25) 「黒の女王、影を従えて戦場へ」
トーグリンの小屋は、まるで嵐がぶちかました後みたいだった。
ぐちゃぐちゃに散らかった設計図。
坩堝の欠片が、床でキラキラ光ってる。
ドワーフ語と下町のスラングが混ざった、熱っぽい独り言が響く。
「ちっ、どこだよ、あの部品…!」
一方、アマンダはギルドの自室にいた。
ひんやりした石の床に、ちょこんと座ってる。
頭の中では、三つの鎧がキラキラ輝いてる。
まだこの世にない、幻の鎧だ。
(一つは絶対、私のもの!)
だって、そうじゃなきゃ意味ないよね!
彼女は「見られる」存在になるんだ。
敵の視線、恐怖、ぜーんぶ自分に引きつける!
戦場のスター、それがアマンダ!
(私は囮。そんで、戦場の指揮者!)
心の中で、彼女はニヤリと笑う。
頭の中じゃ、未来のシーンが何度もリプレイされる。
敵は私しか見ない。
ちっぽけな女の子が、無謀にニヤッと笑う姿。
私の手がヒラッと動けば…
敵のエース戦士が、ドサッと倒れる!
見えない傷で、ズタズタにやられちゃう!
私が指をピッと向けると…
敵の旗が、シュッと静かに落ちる!
旗竿が、まるで魔法でスパッと斬られたみたいに!
でも、敵は気づかない。
すぐそばで、影みたいにスルスル動く二人の幽霊。
姿も音も消して、敵の首筋にピタッと息を潜める。
(そんなの、夢にも思わないよね!)
アマンダの目が、キラッと光った。
戦場はもう、彼女の舞台だ。
その戦術は、シンプルなのに天才的だった。
でも、でっかい問題が一つだけ。
ドンッと立ちはだかってる。
「くそくらえ…!」
アマンダは小さく、でも心の底から吐き捨てた。
頭を膝にガクッと落とす。
(どこで、こんなバカな二人を見つけりゃいいんだよ、ったく!)
頭の中で、いろんな奴らを思い浮かべる。
傭兵? 裏切るに決まってる。
ギルドの連中? そりゃもっと裏切る。
従者? ハハ、笑える。
でも、突然、ピンときた。
答えはバカみたいに簡単。
強くなくていい。
賢くなくていい。
経験なんかいらない。
彼女が探すべきは、死人だ。
いや、正確には、この世界にすでに葬られた奴ら。
難民。戦争の孤児。
何も持たず、ただ復讐の炎だけを胸に燃やす連中。
でも、もう一つ、めっちゃ大事なこと。
彼女の手が、ビクッと震えた。
(みん…な…私がやったと思う…!)
頭の中で、シーンがバッチリ浮かぶ。
敵の陣営。
彼女は一人、堂々と立ってる。
敵の視線が、ぜんぶ彼女に刺さる。
彼女がサッと手を振ると…
敵の司令官が、ゴロッと倒れる。
喉を掻き切られて。
彼女がチラッと歩哨を見ると…
そいつが塔から、音もなくドサッと落ちる。
彼女がピッと指を向けると…
敵の旗が、まるで魔法みたいにスッと倒れる。
周りから見れば、これは暗殺者チームの仕事じゃない。
彼女だけの、ぶっ飛んだ力に見える。
まるで彼女が、指一本で目に見えない刃を飛ばし、
幽霊を操り、死そのものを遠くから支配してるみたいに。
「みんな、私をバケモノ魔術師だと思う…いや、それ以上…!」
アマンダの唇が、ニヤリと歪んだ。
「まるで、視線だけで死を撒き散らす黒の女王みたいに…!」
ギルドの「気まぐれな相談役」なんて役目。
急に、みみっちくて窮屈に感じた。
彼女なら、軍隊まるごとビビらせて震え上がる。
そんな名声、作れる。
政治の小賢しいゲーム?
付き合う必要、ないよね。
だって、彼女は歩く天災そのものになれるんだから。
誰もが信じ込む、ガチの怪物に!
その「幻想」は、どんな本物の魔法より強力。
理解できない力。
防御のしようがない力。
そんな者、誰が攻撃するっていうんだ?
帝国だって、「手を振るだけで殺せる小娘」を捕まえる前に、
絶対、二度考える。
「完璧…」
アマンダは囁いた。
唇に浮かんだ笑み。
温かみなんて、これっぽっちもない。
(みんな、私の影が振るう見えない刃を恐れる…)
(でも、全部私のせいにする。)
(みんなの恐怖は、私にだけ向けられる。)
(たった一人の見える標的に。)
(私の本当の戦士たちは、ますます無敵になる!)
その計画は、天才的で、ほとんど悪魔的。
彼女が作るのは、ただのチームじゃない。
彼女だけのカルトだ。
彼女は指揮者になる。
彼女の手が指揮棒。
目に見えないオーケストラ——それが彼女の忠実な影たち。
決意が、キラッと結晶化した。
アマンダはスッと床から立ち上がった。
ステップ1:トーグリンから合金を手に入れる。
ステップ2:スラム街で「候補者」を二人見つける。
若くて、がむしゃらで、死んだ目をしたやつら。
ステップ3:そいつらを鍛え上げる。
自分の手で。
自分の意志で。
そして、自分の伝説で作り上げる。
彼らは噂になる。
彼女自身が流す噂だ。
「聞いた? 赤い目の魔女は視線だけで人を殺せるんだって。」
「彼女の幽霊が風に乗って疾走するらしいよ。」
アマンダは窓に近づいた。
暗い路地を見下ろす。
どこかに、彼女の未来の「影」がうろついてる。
彼女の生きる武器。
そして、彼女の最高のカモフラージュ。
「いいね。」
彼女は氷みたいに冷たい冷静さで思った。
(連中が私を怪物だと思うなら…)
(私は彼らの悪夢で一番恐ろしい怪物になってやる。)
(私の見えない爪が、連中の喉を引き裂く。)
(そいつらが恐怖で私の笑顔を見つめる中、ね。)
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