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36話 絶望状況

「いざ勝負!」

「参ル」


ミゼラブルの刀が放たれ一刻の間に蓮兎の首を捉える。

だが首を狙われているのを知らないと思えるほどに動かない蓮兎を前に、ミゼラブルはカラクリだが「勝ッタ」と巡る思考の一つで考えた。


「なんてな」

「ナニ?!」


刀が首に放たれると思われた瞬間に神之命(カミノチ)を発動、蓮兎は目に追えない速度で後ろに回り込む。

居合の構えを保ったままの移動なのでそのまま背後に一太刀浴びせ──


ーーブゥンッ!


ることは出来なかった。

それは何故か、突如ミゼラブルの背中から2本の腕が体を破りながら薙ぎ払いをしてきたからだ。


「何だよそれ……武士としての誇りとかないのか?」

「我ハ武士デハ無イ、タダ主ノ(めい)を遂行シテイルダケダ」

「そうかよ、ならその命令は今日をもって遂行されることは無いぜ? 何故なら俺がお前をスクラップにしてやるからな!」


バフを最大限活用した蓮兎の敏捷は1万を軽く超える。

この速度ならば常人は愚かAランク冒険者でも辛うじて見える程度の速度だ。 


(神之命(カミノチ)を発動した今の俺の敏捷値を使えばこいつの動きを先回りして潰せる! だが問題なのは出現した腕か……)


ミゼラブルの背中から出現した2本の腕はそのまま空中に浮き自由自在にこちらを仕留めにくる。

これにより実質射程が無限に変化したのだ。


(腕が浮いてるのは固有スキル浮遊の効果か? 単純だが厄介だな、やろうと思えば本体も浮かびそうだし……)

「仕留メロ」

「腕単体でも動かせるのねッ! 把握把握」


ーーギンッ!


浮遊し急接近してきた腕を弾くが少しでも本体から意識を離すと次の瞬間には間合いに入られている。

何とか縮地で距離を離すが発動後の一瞬の隙を狩られ傷は負うことになる。


神之命(カミノチ)発動してるんだぞ? 追いついてくんなや」

「所詮自称神ノ名前ナド飾リに過ギン」

(まずいな、そろそろ神之命(カミノチ)を使ってから20秒が経過する……魂を全部回して魔力回復しまくる? いやそれは最終手段か、なら解除……)


高速思考を使い極限まで思考時間を増やすが答えは導き出されない。

魔力回復を使いすぎると魂が無くなり戦闘に支障があり、解除するとスピードに追いつかなくなり戦闘に支障がある。

どちらに転んでも最悪の状況下で出された答えと言うには雑な作戦は至極簡単。


「あと10秒で倒せば良いじゃんか!」

「舐メルナ、我ヲ倒スナド不可能──」


ーーシュンッ


相手を話させる一瞬の隙を使い縮地を発動。

そして天歩、神怒(カムイ)を発動させた脚技を放つ。


ーードゴォォンッ


「轟脚ッ!」

「クッ?!」

「からの妖焔全開!」


怪しげな焔が愚者の間を覆い包み同時に蓮兎の魔力が切れる。


「流石に魔力使い過ぎたな……ふらふらする」

『やったか?!』

「は? お前それって──」


蓮兎の悪い予感は的中し土煙の中から這い出たミゼラブルが居合の構えをとっていた。


「もう魔力無いぞ? 魂を変換してちょっとあるくらい」

「……参ル」

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