吹き出せ臓物
「死踊る毒の沼」
アラクネから放たれた毒の沼は地面を覆い、足場を一つ残らず無くす。
追加効果で蔓延るは毒霧で吸った者を死に誘うほど強力だ。
「もう毒は飽きてんだよクソがッ」
毒沼を回避するために天歩で空中に避ける。
回避すると糸を飛ばして攻撃を仕掛けてくるので遠隔錬成で糸を切り落とす。
ポタッ
目視できる糸は全て切り落としたはずなのに頬に鮮血が流れ落ちる。
蓮兎の頬を切り裂いた正体は目に見えないほどに織り込まれた細い糸であった。
「狂わせる人形劇」
間髪入れずに放たれたのはその目に見えない糸を使った操りの攻撃だ。
これにより蓮兎は自身の左腕を動かすことが不可能になり、その間に接近した鋼糸によって腕を切断されてしまった。
「縮地ッ」
切られた瞬間に監視者の眼を通した視界で鏡花の居場所にワープ、そしてその箇所にいた蜘蛛を妖焔で蹴散らしてから治癒を施してもらう。
「急に来たけど大丈夫?」
「ギリセーフ、それより快と合流まだだろ?今から万物切断で道を切り開くからそれで合流してくれ」
一瞬で全てを判断、そしてその中から最善を判断するこの状況でこの判断が最善なのかは分からない。
「分かった!灯火さんもついでに回復できれば良いんだけど…」
「ん?灯火ってカバーに行ったはずじゃ…」
不審に思った蓮兎は監視者の眼を使い、灯火の状況を確認する。
そこにはアラクネに腹を抉られ、今も肉を食われている灯火の姿があり、苦痛な悲鳴をあげようとしているが声が出ないのか掠れた声しか出てないのが視界越しにも伝わった。
「鏡花、俺今すぐ予定できたから快の場所に行くのは自力で頑張ってくれ」
鏡花はそれを了承し、蓮兎は縮地をすぐに使用して灯火の位置に移動した。
移動後すぐに妖焔を発動しアラクネの視界を阻害、そして灯火を喰らっていた蜘蛛の口を切断して灯火を取り戻す。
「…」
今も口を開かない灯火、腹からは今も鮮血が流れ続けていて毒も体に回っている状況だろう。
(毒の解析は俺を実験台にしてさっき終わったから分解は可能、だが他人の分解となると時間が…少しでも時間を稼げ俺!)
その時間を許さないアラクネは先ほど受けた傷を回復、そして糸を檻のようにして蓮兎達を一気に切り刻もうと動かす。
「神之命Ⅱ」
魔力を倍以上使いその魔法の性能を大幅に上げる荒技のⅡ、それを可能にしているのは魔導王だ。
だがこの魔力超過を施した神之命は体に負担が大きく、蓮兎もぶっつけ本番で使用したので副作用がどうなるかは分からない。
「神怒」
その場で糸を全て切り落とし、そのままの勢いでアラクネに急接近からの左腕を切り落とすことに成功する。
そして後退したアラクネを深追いはせずに灯火の元に戻って毒の分解を開始した。
『早く解除しないと体が潰れるぞ』
暴食の言葉で我に戻り、魔法を解除する。
あのまま使用し続けていたら体が弾けて肉塊と化していたかと知らないとゾッとするが毒の分解を進める手は止めなかった。
(反動で体が痛い、思考がまともに出来ない…高速思考で極限まで時間を伸ばしてるはずなのに思考時間が一瞬で終わる)
頭が回らないのか極限まで引き延ばされた時間をもってしても最善の行動の名前は出ず、時間稼ぎの案しか出ない。
「時は満ちた」
そう言ったのはアラクネだ。
そして発動されたのは固有スキルの亜神化、このスキルはその名の通りの効果で魂を摂取した量に応じて一時的に神に昇る力を我が物とする効果を持つ。
「最悪に最悪を重ねてくるなよ…」
「遊びは終わりだ、そろそろ諦めて私の食事となれ」




