地下探索
魂を魔力に変換する薬(推測だけどね)には気をつけないとだよな、固有スキル【強薬】の効果で増幅されてるだろうし他の薬も投薬するかもだしッ
「絶対風牢獄」
「黒域ッ」
対象を捕え、切り刻む牢獄は権能によって無効化されただの魔力となって飛散した。
魔法の発動を失敗したエルスはすぐに距離を取って何個かの薬の入った注射を投擲する。
キンッ
投擲された注射を刀で弾き薬の中身を鑑定する。
名前 寄生薬【パラス】(強薬)
ランク A
効果 投薬された対象の脳の一部を溶かして思考を支配する。
強化内容 対象の記憶を操り自身に都合の良い記憶に書き換える。
「2度も同じ手には乗らないぞ?」
中々に強い効果の薬だけどあの投擲速度じゃ特に脅威にはなり得ないよな、だけど投擲以外に脳が無いわけじゃ無いだろ?
流石にAランク冒険者ならもっと何かあるだろ?
「筋力強化薬、これで少しは近接戦ができますかね」
「原初ノ黒」
強化されたならその強化を打ち消すほどの弱体化をかければ良い、至極当然の戦略だろ?
「そちらだけ獲物を持ってるのは不公平ですよ」
「薬漬けのくせに不公平もクソも無いだろ?」
◇◇
「面倒だなぁ、人間の成れの果ての相手とか」
「グガ…?」
暴食の目の前には視界に映るだけで20を超える人間の成れの果て、魂を魔力に変換する薬を投薬された者だ。
肉は膨張し皮膚は裂けている。
「時間経過で死ぬらしいしさっき打たれたばっかなのか? どっちにしても魂は食えないしだるい」
「グギャァ!」
範囲殲滅なら【寄蟲総操】使えそうだけどこいつらに寄生が効くかどうかだよな、なら別のスキルで攻めるか?
「奏でる憎悪」
奏でる憎悪の刃は自身と対象の憎悪に比例してその凶悪性を増す。
片や悪魔の頂点と言っても良い存在の悪魔、片や無理矢理改造された哀れな実験体だ。
その憎悪は想像を絶するほどの量と質だろう。
ガガガガガガッ
地下室全体の床を、壁を、天井を全てを巻き込み切り刻む凶悪な魔法と化す。
もちろん対象には肉塊達も含まれていて悲鳴こそ無いが苦しんで死んだに違いないだろう。
「20体の処理終わり〜! 次は誰だ〜?」
シーン
「誰もいねぇのかよッ」
1人でツッコミをする暴食だったがしばらくすると飽きたのかその場を移動する。
「蓮兎と合流…いやまだ良いか、なら俺は俺で探索するかな」
そのまま特に何も考えずに暴食は地下探索を始める。
自信を拒む障壁は全て破壊しさらに突き進む、そうして地下最深部に意図せずやってきてしまったのだ。
「うわ、薬だらけじゃん」
そこにあったのは部屋全体を埋め尽くすほどの薬の入った巨大なガラスの柱だ。
青く輝くその薬は見るものを魅了すると同時に引き込まれるような感覚に陥り、その薬を自ら飲んでしまうと言う特性を持っていたが暴食には効果は無かった。
「ぶっ壊……いやまた蓮兎に何か言われたら不愉快だし少しは残しとくか、無闇に触るのも怖いし」
案外蓮兎を思いやっている暴食であった。




