自称主人公
「何だお前」
「僕の事を知らない? そんな愚者がいるなんてねッ! まぁ良い、教えてあげよう」
そう言いながら美形の軽装を着た男は語り出す。
その話は数分続き他の騎士達がたどり着いたも続いた。
『これ時間稼ぎかな? もう邪魔しても良いんかな』
『それより俺は早くこいつ殺したい、てか殺す』
『…色欲の加護の事だよなぁ、こいつが大罪関係なのは確定としてこの騎士達をどうするか』
面倒ごとは嫌なんだがやっぱ正面特攻仕掛けてこいつを誘拐、んで話を聞き出す?
いや俺の華々しい地上生活に傷がつくのは避けたい、なら交渉…はこいつ相手には無理そうだな、まぁ話してるし。
「そうッ! 僕が、僕こそがこの世界の主人公であり疾風の勇者と呼ばれた千崎海斗様だッ!」
「…あ、話終わった?」
「聞いてなかったのかい? しょうがない、もう一度話して──」
「もういい、それよりその加護はどこで手に入れた? 話せ、そして連れてけ」
我慢の限界が来た暴食が千崎海斗に話しかける。その言葉に反応した千崎は一瞬戸惑うがすぐにその状況を脱して話を続けた。
流石のメンタルと言うべきだろうか、本気で殺気を込めた大罪の威圧を諸共せず話し出す。
「僕のステータスが見えるなんて少なくとも鑑定眼S級を持っているね? それに大罪の存在まで知ってるなんて中々博識じゃないかお嬢さん?」
「まだだぞ、俺に【魅了眼】は効かない、何度も色欲に試されたのもあるが力の差が激しいんだよ」
千崎は暴食に色欲の権能【魅了眼】を話してる間に使用したが暴食には効かなかった。
魅了眼は異性の好意を大幅に増幅させるスキル、全く千崎に興味が無い暴食には効果が無いのだ。
魅了眼が効かなかったのが初めてなのか千崎は少し怯む。
「へぇ、中々強いね君。僕の奴隷として飼ってあげるよッ」
ビュウンッ
千崎は暴食に向かって駆け出す、それは一般人の目には追えないような速度で槍を放つ。
だがそれは一般人を基準とした話、相手がSランク冒険者や大罪ともならば多少速い程度で片手でも対処可能なスピードだった。
「こんなもんか、なら次は俺の番ッ」
「ッ! 風紋刺突…」
技で受けようとした千崎だったが間に合わず暴食の一撃をもろに受けてしまう。
その一撃で背後にいた騎士達のもとまで吹き飛んでしまう、そして1人の大柄な騎士が受け止めてこちらを睨む。
服装からして団長などの役職についていることがわかった。
「こちらとしても勇者様に攻撃をされたら剣を抜かないわけにはいかないのだが」
「そうか、なら殺るか?」
2人は睨み合い次の瞬間にも攻撃を仕掛けそうな気迫が周りの騎士達をを怯えさせた。
だが1人だけ怯えていなかった勇者、いや怯えていると言うより怒っている勇者は自身の背後に待機させていた露出の多い女騎士達に命令を出す。
「僕を殴ったあのクソ女を殺せ! 報酬は僕がたっぷり可愛がってやる権利だッ!」
「「「…」」」
無言で暴食に突撃を仕掛ける女騎士達の目には光は無く、鑑定眼でステータスを確認すると状態異常【魅了】の字があった。
この者達は千崎によって洗脳状態にあり、自身の意思とは関係無く動いている。
「罪人の罪潰し」
「ッ?!」
この魔法はBランク混沌魔法、対象の罪の重さによって科される重力が変わり罪人には圧殺を、善人には何も与えないこの魔法は騎士達全体に降り注ぐ。
全体は少し体が重くなった程度で動きに支障は無かったが千崎だけは今にも圧殺されそうな程に重力の力を受けていた。
「暴食、その女騎士さん達任せたぞ? 言っとくけど殺すなよ、怪我もダメだ」
「チッ、面倒ごと押し付けやがって」
女騎士達を任せた蓮兎は団長と勇者に目を向ける。
騎士団長は大剣を構えて戦闘体勢に、勇者は今にも圧殺されそうになっていて勇者を無視して蓮兎は団長との戦闘を選んだ。
「中々強そうだな、タダで勇者を渡すわけないし決闘と行こうかッ」
「この隊を束ねるものとして負けられんッ」
両者は同時に駆け出し、蓮兎の刀と団長の大剣が鍔迫り合い激しい金属音を鳴らし鳴らしながら戦闘が開始された。




