戦前の休息
「我が命汝に捧げよう」
その魔法は自身の生命エネルギーを一撃に全てを込める自爆技だ。他者を治療するためにも使えるこの魔法は死んでいなければどんな傷でも治せる魔法にもなる、そんなエネルギーを秘めた魔法を攻撃に転用したら…?
それもちろん大爆発の嵐だ。
◇◇◇
俺たちは次の階層に続く扉が開いた瞬間に駆け出した。背後から様々な魔法を撃ち込まれているのが確認でいるがそれは黒域なので対策をし、補助魔法をMAXにして兎に角逃げる。逃げるったら逃げる。
◇オルグス大迷宮・92層◇
「逃げ切った…かな?」
「多分な、でも俺たちが向かう場所は分かってるだろうし一時的なものだ」
兎に角今は暴食の祠に向かうか、あそこは流石にアンチゾーンだと思いたい。
バフ全開で走り抜ける?いやでも流石に脳筋すぎるか…
『作戦変更だ』
『は? 何だよ急に』
『今俺の祠の目の前に強い気配が2つある、おそらく代行者だ』
はぁ…祠の位置も把握してるのか、流石厄介ファンだな。いやオタクって言った方がいいのか?
まぁ良い、あの2人を掻い潜って祠の中に入れるのか?てか入ったとしても出る時に時を止めてからのコンボを決められると厄介だし。
「祠を無視して100層を目指す…? いや結局力足らずで負けるだけだ。やはり権能獲得は最優先事項…チッ、暴食からの交信が消えた、権能も使えなくなったか」
一時的に権能と対話の封印をされた蓮兎は焦る事なく冷静に物事を判断していた。もう2度と仲間の死など経験したく無いからだろうか、以前よりも慎重に行動をするようになっている。
「力をつけてから突撃…じゃ遅いよね、ならやっぱり今すぐが良いのかな? 女王さんとの戦闘の跡が少しは残ってるかもしれないし」
「だよなぁ…でも今すぐに…俺たちも体力の回復は済ませたが魔力の消費はある、回復も考慮すると1時間程度の休息を取ろう」
流石に今の状態で凸ったら途中で鏡花の魔力が無くなる、俺はまだ平気だが万全な状態で無ければ代行者に勝つ…いや逃走か、それは不可能だからな。
「今錬成で簡易ベット作るよ、俺は感覚研ぎ澄ませるために少し魔物を狩ってくる」
「分かった。それじゃあ私は仮眠でもしようかな?」
狩にはもちろん魔力は使わない、純粋な殴り合いだ。まぁ刀は使うけどね、でも流石に92層だと敵強いのかな…今の所見た目は10層とか内装を広げた感じだけど。
ここ92層は初心に戻って10層と同じ洞窟型だ。違う点はその広さが尋常では無い事、天井は見えないほど高く設定されていて壁も遠くにあり見えない状態だ。
「まぁ鏡花が寝てる間の安全確保でもしますか」
「ガルルル…」
目の前に現れた狼型のモンスターを単独で、しかも魔力を使わずに狩り始めた。
◇◇◇
「ん…おはよう、もう1時間経ったの?」
「50分くらいかな、少し早めに起きないと眠い状態で戦うことになるぞ?」
「確かに…よし、気を引き締めていこう!」
鏡花は自身の頬を叩き、気合いを入れる。2人とも準備は万全だ。あとは囚われの姫となった暴食を救いに行くのみ、そのために2人は祠に向けて駆け出した。




