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桜小路古都の日常  作者: 雅流
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セイント先生(2)

このところは真面目?なTOEFLの勉強ばかりだったのだけれど、今日はセイント先生は久しぶりにガールフレンドの話がしたくてたまらないようだった。


どうやらずっと仲良くしたいと思っていたカザフスタン人の留学生とやっとデートできたということらしい。


セイント先生の場合は「デートができた」というのは「エッチした」というのとほぼ同義だと思う。


セイント先生に言わせるとデートの後のエッチは必須と言うわけではなくて食事の後にお互いがそうしてもよいと思えば、もっとコミュニケートを深めるためにエッチするということらしい。


でも桜小路古都が話を聞いた限りではセイント先生のデートはほとんどの場合がエッチまでがセットのように思う。


それ以上に家庭教師が女子高生にどうして自分がガールフレンドとエッチした話をそんなに聞かせたいのかが理解できない。


興味深いけど。


そのカザフスタン人のお友達の名前はアイラさんというらしい。

黒髪、黒目だけれど日本人とはまた違った顔だちの可愛らしい女性だということだ。


イスラム教徒なので交流が難しいと思っていたら、話してみたらカザフスタンではイスラム教徒がほとんどらしいのだけれど戒律は全然厳しくなくて飲酒とかも問題ないとわかってデートに誘ったんだと。


アイラさんは日本文化にとても興味があって日本に留学してきたということで、留学生にしては珍しくアニメとかには興味がなくて禅とか空手、日本家屋、忍者とか日本古来の文化が好きだということだ。


それでセイント先生は浅草にあるじょんがら三味線の生演奏のある和食屋さんに連れて行ったらしい。


アイラさんは浅草は何度も散策したことがあるけれど「こんな店があるなんて知らなかった、なんて素敵なの」と大興奮だったようだ。


そのあとは夜まで飲んで三味線や和楽器の話しで盛り上がったらしい。


お泊りの誘いはセイント先生にしては珍しく、ちょっと難色を示されたらしいのだけれど「小岩に畳と障子の和室のラブホがある」と言ったら興味を示したらしく行くことになったそうだ。


それにしても留学生女子が興味を持ちそうなことについてのセイント先生のリサーチ力は侮りがたい。


その後の話はあんまり聞いても面白くなかった。


とてもシャイだと思っていたアイラさんがお尻を叩いたらとても興奮して「もっとじょんがら三味線のように強く叩いて」と言うので遠慮しないで赤く手の跡がつくまで叩いたらとても喜ばれたそうだ。


異文化交流は順調らしい。


セイント先生からの話を聞いているだけで東京のラブホ事情について桜小路古都は耳年増になってしまった。


もしかしていつか使う時があったら「あれっ?ここってもしかしてセイント先生が言ってた・・」ということになるかもしれない。


そういうホテルがある地域にさえ桜小路古都は一度も足を踏み入れたこともないのだけれど。


留学を考え始めてから桜小路古都は今まで箱入り娘すぎて世の中の風俗と言うか文化について実践的な知識がなさすぎるということに懸念を覚えている。


セイント先生によれば桜小路古都は留学しても間違いなく周囲の学生たちの注目を集めることだろうということだ。


そうなると伝統的な日本文化についてだけではなくて今の日本についても興味津々に聞かれることが多くなるそうだ。


EUやUSAの学生にとって日本は一種独特の魅力的な文化を持った国ととらえられているらしい。


箱入り娘のままでは留学が楽しめないかもしれない、とりあえずは外に出ないと。


というわけで、エッチなしでもOKという約束をとりつけてセイント先生にいろいろと連れていってもらうことにした。


留学生のアメリカ人に日本を案内してもらう日本人高校生としてどうなのよ・・という疑問はあるけれど、セイント先生が色々なお店やデートスポットなどに詳しいのは確かだ。


たぶん留学先の学生だって、20歳前後の学生なんだからそういう話題には興味があるだろう。


それと桜小路古都はたまに父親や母親とでかけた時でさえも、ナンパで声をかけられることがやたらと多いのだ。


面倒くさいことこの上ない。


別にそれが理由で引き籠りになったというわけではないけれど、外出するより家にいたほうが心地よいのにはそういう理由も多少は影響していると思う。


その点セイント先生は超級のイケメンなので一緒に歩いていても、それを乗り越えてナンパしてくるような猛者はほとんどいないだろうと思われる。


「三味線がどうとかラブホに近いとかそういうのはいいから、普通にデートするのにお薦めのレストランに行きたい」


桜小路古都の希望にセイント先生は「普通っていうのは人によって基準が違うから一番難しい」とか言っていたけれど、その割には簡単に店をきめてさっさと予約を入れていた。


相手の気持ちが変わらないうちに予約まで入れて外堀を埋めてくるところは太閤秀吉のように実戦慣れしていることをうかがわせる。さすがだ。


なんだかんだで来週の土曜日の夜に食事に行くことになった。


エッチをする気持ちは1%もないけれど、相手は百戦錬磨のツワモノなので下着までお洒落をしたうえで出かけないとならないだろうと桜小路古都は思った。


桜小路古都はデートというものをしたことがない。


あえていうと桜小路古都が独自に行っているプロジェクトで対象の男子と大学の文化祭に行ったくらいのものだ。


大人の男性と二人で食事というようなお出かけは初めてだ。


それで考えてみたのだけれど、どんな服を着ていけばいいのかがわからない。


高校生同士でどこかに出かけるのならば何も困ることはないカジュアルな服装で問題はないだろう。


でもセイント先生とデートということだときっとお洒落なレストランか何かなのではないか?


そうなるとあまりカジュアルな服装ではお店の雰囲気にそぐわないかもしれない。


服がないわけではない、両親がやたらとパーティーを開くのでその時に着た服はたくさんある。


でも中学生の時の服は子供っぽいし、高校生になってからの服はなんというか結婚式に呼ばれたお嬢さんが無理矢理親に着せられたドレス・・みたいな上等ではあるけれど色気も何もないみたいな服ばかりだ。


それなので仕方なく母親に話して服を買ってもらうことにした。


セイント先生と食事に行くというと笑ってOKしてデザイナーの鷹野陽子さんに電話してくれた。


父親に相談すると大騒ぎになりそうだったので母に相談したのだけれど、やっぱり服は鷹野さんに頼むらしい。


鷹野陽子さんは超有名デザイナーだけれど桜小路家は超お得意様なのだ。


母親が鷹野さんに言ってくれて父親には内緒で支払いも母の口座からしてくれることになった。


あいにく陽子さん自身は海外に出張中だったのだけれどオーダーで作る時間もないし、鷹野さんの信頼している店員さんが出来上がりのドレスから良さそうなのを選んでサイズだけ調整してくれるらしい。


運転手さんは土曜日はお休みなのだけれど、これも母が運転手の玲子さんに頼んで車を出しもらえることになった。


母親はセイント先生のことは良く知っているはずなのだけれど娘がセイント先生とデートすることに何も心配はしていないみたいだ。


いくらセイント先生でも高校生相手にそういうことはしないと思っているのか、それとも高校生にもなったらそのくらいのことはあってもちゃんと避妊さえしていれば問題ないと思っているのか、そのあたりはよくわからない。


なんだかんだ考える間もなく土曜日がきてしまった。


「今日は大人っぽい服装で、そういう古都さんも素敵ですよ」


運転手の玲子さんに褒められた。


陽子さんの店でしつらえてもらった紺色のオフショルダーのワンピースのことらしい。


店員さんには「それだけで決まっているのでいりません」と言われたけれど肌の露出が多めかなあというのと夜はさすがに寒いかもしれないと思ってカーディガンを肩にかけている。


お店のあるビルまで玲子さんが送ってくれるのでらくちんだ。


しかし、何から何まで母親にセッティングしてもらって、これで社会を知るという当初の目的にあってるのかは疑問なところもある。


でもまあ箱入り娘なのは自分の過失ではないのだから仕方ないと桜小路古都は思った。


さあいよいよセイント先生とのデートだ。


ちょっと楽しみ。

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