蜘蛛退治
通常状態に戻ったアラクネは更に傷の治りが遅くなり、もう放置すれば野垂れ死ぬほどになっていた。
『お〜い、意識戻ったか〜』
『…ギリ』
会話できる意識があるってことはそろそろバフが切れて一気に限界が来そうだな…
さっきまではアドレナリンドバドバで何とか持ってたけど切れたらやばそうだ、レベルアップの恩恵で体の崩壊は防げるか?
「近寄るなッ!」
少し重くなった体でアラクネに近寄ると突如体から大量の鋼糸を放出、その全てが斬撃となり部屋全体を襲った。
「黒域ッ!」
その糸に権能【黒域】で対抗する。
以前に紹介できなかったが、簡単に言えば自身の魔力管内なら入った魔法などを全て自身の魔力に変換するスキルだ。
もちろんその魔法のことを理解していたりなどの誤解制約はあるがそれでも十分に強い権能となっている。
(この糸が魔法の類なのかは分からんが効果はあるっぽい? 魔力を吸収してただちょっと硬い糸にしてんのか?)
ただ【黒域】が発動されているのは蓮兎の魔力管内だけだ。
一般人よりは蓮兎の魔力管内は広いが、それを広げる方法などを地上に出ていないため知らず、それほどな圧倒的な広さは持ち合わせていなかった。
(この量を捌き切るのは厳しい…近づけないッ)
アラクネは絶えず斬糸を放ち、蓮兎の接近を許さない。このままでは先に蓮兎のバフが切れ、肉体が崩壊してしまうだろう。
「絶対なる運命」
その時放たれたのは白の魔力、前回見た時よりも威力は数段劣っているがそれでもアラクネの手を止めるには十分な威力だった。
その隙を見落とさずに蓮兎は縮地でアラクネに接近、そして刀を手に持ち首を切り落とした。
「はぁ…はぁ…」
それと同時に脳内にはレベルアップのファンファーレが鳴り響き、蓮兎は地に膝をつける。
凄まじいほどの耳鳴り、めまい、倦怠感、激しい痛みなどに襲われ、とてもじゃ無いが即行動に移れる状況では無かった。
(倒したよな? 目の前が真っ暗で何も見えない…灯火や快は? 鏡花は魔法使ってたからセーフだと思うけ…ど──)
バタンッ
その考えを最後にその場に倒れ込んだ。
◇オルグス大迷宮・70層 ?時間後◇
「ん…あれ、寝てた?」
「おはよう♪結構寝てたよ」
意識が覚醒して目の前に座っている鏡花を見る、そこには笑顔でこちらを見ている鏡花がいつものように座っていたが左目と左腕から血を流した跡があり、傷は塞がっているがかなりの重症な姿があった。
「え、は? その傷…腕は生やせないのか?! 固有スキルで──」
ピトッ
鏡花は俺の口を塞いで話し出した。
「私の固有スキルって左手で白魔法を使った時にしか発動しないんの、だからね? 固有スキル使えなくなっちゃったの、ごめんねもう活躍できないかも」
「…」
その言葉を聞いた後俺はしばらく沈黙した。




