絶望状況
「いざ勝負!」
「参ル」
ミゼラブルの刀が放たれ一刻の間に蓮兎の首を捉える。だが首を狙われているのを知らないと思えるほどに動かない蓮兎を前にミゼラブルはカラクリだが「勝ッタ」と思っている。
「バァカッ!」
「ナニ?!」
刀が首に放たれると思われた瞬間に神之命を発動させた蓮兎は間に合えない速度で後ろに回り込む。居合の構えを保ったままの移動なのでそのまま背後に一太刀浴びせ──
ブゥンッ!
ることは出来なかった。それは何故か?突如ミゼラブルの背中から2本の腕が体を破りながら薙ぎ払いをしてきたからだ。
「何だよそれ…武士としての誇りとかないんか?」
「我ハ武士デハ無イ、タダ主ノ命を遂行シテイルダケダ」
「そーかよ、ならその命は今日をもって遂行されることは無いぜ?何故なら俺がお前をスクラップにしてやるからな!」
バフを最大限活用した蓮兎の敏捷は1万を軽く超える。この速度ならば常人は愚かAランク冒険者でも辛うじて見える程度の速度だ。
(神之命を発動した今の俺の敏捷値を使えばこいつの動きを先回りして潰せる!だが問題なのは出現した腕か…)
ミゼラブルの背中から出現した2本の腕はそのまま空中に浮き自由自在にこちらを仕留めにくる。これにより実質射程が無限に変化したのだ。
(腕が浮いてるのは固有スキル浮遊の効果か?単純だが厄介だな、やろうと思えば本体も浮かびそうだし…)
「仕留メロ」
「腕単体でも動かせるのねッ!把握把握」
ギンッ!
浮遊し急接近してきた腕を弾くが少しでも本体から意識を離すと次の瞬間には間合いに入られている。何とか縮地で距離を離すが発動後の一瞬の隙を狩られ傷は負うことになる。
「神之命発動してるんだぞ?追いついてくんなや」
「所詮自称神ノ名前ナド飾リに過ギン」
(まずいな、そろそろ神之命を使ってから20秒が経過する…魂を全開してる魔力回復しまくる?いやそれは最終手段か、なら解除…)
高速思考を使い極限まで思考時間を増やすが答えは導き出されない。魔力回復を使いすぎると魂が無くなり戦闘に支障あり、解除するとスピードに追いつかなくなり戦闘に支障あり。どちらに転んでも最悪の状況下で出された答えと言うには雑な作戦は至極簡単。
「あと10秒で倒せば良いじゃんか!」
「舐メルナ、我ヲ倒スナド不可能──」
シュンッ
相手を話させる一瞬の隙を使い縮地を発動。そして天歩、神怒を発動させた脚技を放つ。
ドゴォォンッ
「轟脚ッ!」
「クッ?!」
「からの妖焔全開!」
怪しげな焔が愚者の間を覆い包み同時に蓮兎の魔力が切れる。
「流石に魔力使い過ぎたな…ふらふらする」
『やったか?!』
「は?お前それって──」
蓮兎の悪い予感は的中し土煙の中から這い出たミゼラブルが居合の構えをとっていた。
「もう魔力無いぞ?魂を変換してちょっとあるくらい」
「…参ル」




