天使は死に神は生きる
鏡花の腹部からは鮮血が絶えず吹き出している。咄嗟に白魔法で応急処置をしたからなのかまだ息はあるようで必死に生きようともがいていた。
「嘘は戦いの基本でしょ? 蓮兎君も言ってなかったっけ、必死にもがいてる鏡花ちゃんも可愛いけど見てて辛いからとどめ刺すね」
ピタ
鏡花は力を振り絞って代行者の足を掴む。これが命乞いなのか最後の抵抗なのかは本人にしか分からないだろう。だが代行者は命乞いだと解釈したようで、その場にしゃがみ込んで鏡花に話し出す。
「最後に蓮兎君の顔でも見せてあげようか? お姉さん優しいから命乞いを受けてあげよう!」
「…原初の白ッ!」
死に際に放つ最後の一撃、代行者は即座に離脱しようとするが鏡花は手を離さなかった。原初の白で能力値が大幅に増強されているのもあるだろうが殆どは意地だ。
最後に神々しく輝く鏡花はまるで天使のようだったが代行者からしたら恐怖以外の何者でも無い、左腕と左目が無い状態で自信と渡り合い戦闘の最中に右足を自分から爆撃、そして最後には自爆を仕掛けてきているのだ。
◇◇◇
「ならば作戦の趣旨を変えましょうかね、なにも肉体を滅ぼさなくても精神を壊せば良いのですから」
「何言ってんだよ、負け惜しみか?」
精神を壊す…黒魔法か何かか?
状態異常耐性はさっき鏡花に魔法を掛けてもらったから耐性は高いし特に気にしないで良いかな、一応警戒だけはするけどッ
「まぁ良いでしょう、貴方はもう用済みだ」
「だからさっきから何言ってんだよッ」
グワァンッ
蓮兎と代行者の間に割って入るのは突如現れた黒の空間、その中からは仮面の女が顔を覗かせているのでこの空間はワープゲートとなっているようだ。
だがその妨害を気にせず蓮兎は標的を仮面の女に切り替えて暴風穿風を使用す──
「そのままじゃ鏡花ちゃん貫いちゃうけど良いの?」
「ッ?!」
仮面の女が手に持っているのは上半身だけどなった鏡花だった。体は全身傷つき今も腹部から血が絶えず溢れ出ている、誰がどう見ても死亡している状況であった。
「しょうがないよ、監視者の眼だっけ? あのスキルと縮地のコンボは警戒してたからね、途中から変わり映えしない視界だったでしょ、それ私が細工したからなんだよね〜」
は、いや嘘だろ?これも嘘の映像か何かで本当は今も鏡花は生きてるんだよな…?
戦闘が激しくて監視者の眼で確認する暇も無かった、いやダメだこんなの言い訳だ。今気持ちがブレて動きが鈍ったら確実に殺される、だから今は悲しみを抑えて反撃を…
ブチッ
蓮兎は即座に神之命Ⅱを発動、その他のバフスキルを同時発動。その弊害で体はひび割れ、全身から血が溢れ出ていたが【血液操作】で無理矢理出血を抑えている。
『悲しむのは分かるけど自暴自棄にはならない方がいいわよ?』
『…分かってる』
「おや? 自暴自棄ですかね、まぁ肉体と精神を同時に壊せるのならいいでしょうッ」
その瞬間代行者と大罪の眷属の第二ラウンドが始まった。




