いた。
彼女はまだ膝を折ったまま、ゆっくりと顔を上げる。
その瞳は、涙でキラキラと輝いていた。
まるで、星空を閉じ込めたような――そんな美しさだった。
「ありがとう……」
エレオノラの声は、震えていた。
細く、壊れそうで、でも心からの響き。
「貴女が、彼の命を……私の子を、救ってくれて……」
言葉が、涙に詰まる。
(うわ、泣ける! 母親の愛、めっちゃ刺さるんだけど!)
エレオノラは、深く息を吸った。
「こんな恩、どんな代償で返せるかわからない。私の全て――感謝も、祈りも、何もかも、貴女に捧げる。」
彼女の手が、胸元で震える。
「この宮殿は、貴女の家よ。今も、これからも、ずっと。」
アマンダは、ただ立ち尽くしていた。
(……何これ。めっちゃ重い空気なんだけど! どう返せばいいの、こんなの!)
彼女の心臓が、ドクンと高鳴る。
目の前の二人。
タイヴィンの鋼のような決意、エレオノラの柔らかな涙。
まるで、物語のクライマックスに迷い込んだみたいだった。
(でもさ、こうやって信頼されるの……悪くない、よね?)
アマンダの唇が、僅かに弧を描く。
「ふっ、任せてよ。」
彼女の声は、軽やかで、でもどこか力強かった。
「このアイヘンヴァルドの盾、しっかり務めさせてもらうからさ!」
すべての視線が、ロクサーヌに集まった。
彼女は頭を下げない。
膝を折らない。
ただ、真っ直ぐに立つ。
その赤い瞳――アマンダの瞳と似ているのに、もっと地に足ついた炎を宿していた――は、金色の姿を、まるで学者が未知の標本を解剖するような鋭さで観察している。
「『理解を超えた力』、か。」
ロクサーヌの声は小さく、自分自身に語りかけるようだった。
彼女は兄の言葉をそっと反芻する。
(ふん、こいつ……めっちゃ冷静に分析してるな!)
彼女の視線が、アマンダの見えない瞳と交錯した。
その瞬間、空気がピリッと張り詰める。
「兄貴は、大袈裟なこと言うタイプじゃない。」
ロクサーヌの声は静かだが、どこか挑戦的だった。
「『紅爪の部隊』を一振りで消し飛ばしたって? それが本当なら――」
彼女の完璧な唇が、ほんの少し、興味に満ちた弧を描く。
「うちの図書館には、そんな魔術を記した巻物なんて一冊もない。めっちゃ……面白いじゃん。」
(え、ちょっと! この子、めっちゃ好奇心の塊じゃん! なんかヤバい実験されそう!)
ロクサーヌは一瞬言葉を切り、アマンダをさらにじっくり見つめた。
「ねえ、守護者さん。時間があったら、話でもしない?」
彼女の声が、少しだけ柔らかくなる。
「森の秘密……もしかしたら、互いに美味しい話になるかもしれないよ。」
それはお願いじゃなかった。
対等な――いや、むしろ一歩先を見据えた同盟の提案だった。
(うわ、この子、めっちゃ頭キレるタイプ! 完全にビジネスモード入ってる!)
ざわめきが、広がる。
それまで抑えられていた群衆の声が、驚嘆と称賛の渦へと変わっていく。
「守護者!」「守護者に栄光を!」
人々が、彼女の新しい称号を叫ぶ。
その声は、まるで嵐のようにホールに響き渡った。
(うわっ、めっちゃ盛り上がってる! これ、完全にヒーロー扱いじゃん!)
アマンダの胸が、ドキドキと高鳴る。
(でもさ、なんか……この感じ、悪くないかも?)
その時、ランデルの手が、彼女の手をそっと握りしめた。
彼の温もりが、彼女の心を静かに揺さぶる。
「見て。」
ランデルの声は、彼女だけに届く、柔らかな囁きだった。
「あなたは、彼らにとって脅威じゃない。希望なんだ。」
彼の瞳が、優しく光る。
(うっ、このイケメン、めっちゃ真剣な目してる! 心臓持たないんだけど!)
ランデルは、彼女の手をもう一度、軽く握りしめた。
「これから、あなたは俺だけの庇護じゃない。アイヘンヴァルド全体が、あなたの盾になる。」
その言葉に、アマンダの心が熱くなる。
(……マジで? こんな展開、完全にイセカイの主人公じゃん!)
彼女の唇が、思わず笑みを形作った。
「ふっ、悪くないね。」
彼女の声は、軽快で、でもどこか強い意志を帯びていた。
「この『守護者』、しっかりやってやるよ!」
群衆の歓声が、さらに大きく響き渡る。
物語の新たな章が、今、幕を開ける――。
◇◇◇
アマンダは、そこに立ち尽くす。
群衆の熱狂的な歓声が、まるで波のように彼女を包み込む。
さっきまでのパニックは、どこかへ消え去っていた。
代わりに、胸の奥にずっしりとした感覚が広がる。
――責任。
(私が……こいつらを救ったんだ。)
彼女の心が、静かに震えた。
彼らの瞳には、ただの道具じゃない何かが映っている。
彼女は、彼らの運命の一部になったのだ。
アマンダは、ほんの少し、ほとんど気づかれないくらい小さく頷いた。
アイヘンヴァルドの家族へ向けて。
それは返事じゃない。
受け入れる意志。
彼女が自ら背負った「務め」の、確かな宣言だった。
(うっ、なんか……めっちゃ重い展開になってるんだけど!)
タイヴィンが背筋を伸ばす。
彼の声が、再び軍司令官のような鋭さを取り戻した。
だが、今度は使用人たちに向けられている。
「塔の間を用意しろ! 宮殿で一番の部屋だ!」
彼の視線が、厳かに響く。
「我が客を、決して煩わせるな!」
タイヴィンはアマンダの方へ向き直った。
「休息を、どうぞ。」
その声は、どこか柔らかく、だが力強い。
「長い旅路を越えてきた。そして……多くのことを成し遂げた。」
彼の視線が、ランデルの包帯に巻かれた肩に、そっと滑る。
(うわ、このおっさん、めっちゃ気遣ってる! でも、なんかカッコいいな!)
ランデルが、ようやく彼女の手を離した。
その仕草は、まるで「選ぶのはお前だ」と告げているようだった。
消えるもよし。
留まるもよし。
アマンダの選択に、すべてがかかっている。
彼女は、開け放たれた宮殿の扉を見つめた。
その先に広がるのは、知らない砦。
だが、今――それは彼女の避難所であり、新たな戦場でもあった。
(……よし。)
ヘルメットの下で、彼女は深く、音のない息を吸う。
そして、一歩、踏み出す。
新しい「役割」へ。
自分が切り開いた「未来」へ。
いやー、アマンダの覚悟、めっちゃカッコよくない!? タイヴィンの威厳とランデルの信頼感もバッチリで、完全にアニメの名シーン感! Narouの皆、この「主人公の決意」展開、絶対ハマるよね? 次章も熱いぜ、待ってて!




