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桜小路古都の日常  作者: 雅流
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期末試験

来週から期末試験だ。


生徒たちはそんなことをしても何の役にもたたないのに「私、勉強してない」ポーズをとって周りを牽制したりしている。



アオハル学園に入学している時点で中学ではそこそこ優秀な生徒だったはずだけれど、50人いれば成績は1番から50番まである。


中学では「できる子」だったぶんだけ成績下位の子は精神的には厳しいかもしれない。



前世の私は一流半とはいえ受験戦争を経て大学をでているので、その時点で高校一年生のなかに入れば成績的には有利なのだけれど、桜小路古都はそんな前世の知識などなくても常に成績はトップだ。


たぶん高校一年生の現時点で35歳の前世の私よりずっと賢いのではないかと思う。


家での毎日の勉強時間はそれほど多いわけではない、だいたい4時間くらいだ。



家に帰っても親もいないし友達も兄弟もいないから、やることがない。


なので勉強ばかりしていればもっと勉強時間はとれるはずなのだけれど、桜小路古都は高校生にしては朝型なのか11時くらいには寝てしまうので夕食と入浴を除くとそれくらいの時間しか勉強時間がないのだ。


その程度でアオハル学園の学年トップは難しいのではないかと私は最初思ったのだけれど、桜小路古都はそもそも前世の私とは頭のデキが違うようである。



恐ろしく頭の回転が速いのだ。


まずなによりも読解力がズバ抜けている。



教科書や問題集などを見た時に回答だけではなくて、その問題は何故この教科書に載っていて、著者は生徒に何を求めているのかということまでを理解してしまう。


応用力も半端ない。


そして、一度覚えたことは絶対に忘れない。



一年生の教科は一学期の後半には全て予習済で、2学期からは国立大学受験の過去問の参考書などで勉強している。


なので期末試験だからといって特別に何かするわけでもなく日常と変わらない。


金曜日には同級生が描く絵のためにモデルも続けている。




桜小路古都の両親は二人とも国内で一番難しいと言われるT大学卒業だ。


けれども二人とも古都にT大入学を奨めてはいない。



母は料理研究家で元々はT大卒の料理研究家というのが珍しくて話題になった。


それが現在の成功にも繋がっている部分もあると思うのだけれど、本人はそうは思っていないようだ。


成功者の経歴としてT大というのは月並みで華やかさに欠けると思っているらしい。



母は私には留学で海外の大学に行かせたいと思っている。




父はレストランチェーンと不動産関係の会社を経営している。


というか幾つもの会社を買収したり多角化したりしたので、今では桜小路グループって元々なんの会社だったっけ?という感じだ。



父が言うには、財界の上のほうは結局は家柄と学歴の社会だ。


そしてT大を出ていようが家柄がよくなければサラリーマンだってある程度からは上にはいけない。


実力主義とかは都市伝説でしかない。



父から言わせると自分は最初から選ばれている人間だということのようだ。



父は私に桜小路グループを継がせようという気はまったくないらしい。


かわいい一人娘をあくせく働かせたくはないといつも言っている。



T大なんかに進むよりお嬢様学校の女子大に進学させたいと思っているようだ。


昭和の親父そのままのような考え方だ。


下手をすると一生結婚もしないで処女のままでいてほしいぐらい思っているかもしれない。


結婚などしなくても好きなように生きていけるだけの資産は残すということなのだろう。



残念ながら仕事が忙しすぎて娘を拘束したくても拘束している暇もないという感じで、それだけは正直ありがたい。




桜小路古都、本人は親の考えとは違ってT大に進むつもりでいたようだ。


今は前世の私が主導権をもっているので、わざとT大は入試に失敗して仕方なしに滑り止めで受けた一流半の大学(前世の私の大学だ)に進むといったシナリオを考えている。



T大卒にも35歳素人童貞候補はいくらでもいそうではあるけれど、彼らはなんとかしようという気持ちさえあれば実際には学歴だけで人生もなんとかなるものだ。



やはりモブ救済に人生を捧げるなら一流半大のほうが効率がいいだろうと思う。



私が受験に失敗したとしても両親は仕事が忙しくてそれどころではないだろう。


そもそも私については自分たちの娘に生まれただけで勝ち組だと思っているフシがある。




そういうわけで期末試験については特に何も考えていない。



今のところ一番悩み深いのは高校を卒業するまでに初体験を済ませておくかどうかということだ。



モブを救済するためには俯瞰的に彼等を見られなければならないと思う。


彼らと同じ地平線に立ってしまってはそれは難しい。



高校生くらいであれば処女のままでも問題はないと思えるけれど、大学生ともなればモブを救うのにもそれなりの男性経験が必要なのではないかなどと思ってしまう。



35歳素人童貞の私程度の経験値では大学生にもなった他人を救うなんておこがましいかもしれない。




自宅風呂で手足万歳でノビをしながら桜小路古都は考えている。



もし高校生の間に初体験を済ませるとしてもモブが相手というわけにはいかないだろう。


もし初体験を済ませるなら経験豊富な相手にしっかりと教えてもらって十分な経験を積みたい。



けれども桜小路古都ほどの女をしっかり仕込める男ってどんな男なんだろう?



たぶん年上の大人な男なんだろうということだけは想像がつく、それ以外は?



それが全然わからないので困ってしまう。




ここは母親に相談するところなのかな?


ところで母の初体験の相手ってどんな人だったんだろう?



母は日本人の父親とデンマーク人の母親の間に生まれたハーフだ。



祖父が環境事業でデンマークに研修に行っていたときにデンマーク人の外国語教師である祖母と出会って結婚して生まれたのが母だ。



うちの母親は日本人の感覚からするとかなり明け透けなEU流の性教育を受けて育ったらしく、私にも同じような教育をしてくれた。


それなので私は中学生のころから同級生よりもその手の知識はずっと豊富だった。



それでもさすがに初体験どういう男性がいいかということまでは母も教えてくれなかった。



私はいわゆるクゥオーターということになるわけだけれども、どうやら母親側の遺伝子のほうが優勢のようだ。


髪の色こそ父譲りの黒髪だけれど、肌の色は色素が薄くて真っ白だ。


ちょっと日にあたるとすぐに赤く日焼けしてしまうが黒くはならない。



色素が薄くて乳首も肌の色とほとんど変わらないような、ほのかな桜色だ。

母もまったく同じだ、つまり男性経験を積んでも色素沈着は進まないということだろう。



友達にもこんな乳首の色をした子は一人もいない。



中学生のときの修学旅行ではそれが恥ずかしくてお風呂に入れなかった。




そういうわけで胸さえも男女を通じてまだ八重樫くんにしか見せたことはない。



このスキルレベルではやはりプロジェクトに支障をきたしかねないかもしれない。




母に相談しようかと真面目に考えていたけれど、母に相談すると外国人を奨められて、それを口実に留学につなげてきそうな気がしてきた。



やっぱりこれだけは自分で考えるしかないようだ。


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