いつもの日常
いつものように友達と話したり小説を読んでいた主人公の宮戸蓮兎。そんないつもと変わらない日々を今日も当たり前のように過ごすはずだったが…
ここは桜木高校3年生の教室だ。名前の由来は春になると桜が校庭に咲き誇るからだったかな?まぁ今の時期は桜は全て散って夏の猛暑が俺達を襲うわけだが…
「考え事?蓮兎君」
「ん…?あぁ鏡花さんか」
「さんはつけなくて良いって言ってずっと言ってるでしょ!」
俺がラノベの始まりみたいな語りを考えていると鏡花さ…ごほんごほん、鏡花が話しかけて来た。どうも呼び方が慣れないんだよな…幼馴染なのにずっと呼び捨てで呼べていない。
「ごめんって、それで?何か俺に用?」
「そうだった!放課後一緒にカフェ行かない?駅前に美味しいパフェがあるカフェができたんだって!」
「パフェ?う〜ん…」
それはとても魅力的なお誘いだが周りの視線が冷たく俺を刺してくる…鏡花はクラスだけじゃなくて学年全体でも女神とか天使とか言われて好かれてるからな。恐るべし咲良希鏡花。
だが俺は視線に屈しないぞ!せっかく鏡花が誘ってくれたんだから勿論行くに決まってる!
「分かったよ、放課後一緒に行こうか」
「うん!約束だよ?絶対だからね!」
ブンブンッ
鏡花が俺の手を握ってブンブン音を鳴らしながら上下に振る。手を握ってるからかまた一層視線が痛くなる…てか痛いよ?視線も腕も。
「鏡花ちゃ〜ん!」
「ごめん呼ばれたからまた後でね〜!」
そう言い残し鏡花はクラスの中央の席に集まっている女子グループに混ざりに行く。俺もあんな感じで陽キャグループに入れればな〜、でも端でラノベを読んでる方が楽だしいいか。
「…恨めしやぁ」
「うわッ?!ビクッた…なんだよ快」
関柄快は俺の陰キャ友達だ。一緒にゲームをしたりラノベやアニメの話をしたり…まぁとにかく仲が良い。
「そんな驚くか?」
「机の下からいきなり飛び出してきたら誰でも驚くに決まってんだろ」
「ふっ、蓮兎もまだまだだな」
「うぜぇよ」
少しふざけ合った後に俺は何故急に飛び出してきて「…恨めしやぁ」と言った理由を聞いた。
「そんなの決まってるだろ?また鏡花さんと仲良さげに話しやがって!それに放課後デートなんて…」
「デートじゃねえよ!誤解されたら迷惑かかるからやめろ」
コンッ
快の頭を軽く殴る。その後は軽く談笑の後に快が本題に入る。
「姫乃香織っているだろ?」
「陽キャのギャルの奴」
「そそ、そいつに私の分の宿題やっといて〜って言われて…」
嫌な予感がする…
「手伝ってくんない?放課後までに提出すれば間に合うからさ」
「断固拒否する」
「モン狩で星7クエスト手伝ってやるから」
モン狩の星7クエストだと?!ゲーム内最高難易度を手伝ってくれるのか…いやでも宿題をやるのは面倒だし…
「明日アイス奢ってやるよ」
「ふっ、俺に掛かれば宿題なんてすぐ終わるさっ!」
「ほんと単純だな、お前」
1番高いアイス奢らせてやろう!ふふふ〜どのアイスにしよう…か?
シュワァンッ
教室の床に白い光で構成された魔法陣?のような物が出現する。その魔法陣は俺たちが視認した直後には眩い光を放ちながら動いていた。
「なんだこれ?!」
俺をはじめとしたクラスメイト達が慌てふためいているがそんなことお構い無しに魔法陣の光は俺たちの視界を奪い、暗転していく。
ドンッ
おそらくは床に倒れたのだろうと言う音が聞こえるが感触は無く音も目も使えず体を動かすこともままならない。
◇???◇
「ん…ここどこだ?」
意識が覚醒し周りを見渡すとそこには見慣れない洞窟だった。広場のようになっているが壁の端には大小様々な横穴が空いていてどこまでも広く続く暗闇の巣穴だ。
「頭がぼんやりする…てかみんなは?」
再び見渡すと気絶したクラスメイトの姿があった。数人は俺と同様に起き上がっているが何が起きているのかを理解できずに立ち尽くしている。
(状況を整理すると教室にいたら謎の魔法陣が出現して気づいたら洞窟にいて気を失って倒れていた…魔法陣…魔法…異世界…)
頭の中でプチ会議を開いて答えを導き出す方に成功する。つまり俺は──
「異世界に転移したわけだ」
補足すると「」が会話で()が頭の中で考え事『』が頭の中で会話です!さぁ蓮兎は元の世界に帰れるのか?てかここはどこなのか?お楽しみに