断末魔
両者が放った攻撃は見事命中、脚はアラクネの腹部に直撃し、拳は蓮兎の右頬に直撃した。
大きくのけぞるが互いに魔法を放ち遠距離の隙をカバー、そして体勢が戻るとすぐに近接戦に持ち込んだ。
(斬撃無効や打撃無効があってもそれは糸を通しての攻撃だけッ!なら魔法で糸を破ってからぶん殴れば問題は無い!)
攻撃の要所要所に魔法を込めて糸を破壊、そして物理で反撃をする。
ちなみに刀は空間魔法でしまっているので今は単純明快拳と拳の殴り合いだ。
「隠滅の霧全開」
霧で即死界潰してから糸が張ってない場所をぶん殴る!蹴りの方が火力は出るけど連撃なら流石に拳が向いてるしな。
グサッ
煙幕の中でアラクネに腹を突き破られ、毒を直接注ぎ込まれてしまう。
そしてそのまま糸で拘束し、大口を開けて喰らい付こうとする。
「原初の黒、魂ノ採集」
「ッ?!」
ガブリッッ!
捕食者側だったはずのアラクネはデバフスキルを受け、怯んだ隙にそのまま蓮兎が首に噛みついて来た。
首からは鮮血が吹き出していてアラクネは突き刺していた脚を外し、蓮兎を遠ざけようと動き出す。
「離さねぇよ! ずっと伺ってた隙だぜ?」
蓮兎は再び自身の腹にアラクネの脚を突き刺さし、自身とアラクネが離れないようにしてから更に深く噛みつく。
流石の暴食も蓮兎を狂ってると内心思っているだろう。
「飄風ノ夜襲、暴風穿風ッ!」
もう出し惜しみはしないッ!魔力も、戦略も、肉体の負荷も全部気にしないでブッパする!
神之命、魂の解放、人之限度──
バフ技を全て使った蓮兎は負荷が強すぎて一瞬止まるが、そんな事は気にしないと言わんばかりにアラクネに突撃した。
うまく思考ができないので動きは単調で、予測のしやすい動きだがそのスピードが速すぎて動きの予測などしている暇が無い、そしてそのままアラクネに再び喰らい付いた。
「どっかの誰かが言ってたぜ? 喰って良いのは喰われる覚悟があるやつだけだってッ!」
「ギャァァァッッ!」
アラクネの断末魔がダンジョンに鳴り響き、悲痛な叫びとは裏腹に1人の楽しそうな狂気に溢れた笑い声が響く。
この状況で噛み付く必要性は皆無だが、その行動にアラクネの目に恐怖が滲み出る。
グチャッ
噛みついた勢いでアラクネの左腕を握り潰す。
潰した後にはより勢いの増した悲鳴が鳴るが、気にせず首を噛みちぎり、飲み込む。
「クッソ不味いな、初の昆虫食がこれかよ」
「貴様…」
首と左手を糸で簡易的な処置を施しながらアラクネは苦しそうにその場に座り込む。
流石に神化状態でも首の損傷は厳しいようで治癒するのに時間がかかっていた。
『おい! 体の負担がでかい、そろそろやめないとぶっ壊れるぞ!』
『ぐちゃぐちゃにして…その後はどう喰らおうか?あははは!』
『チッ、完全に狂ってやがる…』
完全に狂った蓮兎はアラクネに急接近、そして殴る殴る殴る。
ランダムな箇所を殴り続け、しばらくするとアラクネの神化の時間が切れたのか通常時に戻った。




