表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
欠落者  作者: 喜國 畏友
喪失編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/222

第43話 白い影

 アザミは白髪の少年を睨みつけていた。


「……信用しろって?」


「うん。でも、無理にとは言わないよ」


 少年はゆっくりと手を下ろす。

 その表情には余裕があった。


(この状況で、なんでそんなに落ち着いていられるの……?)



「……私をどうするつもり?」


 アザミは慎重に問いかけた。

 白髪の少年は小さく笑う。


「どうもしないよ。ただ、君をここから”出す”だけさ」


 その言葉に、アザミの中に微かな安堵が生まれかけた──が、すぐに違和感に気づく。


 “出す”?

 ……“逃がす”とは言っていない。


 嫌な予感が背筋を駆け上がる。


「それって……地下から出して、自由にしてくれるってこと?」


「へぇ、君さ。ただの馬鹿ではないんだね」

 少年はゆっくりと首を横に振りながら言った。

 

「いいやぁ。そんなつもりはないよ」


 ──やっぱり。


「……信用しなきゃよかった」


 アザミは歯を食いしばる。

 少しでも信じようとした自分が馬鹿だった。

 この世界には、まだ純粋に優しい人がいるのだと、そう信じたかった。

 もう、この考えは止めよう。


「まぁ、牢屋とかには入れたりしないよ。ただ、僕は、今から"大切な用事"があるから、大人しく僕の用意した部屋で待ってて欲しい。それだけなんだ」


 すると少年は、まるで”分かっていた”と言わんばかりに肩をすくめながら言った。


「...大切な用事?」

 苛立ちと焦りを懸命に抑えながら聞いた。

 自分でもこんなに冷静な理由が分からなかった。


「あぁ。国を、"変える"」

 

 なんなんだ。

 コイツは、一体何をしようと.....?

 その思考が周りきる前に、私は気を失った。


「だからさ、」


 少年は、微笑んでいた。


「……おとなしくしててね」


 その声は、とても恐ろしくて優しいものだった。


             『喪失編』 ──閉幕。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ