撮影終わり
事件です、皆さん。
「よ~し、これでオッケーだ。皆、お疲れ様」
「「「お疲れ様でした~~」」」
「おかげで、今日も良い物が撮れたぞ、ありがとな、蓮坊」
「それならよかったです。少しでも皆さんのお役に立てたなら、来たかいがありました」
「なにいってるんだ、蓮坊。前回も今回も、メインはお前だっていうのに。というか、もう、お前を載せない刊を発行すると、苦情が来るそうでな。大変だろうが、今後も宜しく頼むぞ」
「そうよ。お姉ちゃんを助けると思って。蓮君呼ばないと、編集の方から、うちの事務所、使ってもらえなくなるくらいの、おしかりの電話が来るんだから。だからね、宜しくお願いします、蓮君」
「あ、はい。まあ、今は前みたいに騒がれない様、姿を隠せてますから。でも、もしばれたら、身動きできなくなるんで、保証は出来ないんですけど、ね」
「そこは何とか頑張って。出来るだけ協力するから」
「はい。俺としても、もう、ああいう状態にはなりたくないんで、出来るだけ努力します」
「という事で、お姉ちゃんが家まで送ろうか?もう帰るんでしょ」
「いえ、バイクで来てますんで。それで帰ります」
「本当は、危ないんで、バイクは止めて欲しいんだけどな~。車代くらい出せるから、タクシー使うとかすれば?」
「いえ、そこから自宅がバレたりしたら大変ですんで、このままで大丈夫です。それに、これ、顔隠すのにちょうどいいんですよ」
「ヘルメット、ね。まあ、それ被れば、顔は判らないだろうけど・・・」
「安全運転を心がけますんで、心配いりませんよ。それより、幸姉さん・・・」
「これでしょ?さくらちゃんが、今月も頼みそうだから、ちゃんと準備して来てます」
「あ、ありがとう御座います。出掛けにも念を押されてたんで、助かります」
「さくらちゃんも、お兄ちゃんの大ファンだからね~。新刊出るの、毎回心待ちにしてるもんね」
「みたいですね。なので、首を長くして待ってると思うんで、帰ります」
「了解。でも、ホント気をつけてね~~」
「はい。では皆さん、お疲れ様でした、今日もありがとう御座いました、失礼します」
「「「レン君、またね~~。一緒に仕事しようね~~」」」
皆に挨拶をして、スタジオを出ると、既に暗くなっていたので、急いで駐輪場に向かおうとすると、女性の声が。
「嫌だって言ってるでしょう。それに用事があって急いでいるんです。邪魔しないで下さい」
「そんな事言わないでさ、用事なんて今度にまわして、俺達と遊びに行こうぜ」
「そうそう、こんな場所に一人なんだ、それ程大した用事じゃないんでしょう。俺達と遊びに行く方が楽しいって」
「大声で人呼びますよ。それに、あなた達のような人と遊びに行くほど暇じゃないんです」
「おいおい、人が優しく誘ってるのに、そんな事言うんだ」
「じゃあ、無理やり攫っちゃおうか」
「嫌よ、近寄らないで」
「そんな事を聞くわけないだろ。話を聞かないんじゃしょうがない、連れてっちまおうぜ」
「だな」
という感じの場面に出くわしたみたい。まあ、無視する事も出来るんだけど、知り合いみたいなんで、仕方ない。
「おい、そこのお二人さん。そこの彼女俺の知り合いなんで、離してもらえます。橘さん、こっちに」
「何いきなり出てきて、仕切ってんだ。お前のいうことなんざぁ~、聞く必要ないだろ」
「だよな、痛い目見たくなかったら、他の奴みたいに、見て見ぬ振りして通り過ぎろよ」
「あ~、見た通り頭と顔が悪いのは、判ってたけど、耳まで悪いとわね~。言っただろ、その子知り合いだって。なんで、赤の他人のあんたらの方が邪魔なの、さっさと、その子おいてどこか行ってくれない?」
「おいおい、初対面でここまで舐められたのは初めてだぜ。なら、後悔させてやらないとな」
「馬鹿が、良いカッコするからだぞ。自分の行動を恨むんだな」
と言いながら、殴りかかって来る近くの奴の腕を取り、そのまま背負いで地面に投げつけると、もう一人の腕も掴み、後ろに捻り上げる。
「って~な~。おい、お前、こんなことしてただで済むと思てるのか、あぁ~~」
「お前ね、この状態で何強がってるの?折ろうか、この腕?」
「え?」
「なに?無事で離してもらえると思ってるの?二度とこんなことしない様、二人には痛い目見てもらおうと思ってるんだけど」
冷めた顔をしたまま、冷たい目を向けそう話しかけると、
「お、おいおい、冗談だよな、お前みたいな普通の奴が・・・」
「お前たちは、普通じゃないの?なら、少々やり過ぎても、正当防衛で大丈夫だよね。暴漢二人がかりに襲われて、無我夢中で対抗してしまったら、こうなりましたと言ったら、どっちを警察は信じるかな~、それに被害者の女性もいるし、ね」
「わ、判った、立ち去る。大人しく立ち去るから、見逃してくれ」
「はいはい、最初っからそういえば、いいのに」
そう言って、腕を拘束してた奴を放そうとしたら、
「馬鹿が、そう簡単にやられるかよ」
と、投げ飛ばした奴が起き上がり殴りかかってきたので、拘束してた奴を、殴りかかる奴の前に突き出し、殴らせると、その事でひるんだすきに、相手の脇腹に拳を一つお見舞いする。すると、
「がはっ」
という声と共にうずくまる。なので、
「ああ、殴りかかられたんで、ついつい手が出たら、当たっちゃったよ。でもそこ痛いんだよね~、しばらくまともに息できないくらい。で、まだやるの?」
「「す、すいませんでした~~」」
「今度から、相手みてね」
逃げていく男たちにそう声を掛けると、残された女の子の振り返り、
「大丈夫だった、橘さん?」
「レ、レンさま~~。え、え、本当にレンさまなの~?え、え」
「落ち着いて、橘さん。ところでなんで、こんな時間、こんな場所に?」
「あ、この先のスタジオで、今日姉がお仕事してて。で、顔を出して中を覗かせてもらおうかと」
「スタジオ?ああ、今撮影してたところか。じゃあ、案内するよ、一人じゃ危ないから。で、お姉さんに会えたら、一緒に帰るといいよ」
「は、はい。ありがとう御座います、レンさま~」
「でも、橘さんのお姉さんか~?居たかな、そんな人?」
「あ、今日のメイク係だと言ってました」
「ああ、あの初めて会った賑やかな三人の一人か~、あんまり似てなかったんで、気が付かなかったよ。で、はい、ここ。中に入ったら、まだスタッフ皆いるから、呼んでもらってね。じゃあ」
「あ、ありがとう御座いました、レンさま」
「どういたしまして」
彼女を中に促して、入ったのを確認すると、その場をすぐに後にする事に。告白したうちの一人とこんなとこで会うなんて、どうなってる事やら。
楽しく読んでいただけたら幸いです。