フラグを回収?
三人目も切っ掛け作りに登場。
午前の授業の終わりのチャイムが鳴り、先生が教室を後にすると、
「お~い、二人とも、いつもの様に食堂行こうぜ」
「颯太とか?何故?二人でいいよな、拓也」
「ああ、そうだな、九重」
「お~い、お二人さん、また、朝の会話を繰り返す気か?」
「いや、正直昼くらいは静かに食べたいからな。二人ならそれが可能なんだとおもって、な」
「確かに、誰かが一緒だと騒がしいからな。おかげで周りに変な目で見られるからな、気持ちは判るよ、九重」
「変な目でなんて、見られてないだろ?」
「おい、自覚がないぞ、こいつ」
「まあ、颯太だからな。しょうがないんじゃ~ないか?」
「なんかさ~、最近扱いが日に日に悪くなってないか?俺に対して」
「いや、そうでもないと思うぞ。ただ素直に思った事を口にしてるだけで」
「なお悪いぞ、それ。それに、言わせてもらえば、お前らにも問題あるだろ?」
「「どこが?」」
「拓也は、好きな話題以外、誰とも話を合わそうとしないし、九重は身だしなみに気を使わないし」
「いや違うぞ、颯太」
「何処がだよ、拓也」
「好きな話題じゃない、好きでもない相手の話に合わせたくない、だ。なんで、好きでもない奴に合わせて会話しなくちゃあ、ならないんだ?」
「いや、だから、友達増えないんだろ?」
「増えた方が良いのか?」
「いや、そう突っ込まれると、何とも言えないが・・・」
「そうだろう。まあ、話の合うやつと話せればそれでいいんで、今で満足してるからいいんだよ。あ、颯太は除いてな」
「さっきから、マジ冷て~。もう少し優しくしてくれよ、俺にも」
「考えておく、二年ほど」
「そしたら、卒業してしまうだろうが~~」
「で、ここでコントを繰り広げず、さっさと行こう、拓也」
「そうだな、九重」
「最初、俺が誘ったのに・・・」
「ほら、さっさと行くぞ、颯太」
「お、おう」
そう言って廊下に出て、食堂を目指す。すると向こうから女子生徒の集団が歩いてくる。堂々と真ん中を行くその集団を避ける様に端によると、その場でピタリと立ち止まり、集団の中心に居た人物が話し掛けてきた。
「あら、そちらにいらっしゃるのは、九重様ではありませんか?先週は申し訳ありませんでした」
「いえ、友染様。こちらこそ、告白自体が失礼だったようで、申し訳ありません。そちらの友人方にも今後なれなれしくしない様、注意を頂きましたので、今後気をつけさせていただきます、すいませんでした」
「まあ、やっとお判りいただいたのですね、忠告したかいがあったようですわ」
「そうですわね、これで沙織様の心労も一つ減りますわ」
「貴女方、そんな事を、九重様に仰ったの?」
「ええ、身の程知らずにも、程がありますので、忠告させて頂きましたわ」
「何を勝手な事を。申し訳ありませんでした、九重様。先週申し上げたのは、私、男女交際はまだ早いと思っておりますので、お断りさせて頂きました。ですが、最後に申し上げた通り、ご友人としては分け隔てはしておりません。なので、今後、宜しければ、ご友人として話し掛けてくださいませんか?」
「さ、沙織様?いきなり何を」
「そ、そうです、その様な方に」
「私の友人を貴女達が選ぶ権利があるとでも、仰りたいの?皆さん」
「いいえ、そのような事は・・・」
「でしたら、今後、九重様には失礼な事を仰らない様にお願いしますわね、皆さん」
「「「は、はい・・・」」」
「という事ですので、本当に普通に話し掛けてくださいませ、九重様」
「は、はあ、判りました。お会い出来たら、キチンとお話させて頂きます」
「お願いしますね。では皆さん、立ち止まってしまい、申し訳ありませんでした。参りましょう」
「「はい、沙織様」」
「な、なあ、朝、冗談で言ってたけど、本当に三人ともに話し掛けられたぞ。これって拓也が言ってた理由だと思うか?」
「他に何かあるのか、颯太?」
「い、いや、一年から一緒にいたから、俺にも他に心当たりなんてないけどよ~、なんか様子が違わないか?」
「颯太、彼女達の普段の様子を知っているのか?」
「知らないけどよ~、普通は話し掛けて来るような人達じゃあないだろう?」
「だから、先週振ったから、という事じゃあないのか?」
「だと思うんだけど、何かしっくりこないんだよな~」
「まあ、颯太の勘なんか当てにならないと思うが」
「だな、九重」
「また、お前ら、そうやって・・・」
「まあ、放課後生徒会室に行けば、その疑惑も晴れるんじゃ~ないのか?」
「そうだな、それではっきりするかもな。という事で、明日、報告よろしく、九重」
「ああ、拓也にだけな」
「だよな、九重」
「なんでだよ、なんで、俺のけ者?」
「「口が軽そうだから」」
「二人そろって言うなよ~、泣くぞ」
楽しく読んでいただけたら幸いです。