明かされるステータス
「まぁ別にリファに聞かれても良いかな、私の娘は案外口が硬いからね」
「案外とは何ですか! ギルド職員としてお口ガッチリです!」
リファが話に割り込んできて少し和んだ気がする。
だがそんな和みは少しの時間だけですぐにギルド長は俺に視線を移した。
「単刀直入に言おう、蓮兎君は転生者……いや転移者だね?」
「……何故そう思うのですか?」
「簡単だよ、Fランク冒険者がリファがステータスを覗かないほどの高ランクの隠蔽を持っているかい? それに私の固有スキルはどんなスキルを持っていてもステータスを覗くことができてね、その影響さ」
はぁ完全にバレたんだがこれやばい?
ステータスを覗かれたってことは種族の事も権能も全てバレたって認識で良いよな、まだ嘘の可能性もあるっちゃあるが……
「暴食の権能か、初めて見たよ」
「……」
嘘の可能性は完全に絶たれたな、リファはまだ混乱気味だけどこのおっさんは何も動じてないし……
何者だよこの人は。
「そんな警戒しなくても良いさ、別に教会に売り飛ばそうとも痛めつけようとも考えてないからね」
「じゃあ何が目的なんですか?」
「なに簡単なことだよ、そのまま冒険者を続けてSランクに辿り着いて欲しい……いや正確に言えば圧倒的な力を獲得して欲しい、と言った方が良いかな?」
圧倒的な力を獲得して欲しい?
それはこちらとしても大罪との戦いのためにも実現させたいがこのおっさんに何のメリットがあるのかが分からない。
自分の手で支援したSランク冒険者が欲しいとかだろうか、Sランクとか国が管理してる者も多い中で個人で操れるならそりゃ欲しいのか。
「力を得た後はこの国の問題を解決してもらいたくてね、宵の暴風を壊したなら知っているだろうが【ユウシャ】を初めとした薬物が出回っているんだよ」
「ユウシャ……あぁ魂を魔力に変換するやつか」
「そう、本当はサンプルがあれば良いのだが極めて扱いが難しくてね、何かがトリガーなのか爆発してしまうし……」
サンプルかサンプル……ん?
確か暴食がゲットしてたような気がするんだがもしかしてあいつMVPだったりする?
『なぁ暴食、ユウシャって薬待ってたよな』
『ん? 前のやつか、持ってるぞ? それがどうした』
『今すぐに冒険者ギルドに来てくれ、今すぐにだ』
『面倒……』
愚痴をこぼしながらも暴食は冒険者ギルドに向かい、蓮兎の説明もあってギルド長室に招待された。
もちろん入った瞬間にギルド長にステータスを覗かれて少し不機嫌になっているが暴れる様子は無く、ただただ不機嫌なだけだ。
「チッ、ほらこれだろ?」
暴食は空間魔法で作り出した部屋から青く輝く薬の入った注射器を取り出し、ギルド長に手渡す。
「微弱だが洗脳効果が付与されてる、うっかり飲むなよ」
「ほうこれが……すぐに鑑定にかけよう、私のスキルで成分は分かるが治療薬を作るためには更なる研究が必要だからね」
そう言い残しギルド長は部屋を後にした。
「えっとレントさんは転移者でグラフェルさんが大罪の悪魔様……? うぅ混乱してきました……」
「まぁ説明すると長いんだけどね、俺は悪魔と吸血鬼が合わさった混血だよ、人間から進化してってこうなった」
「混血?! それに悪魔と吸血鬼って両方高位の血が混ざってるって……確かにそれならあの強さも納得できますね!」
悪魔はその凶暴性に伴い強靭な肉体を、吸血鬼はその知性的な性格に伴い膨大な魔力をもつ種族。
どちらかの血が混ざっているだけでも強力とされている種族か二つ同時に混ざっているのだ。
教会や国から危険視されるのは当然だろう。
「やっぱ混血って強いんだ」
「普通は人間と◯◯とかなんですけどレントはどっちもだし」
「これでも元人間なんだけど……」
権能の獲得と始祖吸血鬼の加護の影響だとは思うがそれにしても人間要素を残せよ人間要素をさ?
見た目は人間にしか見えないけど種族に反映しろよ!
「教会には絶対に言ったらダメですからね! てか無闇に言わないで!」
「そこら辺は流石に気をつけるよ、抹殺対象になりたく無いし」
流石に国とかを敵に回すのは不味い、暴食のステータスが未知数だからワンチャン勝てるかもしれないが勝てたとしても反逆者とか言われて国に入らなそうだし……ん?
「暴食のステータスまだ見てねぇ!」
「あ? あぁそんな事話してたな」
暴食は流れるように蓮兎にステータスを見せることにした。
ちなみにステータス画面は相手に見せたいと言う意思が無いと鑑定眼と固有スキル以外で確認する術は無く、今は暴食が公開モードにしている。
名前 暴食
種族 大罪の悪魔
職業 暴食
性別 女
レベル 279(−100)
スキル 武術S 剣術A 槍術A 弓術B 斧術A 黎魔法S 冥界魔法S 赫魔法S 空間魔法S 身体超過S 高速治癒S 指揮術S 大食いS 料理術S 鑑定眼S 隠蔽S 偽造S 装甲S 心眼S 空間把握S 危険感知S 演算強化S 禁忌S 殺戮S 惨殺S
固有スキル 悪食 暴食 寄蟲総操 創兵 構築錬成 万物蝕手 凶華月蝕 有象無象
称号 裏切りの大罪
「知らねぇスキルたくさんある……」
「これでも封印の代償でスキルは減ってるぞ? チッ、レベルも100下がってやがるし最悪だ」
−100ってレベルダウンの事なのか、それにしてもこれでスキル減ってるとかどんだけ喰ったんだよ!
そりゃ危険視されるよ、封印もされるだろうさ。
「え、えぇ? こんなステータスSランク冒険者も超えられませんよ……? これで弱体化されてるとかどんだけ強いんですか……」
「大罪舐めんなよ? 悪魔の頂点に立つ者だ」
そこからしばらく暴食の自慢話が始まり蓮兎は「あぁまた始まった……」と聞き流したがリファは嬉しそうに聞いていた。
(よく聞けるな自慢話)




