薬の力
「おやおや、僕のギルドで何をしているのかな?」
「俺たちは…侵略者って言えば良いのかな?」
壊しに来てるし間違っては無いよな、まぁ殺しはしないけど多分お宝あったら奪うし…ってあれ?
これやってる事やばくね、強奪者じゃね?!
「勝手にそんな事されると困るんだけどなッ!」
【宵の暴風】ギルドマスターは風魔法を使って蓮兎たちを攻撃した。
空を切り裂く魔法は味方を巻き込み部屋全体を切り刻む、だが蓮兎は【黒域】で対処し暴食は【魔喰い】で無効化させた。
「これがAランク冒険者…? 結構弱いんだな」
「まだ本気じゃ無いからね、これを本気と勘違いするなんてその実力でよく襲撃できたね?」
あ、ムカつくなこいつ…こいつだけは間違って殺しちゃうかもしれないな、冗談じゃ無くてガチで。
とりあえず鑑定眼でステータス確認っと〜
名前 エルス・ジーヴァ
職業 緑魔導士
レベル 79
スキル 魔術A 風魔法A 黒魔法C 強魔B 怪力C 自然治癒D 自然魔力回復C 鑑定眼C 隠蔽B 指揮術A
固有スキル 強薬
レベルもスキルもいい感じ…でも固有スキルは何だかこれ【強薬】?
適当に考察するなら薬の効果を強めるとかそんな感じだとは思うが薬物漬けで戦うのか…?
「僕の顔に何かついてるかな?」
「いや何でも無いよ、それより俺も忙しいんだ。早く済ませたい」
「そうか、これは利害の一致だね。僕も早急に終わらせたいんだッ」
シュッ
エルスは素早く何かを蓮兎に投擲、それに反応した蓮兎は咄嗟に腕でガードするが投擲物が腕に突き刺さる。
投擲物はこの世界には似合わない形をしていて現代日本に住む者ならばその透明で針が付いた物を注射だとすぐに分かるだろう。
「ッ?!」
注射が刺されたと言うことは中に含まれている薬が体内に入るという事、現に突き刺さった次の瞬間には体内に何かが流れてくるのが分かる。
「寄蟲総操──」
「君は商品になりそうだ」
バッ!
突如暴食の足元が開いた。
そしてそのまま落下、蓮兎と暴食は分断されてしまい、即念話に切り替える。
『油断したのか? そのまま落ちるなんて』
『下に何かある、お前も【空間把握】で理解してるだろ?』
『まぁな』
多数の生命反応、これは…子供か?
女性と子供が地下に幽閉されてるのか、暴食も商品になりそうな的なの言われてたし…
こいつら女子供を売り払ってるな?
「気分悪いし即片付けるッ!」
「まだ動けるのですか? タフですねッ」
シュッ
蓮兎は近接戦を仕掛けるが体の異変に気がつく。
体が妙に熱く、それに重いのだ。
他にも所々の痺れや眠気など多数のデバフ効果が自身を襲っていることはすぐに分かった。
「俺に何した?」
「痺れ薬などを私独自にブレンドした物ですよ、まだ起きていられるなんて相当タフですよ?」
「鍛えられてるんでな」
【血液操作】と【不死性】で何とか軽減してるけど正直結構キツい、気を抜いたらすぐに体が止まりそうだ。
こうなったら殺し覚悟でバフかけるか!
「人之限度、大地切り裂く鋭剣ッ!」
「魔導士相手に近接戦を仕掛けないでくださいよ…ッ」
ジュバッ
バフの力で圧倒的な速度を獲得した蓮兎はエルスの懐に潜り、刀を振るった。
その刃は左腕を捉えて切り落とすに至る。
「回復薬とかも強化して回復するんだろ?」
「ご名答! ですが一旦引かせてもらいましょうかね」
「させるとでも?」
「えぇもちろん」
そう言うとエルスは部下の1人を捉えて薬を刺す。
刺された直後肉が膨張し皮膚が裂ける部下だったが目に見えて魔力量が跳ね上がっていた。
体からは常に大量の魔力が渦巻いていて無理矢理肉体の崩壊を塞いでいる。
「行け、僕の忠実なる実験体よ」
「グ…グルギャ!」
完全に理性を失った手下は本能に身を任せて蓮兎に突進攻撃を仕掛ける。
単純な攻撃だがとてつもない速度と力で繰り出されているのだからその攻撃全てが致命傷になり得るだろう。
(これほどまでの実力変化、本当に薬かよこれッ)
思考を巡らせるが答えには至らない。
なので思考を切り替え蓮兎は動く破壊人形となったこの者を生きたまま捉えることにした。
「お前がこいつに何をしたかは知らんが暴いてやるよッ!」
「できるのならどうぞ、僕は地下に逃げるとするよ」
スタスタ
そう言い残しエルスは地下に続く階段を降りた。




