14話 多少の息抜き
「ははっ! どけどけ小鬼族風情がぁ!」
今は気分転換したいと言い出した暴食に体を受け渡して12層まで走ってもらっている。
ちなみに何でこんなテンションが高いのかと言うと3日間戦闘も無く実験に没頭していたので退屈だったかららしい。
「皆殺し……いや皆喰らいだぁぁ!」
「ゴァッ!」
「ガウッ!」
11階層で追加されたのは小鬼族のみで餓狼の騎乗したり協力して襲いかかってくるようになった。
まぁそれでも弱いけどね。
「皆殺しッ♪皆殺しッ♪」
愉快に殺戮を繰り返す悪魔が通った道は赤く染まりたとえ同種の悪魔であっても歩くのを躊躇するほどの地獄絵が形成されていた。
骨は砕け、血は赤色だけを使ったパレットのように塗り潰され、肉は喰らった跡があるだけの肉塊と化している。
ーーグチャッグチャッ
肉が潰れる音がダンジョン内に鳴り響きその音に反応した獲物達が応戦に来るが勇気虚しく同胞と同じく肉塊にされるだけの運命にあった。
そんな地獄の再現のような場所は一般的にモンスター部屋と呼ばれる無限湧きのように錯覚するほどの物量でモンスターが攻めてくる場所だ。
こんなところで戦いをしている理由はもちろん──
「早くぶっ殺して俺の祠もぶっ壊すぞぉ!」
「ゴ……ア──ッ?!」
ーーブチャッ
暴食が言うに12階層のモンスター部屋から湧いて出てくるモンスターを全滅させると祠に続く扉が出現するらしい。
俺はそれを頼りに暴食に身を委ねたわけだ。
「まだ追加されないのかぁ? 暇なんだがぁ?」
「ゴ……アッ──!」
「まだ息あったのか、まぁもう出てこなそうだし変わるか」
ーーバタンッ
突然意識が無くなったように暴食が床に倒れ込む。
そして間も無く起き上がった時には暴食では無く蓮兎に入れ替わっていた。
「……ま〜た派手にやったな」
『退屈だったし』
「それでも限度ってもんがな? はぁ……まぁ良いや、それで祠はどうなった?」
『あ? そこにあるだろうが』
言われた通りに視線を向けるとそこにはただの床があるだけで他には小さな石ころが数回落ちてるだけだった。
ついでに小鬼族の死骸も。
「何もないじゃん」
『そこの小石押してみろ』
「そんなギミックあるのか?!」
ーーポチッ
石を押すと特に何か起きるわけでは無く辺りに静寂が訪れた。
「……何も無いけど?」
『あぁ何も無いぞ? 揶揄っただけだ』
「もう祠壊すのやめよ〜!」
『へ〜そう言うことするんだ〜! 加護剥奪しようかな〜?』
「くっ……分かったよ」
今度はちゃんと教わった手順で壁に魔力をピッタリ2000注ぎ込むことで壁が扉に変化しその中に入ると──
「この姿だと久しいな」
自身が封印されている祠の上に乗った黒を基調にした女性が……いや暴食が座り込んでいた。




