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桜小路古都の日常  作者: 雅流
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三枝さん(2)

無駄に部屋数ばかりが多い屋敷だけれどダイニングはけっこう雰囲気が良い。

窓が広くて明るいし、庭の緑も陽光をキラキラと反射していい感じだ。


食卓のテーブルは父親の成金趣味のせいか大きすぎるので、桜小路古都はいつも端っこの角を席にして玲子さんと90度の角度で座って食べている。


今日はいつも玲子さんの座る席に三枝さんが座っている。


三枝さんは背が小さいので椅子から足がプラプラしているのがなんだか可愛らしい。


どうせならということで二人で晩ごはんを食べながら話をすることにしたのだ。


玲子さんが用意していってくれたのは豚肉のコンフィというトンテキみたいな料理だ。

ロース肉なんだけど桜小路古都が好まないので脂身の部分はほとんどカットされている。


一見は豚のロース肉を焼いただけみたいな感じの料理なんだけれど、食べてみると無茶苦茶柔らかくて何種類ものハーブの香りが複雑でとっても美味しい。


つけあわせも人参、いんげん、じゃが芋とかの普通の温野菜なんだけれどコンソメで薄い下味がつけてあるみたいだ。


ごはんはサフランライスが炊いてある。


料理上手の玲子さんが作るレシピの中でも桜小路古都が特に大好きなメニューのひとつだ。


よくは知らないけれど低めの温度で何時間も火を通すと、こういう風に火が通っているのに柔らかい・・みたいな感じになるらしい。


玲子さんは母に教わったと言っていた。


三枝さんもパクパク食べている。


体は小さいのに食欲は旺盛だ。


まあ背は小さいけれど意外に出るところは出ているし、くびれているところはくびれているから単なる小柄というのとは違うのかもしれない。


未亡人の衣装でも体のラインだけで男子たちの視線を惹きつけていたからね。


三枝さんも豚肉のコンフィ、気に入ったみたいだ。


「桜小路さん、この料理おいしいね。 さっきの運転手さんが作ってくれたの?」


「そうよ、玲子さんは運転手より家政婦のほうが本職だから料理も上手なの」


「へえ~、いっつもこんなレストランみたいな料理食べているのか、さすが桜小路さんだね」


大きなクリクリの目でもの珍しそうにあちこち眺めながら、そんなことを言っている三枝さんはほんとに可愛らしい。


「ところで三枝さん、本題を忘れていない? バイオレッタの役のことでご相談というのはどんなことかしら? 」


「そうそう、そのことなんだけど。昨日さ通しの練習終わった後に近藤くんが動画見せてくれたじゃん」


役者のみんなに観客から見てどんな感じなのかを理解してもらうために、舞台監督の近藤くんがスマホで舞台練習を撮影したのをみんなに見せてくれたのだ。


ほとんど全員が「うわ~こんな感じなんだ、俺すっごい棒読みじゃん」とか反省しきりだった。


「あれでさあ私にバイオレッタって無理じゃね? とか思っちゃって」


「それは困るわ、三枝さん以外にあの役を引き受けてくれる人はいなそうだもの」


「それはわかってるんよ。でもさあ私ってさあ、ちっこいし色気とか全然ないじゃん」


「桜小路さんみたいにはできないにしても、動画見て、これじゃあなあって我ながら思ったわけ」


「別に辞めたいとかいうわけではないんよ、ただ私なりにどう演じたもんかってのが全然わかんなくて桜小路さんにアドバイスもらえたらなあって思ったわけ」


「なるほど、そういうことね。 わかった協力させてもらうわ」


「ほんとに? 桜小路さんサンキュ! 」


「それじゃあちょっとその前にいろいろ聞かせてね」


「いいよ、なんでも訊いて」


「まず最初に聞くけど、三枝さんは、どんなこと考えてあの役を演じているのかしら?」


「どんなことって、まあ、娼婦だつたらどんな風に喋るのかなあとか、娼婦だったらこんなときどんなポーズとかするのかなあ、とかってことかな」


「なるほどね私がバイオレッタを演じたときも同じように考えたんだけど、はっきり言うと、あんまりよくわからなかったわ」


「だって娼婦の考え方なんてわからないもの」


「まあそりゃそうだよね、桜小路さんがエンコーとかしてるわけないしね」


「だから私はバイオレッタだったらどうするかを考えて演じるのではなくて、バイオレッタそのものになったつもりになることにしたの」


「それって娼婦になったつもりということ?」


「ううん、娼婦ではなくてバイオレッタになったつもりってこと」


「おんなじじゃん」


「そうね、それじゃあ聞くけど、あの劇では男性が6人出てくるわ、村長、神父、自警団長、酒場の主人、鍛冶屋、医者の6人ね」


「うん、そうだね」


「それじゃあ三枝さんのバイオレッタはその6人のうち誰と誰とエッチしてる設定でやってた?」


「え~、そんなこと考えてもみなかったよ」


「でもバイオレッタは娼婦なのよ、きっと何人かとはエッチしてると思うのよ、だから私は村長、自警団長、鍛冶屋、医者とはしてて、神父と酒場の主人とはしてないっていうことにしたの」


「へえ~っ桜小路さん、そんなこと考えてたんだ」


「どう? それじゃあ三枝さんは誰と誰の設定にする?」


「そういうこと? う~んやっぱり神父はまずいよね、酒場の主人も雇い主みたいなもんだかんねえ。桜小路さんと同じかなあ、う~ん医者もやめとくわ」


「そう、それではそういうことにしましょ。 つまり三枝さんのバイオレッタはあとの3人とはシテるってことね」


「うん、そういう設定ってことね」


「そうしたら三枝さん。 次からは相手を見たらそう思って演技してみて」


「そう思って? って?」


「その3人、中の人で言うと佐伯くん、徳永くん、藤野くんね。その3人と三枝んは既にエッチしてる」


「なんかやだなあ、徳永にやられるとか絶対やだわ」


「でも徳永くんは三枝さんの裸も恥ずかしいところも、なんならお尻の穴だってもう何回も見ちゃってるし、エッチのときに三枝さんが喘ぐ声とかイクときにどんな顔するとかも知ってるって思うの」


「絶対やだわ、そんなこと思いたくないわ」


「でもバイオレッタになりきるってそういうことよ、私はそう思ってやってみたわ」


「別に本当に徳永くんとエッチしろって言ってるわけじやないからね、三枝んが頭の中で何を考えているかなんて誰にもわからないんだから」


「舞台にあがって徳永くんを見たら、こいつにはあんなこともこんなことも全部知られてるって思って対峙するの、そうすれば当たり前だけど自然と神父や医者に対峙するのとは態度が違ってくる」


「プロの役者でもない私たちにできることってそれくらいじゃないかしら」


「確かにねえ。。。でも頭ん中だけでも徳永に犯られるとか最悪だわ~」


「まあそれは私のやり方だから三枝さんに強制するつもりはないけど参考になるといいんだけど」


三枝さんはなんだか深い溜息をついている。


「でも役作りは行き詰ってるし、超嫌だけど試してみるかあ~、そのかわり桜小路さん、このことは誰にも内緒にしてね」


「私が自分の頭の中で徳永に犯られてるとか考えてるって桜小路さん以外の他人に知られたら死にたくなるわ」


「わかったわ、でも三枝さんは自分でするときにクラスの男子の誰かを妄想してしたこととかないの?」


「自分でするときって???」


桜小路古都は三枝さんの下半身をじっと見たあとに、右手の中指を微妙に震わせる仕草をした。


三枝さんの頬がポッと染まった。


「自分で・・って、そういうこと?」


桜小路古都は微笑みながら無言で頷く。


「うわ~っびっくりするわあ、桜小路さんからそういうこと言われるとか、まさか桜小路さんもそういうことするの?」


「私だって女の子ですからオナニーくらいしますわ」


それを聞いて三枝さんポッはますます深くなった。


「どうなの三枝さん、クラスの男子でしたことある?」


「そ・それは。。。。。。。。あります」


最後のほうは聞こえないくらい小さい声だった。


「それは誰かしら?」


「それはちょっと、いくら桜小路さんでも言えません」


「そう。別にそれが知りたいわけではなくて、それなら舞台にあがったら徳永くんを、その男の子だと思って、そうね顔がその男の顔に見えてくるくらい強く思って、それでその男の子としちゃってると妄想するっていうのはどうかしら」


「それならなんとかできるかも。。。」


「三枝さんの今の感じだとお客が3人は無理みたいだし、自警団長の徳永くんとだけしてるって設定でやってみましょう」


「だけどなんで徳永なん? 別に他の奴でもいいじゃん」


「それは三枝さんが一番反応するからよ、プロデューサー命令よバイオレッタは自警団長をお客にしている」


「わかった、あいつは徳永じゃない! あの男の子だと思って演技してみるわ」


「そうね、それでやってみてそれでも近藤くんから演技にダメ出しされるようだったら、また何か別のことを二人で考えましょう」


「うん、ありがとう桜小路さん」


「それじゃあ三枝さん、食事が終わったら、試しに私を自警団長の設定で練習してみない?」


「えっ、いいの?」


「どうせここまで相談したんだし、明日は祭日で休みだから、練習のあとはお風呂でもはいってのんびりして、今日は泊まっていきなよ」


「ほんとに泊まっていいの?」


「もちろんよ、私も楽しいし」


「わかった、そんじゃあ、ちょっと親に電話しとくわ」


三枝さんが親に電話をしていると、桜小路古都は途中で電話をかわってくれて三枝さんのお母さんに説明とお詫びをしてくれた。


三枝さんのお母さんには「まあ、貴女が桜小路さんですか秋良がいつも噂しているとおり礼儀正しくて素敵な方ね」と言われてしまった。


三枝んはいったいどんな噂を親にしているんだろう? とちょっとだけ桜小路古都は思った。


食事も終わったので桜小路古都は三枝さんにコーヒーを勧めてみた。


「私コーヒーは飲まないんだ、苦くて。子供みたいでしょ」


「それじゃあフルーツのジュースはどうかしら、なんだかわからないけど母が大量に缶ジュースを仕入れてきてたのでいくつか冷蔵庫で冷やしてあるんただけど」


「あっ、それ飲みたい!!」


「そうそれじゃあ私も飲んでみようかな、なんか沢山フルーツの絵が描いてある缶ジュースなんだよね」


桜小路古都がグラスにフルーツジュースをついで持ってくると、三枝さんがいたずらな顔で言った。


「それじゃあ一気しよう!!」


こういうところがいかにも三枝さんらしい。


「せえのっ」


二人でゴクゴクとジュースを一気飲みしてしまった。


いろんなフルーツの味がして甘くておいしい。


。。。けど


「桜小路さん、これってもしかして?」


桜小路古都もすぐに気付いて空き缶を調べてみる。


「サングリア。お酒って書いてある。。。げっ度数は6度だって」


二人とも既に顔が赤くなっている。


桜小路古都があわてて言った。


「ごめん、母がお酒だなんて全然言わないで置いていったから、てっきりジュースだと思って」


「どうしよう桜小路さん、なんだかポッポしてきたよ」


「ごめん、ちょっと練習は後にしてお水飲んでお風呂を先にしてアルコールをとばしてしまいましょう」


桜小路古都は三枝さんを浴室に案内した。


桜小路家の風呂はすごく広い。


父親の趣味だ。


桜小路古都が幼稚園のころまではよく親子3人でこの広い風呂にはいっていた。


でも今はほとんど桜小路古都一人しか使っていない。


いつも帰宅前に玲子さんがお湯をはっておいてくれるのだけれど、水も熱も大量に消費するのでまったくエコではない。


むしろ環境に優しくないと桜小路古都は若干恥ずかしくも思っているのだけれど、実のところ広い湯舟はやはり気持ちいいので実は嫌いではない。


三枝さんも浴室を観て興奮している、まあ酔いもちょっとあるかもしれないけど。


「すご~い温泉みたい、ん? なんかいい匂いがする」


「母が入浴剤にこだわっていてスイスだかフランスだかのバスミルクでオーガニックだからどうのこうのと言ってたわ」


「まあでも確かに香りもいいし肌もすべすべになるし、よく眠れるのよね」


「すごいじゃん!! 本当に温泉宿かなんかに来たみたい、ねえ桜小路さん一緒に入ろうよ」


「えっ! いいよ、三枝さん、ゆっくりのんびり一人で楽しみなよ、私は後で入るから」


実は母親の血統の影響で色素の薄い自分の体にちょっとだけ桜小路古都はコンプレックスがあるのだ。


「え~、こんな広いんだもん、もったいないよ旅行に来たみたいで楽しいし、ねっ桜小路さん一緒に入ろう!


一宿一飯の恩義がある三枝さんにこうまで言われてしまうと無下にことわることもできない。


まあ私の体のことなど自分が気にしているだけで他人は全然気にしないのかもしれないと桜小路古都は自分に一生懸命言い聞かせた。


「わかったわ、それじゃあ一緒に入ろうか。でもなんだかちょっと恥ずかしいわね」


「え~恥ずかしいとか全然ないよ、桜小路さんとお風呂入れるとか超嬉しいんだけど」


バスタオルとかは1人分しか用意されていなかったので桜小路古都は三枝さんのぶんを持ってきてあげた。


「それじゃあ、入りましょうか」



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