初の馬車
良い案だと思った何ダメなのか…いや確かに冒険者1日目で問題行動はやめた方が良いとは思うけどさ?
でも流石に見て見ぬ振りは嫌だ。問題行動と宿屋の少女と女性の将来を天秤に…
スッ
蓮兎は突然席を立ち、扉に向かう。
暴食も気怠そうにしながらも蓮兎に続いて扉に向かった。
「え、お兄ちゃん達どこいくの?」
「ん? あぁ天秤にかけた結果宵の暴風をぶっ潰すことにした」
その言葉を残して蓮兎達はルッタの宿から出て──
「…ギルドの場所ってどこ?」
「そんな事も知らないで飛び出したのか…?」
◇王都セイクリッド・大門付近馬車停留所◇
ここは王都にやってくる冒険者や商人が必ずと言って良いほどの場所となっていて、同時に馬車を運転する者からすれば1番の稼ぎ場所だ。
そんな中に紛れた蓮兎は運転手を1人捕まえてギルド【宵の暴風】まで頼むと言う。
「宵の暴風ですか…すみませんが他を当たってください、私は近づきたく無いので」
「そうですか…分かりました。他を当たります」
その後も何人かに当たったがどの人からも返ってくる言葉は「他を当たってくれ」の一言だった。
その後も何度も何度も繰り返したが良い返事をくれる者はいない、そして気がついたら辺りは暗くなり夜の帳がすっかり降りていた。
「もう走ってくか?」
「宵の暴風の本拠地があるのはルナルス樹海近辺の沼地だ。そんな場所に走りで行くのなんか想像してみろよ」
「…死んでも嫌だ」
「だろ?」
まぁ明日無理だったら走ってくけどな、嫌だとか言ってる場合じゃ無いし、しっかしそんなに怖いギルドなのか…?
みんな口を揃えて「他を当たれ」とかさ、少しは客の気持ちになれってんだ。
◇王都セイクリッド・翌日 王門付近馬車停留所◇
「今日も探すぞ!」
「まだ眠い…まだ6時だぞ?」
「早い方が人が多いらしいからな、王都に来る人も旅立つ人も」
そんな事を考えながら今日もギルド【宵の暴風】の本拠地に連れて行ってくれる相手を探す。
だが突如背後から蓮兎を呼ぶ声が聞こえて咄嗟に後ろを向いた。
「ッ!」
「あぁそんなに警戒しないでくだせぇ、あっしはただお力になれると思い話しかけただけですので」
「力に…?」
「はい、あっしは宵の暴風に個人的に恨みがありましてね…昨日あなた方の話を聞いて飛んでやってきたのですよ」
力になる…もしかして馬車引いてくれるのか?!
よっし走り回避ッ!暴食も走らなくてよかったぁ的な感じで喜んでるし、やっぱ走るの嫌だよな、分かる分かる。
「あっしの馬車に乗ってくだせぇ、今すぐ出発しますんで」
「あ、はい! 分かりました。ほら、行くぞ暴食」
「ん…眠い…」
暴食は眠たそうにしながら馬車に乗り込み蓮兎の隣の席に座り込む。
そしてすぐに眠りについて蓮兎の肩に頭を乗せた。
「寝るの早いな、それに肩に…まぁ良いか」
「それじゃあ出発しやすぜ? できるだけお連れさんが起きないやつに運転しやすので」
パカラッパカラッ
馬の駆ける音と共にギルド【宵の暴風】に出発する。
(何気に初めて馬車乗るからちょっと楽しみだな)
「ぐがぁ…」
「ッ! 暴食お前涎垂らすなよッ」




